公開すべきものを秘密、秘密にすべきものを公開 「要求水準書」は評価委員会に馴染まない

 昨日紹介した新病院の設計施工を発注するための「要求水準書」。それについて、あといくつか触れるべきことがあったが、話が長くなるので略しました。

 ひとつは病院評価委員会との関係。昨年11月14日の評価委員会の最後の事務連絡で、次回は今春、「要求水準書」がまとまった段階で開催する予定と布施政策監が説明した。

 その時その説明を聞いていて変だなと思ったが、昨日書いていて思い出した。

 就任当初から密室主義の栢木市政が「要求水準書」公開で審議するとは不可解。公開すべきものを秘密にし、制度・手続き上秘密にすべきものを公開で議論しようとしている。

 昨日概要に触れたように、「要求水準書」は入札の重要書類であり、仕様書の一部になる。応札者はその内容を見て、応札するかどうか判断し、応札する場合はそこに示された条件等を積算に反映させる。したがって、市にとっては、基本設計からはじまって病院竣工までの数年間と100億円を超える事業費の命運がかかっている。そのような情報を含む文書を公開で審議するとはトンデモナイ。

 万一、評価委員会を非公開にしたところで、委員会の審議に馴染むものではない。なぜなら、公開非・公開を別にして、「要求水準書」の内容は、おそらくほとんどの委員には読み解けない。市役所内でも、ごく一部の担当以外は読まないし、読み解けない。ましてや、上本医大学長が仕切った、先の委員会のような形骸化した無責任審議では手に負えない。

 このように見てくると、先を見ないで事務を行き当たりばったりで進めているのではないかと心配になる。

入学試験の問題作成を受験生に依頼するようなもの

 したがって、「要求水準書」の作成には、慎重で緻密な検討と詰めた非公開の作成作業が必要であり、そのためのチームが要る。そして、そこでは弁護士や会計士が重要な役割を果たす。粗雑な基本計画をつくるレベルの作業とは異なる。

 ところが、市長は、というより正確には前川病院事業管理者は、その作業を病院の基本計画を作った株式会社プラスPMに随意契約で委託しようとしている。慌てているので、すでに契約を終えたかもしれない。

 昨日も書いたようにこの企業には「要求水準書」策定の能力はあるだろう。しかし、問題は、この企業は基本計画だけをつくる会社ではなく、竣工まで関与することが本来業務であること。基本計画だけでは企業にとってまったく魅力はない。ということは、今後も受注者の立場でいる可能性が高い。そのような将来的に受注者の立場に立つ可能性のある企業に、それも随契で発注条件の根幹となる資料の作成を委託するとはもってのほか。このようなやり方は、例えれば、入学試験の問題作成を受験生に依頼するようなもの。

市民の利益を代弁する弁護士と会計士を依頼すべき 前川管理者の覚悟のほどは?

 さらに問題は、弁護士と会計士について、その確保をこの株式会社プラスPMに委ねる意向であることを布施政策監は議会答弁した。その理由として市の顧問弁護士にでは対応できない趣旨を述べた。しかし、顧問弁護士である必要はない。この両専門家については、市が独自に徹底して市と市民の利益を代弁する専門家を責任をもって依頼すべきである。

 そこで最後に心配になること。それは一昨日から書いてきた一連の事業がすべて、前川管理者の名前と責任において行われること。すべての契約書は栢木市長の名前ではなく、前川管理者の名前で締結される。当然責任を負うのは前川管理者。令和8年度開院の市民への約束、また、昨年触れた駅前の病院予定地の起債の一括償還も同様に前川管理者の責任。前川管理者の覚悟のほどは?