西村大臣の昭和おじさん発言 これでは日本は変わらないし、経済再生できない

 今朝いつものとおりNHKのラジオニュースを聞いていたら、スイスのダボスで開かれている「世界経済フォーラム」の年次総会の話題を取り上げていた。通称「ダボス会議」。ラジオニュースとネット版とでは内容がやや異なるが、ラジオを主にネット情報で補って紹介します。

 昨日1月18日「日本経済再生の道」と題するセッションが開かれた。その場でのサントリーホールディングス新浪剛史社長の発言は、「何か新しいものを取り入れて変えていく力がなくなってしまった。活力がなくなってしまった。国際競争力も失ってしまったんだろう。日本のあり姿を本当に考えなきゃいけない」。

 続いて、西村経済産業大臣の発言。「西村大臣は、『私もそうですけども、もう日本の社会はおじさん中心の社会であったわけであります。昭和の名残を残しているわけであります。それを変えなきゃいけない。』このように述べて若い世代が活躍できる環境づくりが重要だという認識を示しました。」(NHKラジオ午前7時2023年1月19日)

 大臣のこの、昭和のおじさん発言を聞いて、いつまで旧態依然の的外れ発想でいるのかと呆れた。これでは、日本は変わらないし、経済は再生できない。

日本の競争力は前年より順位3つ下げ、過去最低の34位 ドイツ15位、中国17位、韓国27位

 ところで、NHKニュースでは世界経済における日本の競争力が年々低下していることについても報道。

 スイスのビジネススクールの発表では、去年の世界競争力ランキングで「調査対象の63の国と地域のうち、日本は前の年より順位を3つ下げて2020年と並び過去最低の34位」。

 「日本は1989年から1992年まで4年間にわたり1位を維持してい」たがその後、下落傾向が続いている。

 1位はデンマーク、2位はスイス、3位がシンガポール。アメリカ10位、ドイツ15位、中国17位、韓国27位。

 

 

体育館病院は経済不効率、景気低迷、市民不利益に拍車

 このように経済再生の先が見えず、惨憺たる状況だが、ニュースを聞いていて心に浮かんだのは、足元の野洲市の病院問題。栢木市長は、設計の最終段階にあった事業を市長選の公約実現を理由に中止。

 選挙では市民・有権者が市長の半額建て替え公約を信じて票を託したのだから、そこまでは良い。

 ところが、その後が悪い。半額建て替え公約は結果的に見れば虚偽だったし、その後2年あまり二転三転し、貴重な経費と労力を無駄に使ったあげく、新病院の見通しは実質的に立っていない。

 万一、地盤の安全性等を無視して体育館病院が建ったとしても、医師会が意見表明しているとおり、患者と職員双方に不便で、経営が成り立たない。まさに、経済不効率、景気低迷、市民不利益の拍車になる。

 経済不効率の新しい例マイナンバーカード 紙の保険証が便利

 昭和のおじさんに頼らなくても、経済不効率の新しい例はいくらでも転がっている。例えば、マイナンバーカード。

 マイナンバーカードについては、原則反対ではないし、個人的には銀行口座との連携や保険証利用の手続きも終えている。しかし、保険証に関しては、マイナンバーカードが対応できる医療機関でも、同時に交付された紙の保険証を求められる。保険の種類、期限、負担率などが即座に分かるという、一覧性があるので紙の方が電子カードより便利。

 おそらく、今後予定されている運転免許証に関しても同じことになるだろう。

マイナカード両面コピー送付依頼 無駄な労力と経費増大がデジタル化の一端 戦中期の国家統制が肥大した昭和が隠れている

 以上は、余談。本題は先日ある建設会社から送られてきた依頼状。昨年、公共の道路工事の資材置き場等のために依頼があって、私有地の一部を貸した。その対価として、規定の賃貸料が振り込まれたので、確定申告するつもりで、その資料は残してある。

 ところが、一昨日、突然その建設会社から手紙が届き、マイナンバーカードの両面コピーを至急に送るよう依頼があった。そこに書かれていた理由は次のとおり。

 「『マイナンバー法』が施行されたことにより、上記の支払調書には、支払い相手方のマイナンバー(個人番号)の義務付けられました」。

 そのために、マイナンバーカードの両面コピーが必要か疑問。また、返信用に簡易書留用の切手を貼った封筒が入っていたが、あて先は会社の総務部とだけ書いてあって、受取人の個人名はない。このように末端で、手続きが増殖し、プライバシーは拡散する。

 問題はマイナンバーカードによるプライバシー拡散だけにとどまらない。今までになかった手間の増大問題。建設会社は書類をつくって郵送する必要がある。受取った方もマイナンバーカードの両面コピーを撮ったうえで、用紙に張り付けて返送しなければならない。近くのポストに放り込んでも良いだろうが、簡易書留になっているので、寒いなか郵便局まで出向かなければならない。一見ささやかなことだが、無駄な労力と経費。しかし、これでは経済は上向かない。

 そして、これが、河野太郎デジタル大臣が奮闘している、デジタル化社会の一端。この根底には、西村大臣の昭和が隠れている。西村大臣がいつの昭和を念頭に置いているか知らないが、戦後高度成長期の昭和でなく、戦中期の国家統制が肥大した昭和が隠れている。

国民を信頼しない政府は、国民から信頼されない 公明党の感覚には普通の市民からはズレがある? 野洲市公明党も同じ?

 デジタル化社会と最先端行政を謳いながら、このように非効率化を推し進めていては、経済再生の見通しは遠い。おまけに、国民の申告納税の意欲も失わせる。国民を信頼しない政府は、国民から信頼されない。

 余談だが、これを書いている途中に、ネットニュースを見たら、「内閣支持最低26.5% 4カ月連続で『危険水域』―立民も下落・時事世論調査」(時事ドットコムニュース2023年1月19日)の見出しの記事があった。

 そして、もうひとつのニュースも。「公明幹部、菅前首相の苦言に反論」(時事ドットコムニュース2023年1月19日)の見出し。

 内容は、「公明党の北側一雄中央幹事会長は19日の記者会見で、防衛費増額に伴う政府の増税方針を巡り、菅義偉前首相が「突然だった」と苦言を呈したことに対し、「突然出てきたという印象はない」と反論した」。(時事ドットコムニュース2023年1月19日)

 公明党は自民党とは別の党ではあるが、政権幹部との緊密度を一段と高めているので、このような感覚なのだろうが、国民感覚からは前首相の「突然だった」という苦言の方がしっくりくる。体育館病院に何の意見表明もしないで、栢木市長に無言の追随をしている野洲市の公明党このような感覚なのか?普通の市民・国民感覚からはズレがあるように思える。これでは、残念だが、先がない。