「ルートヴィヒ美術館展」

 数日前からなぜか無性に良質の絵画を見たいという気分になっていたので、手近なところでと、京都での展覧会をネットで検索したところ、「ルートヴィヒ美術館展」が良さそうなので、午後から観に行ってきました。

 京都国立近代美術館の「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション」という長いタイトルの展覧会。今まで名前を聞いたことのない美術館だが、ネットで展覧会の案内を流し読みすると、カンディンスキー、ピカソ、アンディ・ウォーホルなどが展示されていて、たちまちの望みは満たされそうなので、出かけました。

期待を大きく上回る充実した展覧会

 予備知識もなしに突然思い立って出かけたわけですが、結果は大正解。期待を大きく上回る充実した展覧会。

 この美術館はドイツのケルン市が運営する、20世紀から現代美術に特化した美術館。コレクションは民間からの寄贈品で構成されている。現在も新しい作品の購入を財団で進めていて、展示されている152点のなかには2014年、2016年の作品もある。まさに、生きて、成長する、市民の美術館。昔ケルンに一泊したことがあるが、観光でなかったので朝の散歩に大聖堂を訪れただけなので、知らなかった。

 会場に置いてあったチラシには、「本展覧会では、館名に名を冠するルートヴィヒ夫妻をはじめとするコレクターたちに焦点を当て、ドイツ表現主義や新即物主義、ロシア・アヴァンギャルド、ピカソ、ポップ・アートなど、絵画、彫刻、写真、映像を含む代表作152点をご紹介します。」とある。

ピカソのコレクションでは世界有数 20世紀から現代までの芸術だけでなく時代が感動をもって展望できる

 また、ルートヴィヒ美術館のホームページを見ると、「アメリカ以外では最大のポップ・アートのコレクション」があり、「ルートヴィヒ夫妻は数百点のパブロ・ピカソのコレクションを遺贈した。」と紹介されている。ピカソのコレクションでは世界有数。

 展示されている作品やこれらの説明を見てすぐに思い出されるのは、ニューヨークのマンハッタンにあるグッゲンハイム美術館。イタリアのヴェネツィアにもグッゲンハイムの姪のコレクションを収蔵・展示する美術館がある。

 いずれも個人のコレクションが主体だが、もちろんコレクターが違うので、収蔵品の色合いは異なる。しかし、20世紀から現代までの芸術だけでなく、時代をも楽しく感動をもって展望できる。

日本の画家たちも同じ時代の空気を吸って、創作活動をしていた

 展示された作品のどれが良かったと紹介するまでもないが、あえて個人的にあげれば、やはりピカソ。なかでも大作の「アトリエにて」。1964年に終焉の地である南仏カンヌ近郊の小さな村のアトリエで描かれた、晩年の作品。あと、写真でマン・レイの「ジャン・コクトーの肖像」と「アルノルト・シェーンベルク」の肖像が興味深かった。

 京都国立近代美術館の収蔵品展示も「ルートヴィヒ美術館展」の展示作品と同時代の日本作家の作品。入ったところで地元京都の画家、竹内栖鳳(せいほう)の「若き家鴨」が出迎えてくれた。また、大阪出身の小出楢重の作品群も良かった。日本の画家たちも同じ時代の空気を吸って、創作活動をしていた。

 なお、会期は1月22日まで。平安神宮に参拝して帰宅しました。掲げた図は、展覧会チラシと手持ち資料のスナップショット。