体育館は市長熟考後の霊感のお告げで決まった 宗教的組織に近い? 

 昨年末の市議会で病院事業関連の補正予算として9300万円が可決されました。その内容は、病院予定地の地盤調査や測量の経費及び4200万円の「要求水準書」策定費。

 そもそも、基本計画ができたのであれば、いまさら地盤が安定・安全かの調査をすることは、後先が逆。通常であれば、地盤が安定・安全な土地を選んだうえで、基本計画の策定を行なう。このような異例なことになったのは、昨年の約5カ月にわたる栢木市長の熟考後、霊感か神のお告げのような形でいきなり体育館が職員に指示されたから。土地の安全確認より先に結論があった。したがって、計画ができてから土地の安定・安全を調査・確認するという異常な事態になっている。

 ただし、未だ熟考の経過・内容は明らかにされていない。議会での質問に対しても答弁を拒否。

 ここまで辿ってくると、これは民主主義制度に基づく行政組織の運営とはとても言えない。個人企業でも、もっと説明責任を果たさないともたない。どちらかと言えば、野洲市は宗教的組織に近いのではないかと思えてきた。

 

 

4200万円は「要求水準書」作成費 設計施工一括発注だから必要

 9300万円の病院予算の内の4200万円の問題について書き出したところ、流れが自然に逸れていきました。本題に戻ります。

 4200万円の使い道である「要求水準書」は一般的には馴染みがなく、分かりにくい。これは、病院整備を、通常発注でなく、設計施工一括発注(デザインビルド)するために必要となる書類。

 通常発注では設計、施工、設計管理など各工程ごとに積算して入札を行う。そのため、各段階で最新の積算が行われるとともに、競争が働いてチェックが入る。しかし、一括発注の場合は、数年間にわたるすべての工程を1企業または企業体を選定して発注する。そのため、最初に巨額な契約額を確定するとともに、竣工までの長期間契約になる。

 その間には、市からの注文変更や受注企業からの資材や労賃の高騰による契約額増、また工期の延長等々双方から様々な要求が出てくる。それらを想定して、入札と契約に臨まなければならない。それを客観的に文書化するのが「要求水準書」。

 

 

発注・契約は法の規定で競争入札が原則 随契は最後の手段 ここでもお告げか?

 したがって、「要求水準書」の作成には、言うまでもなく設計、施工の専門的な知識・能力はもちろん、契約に関する法律と会計分野の専門的知識・能力が必要となる。とくに、法律と会計は重要で、その分野に通じた弁護士と会計士の参加が必要。

 市長は、この「要求水準書」作成業務の委託先を予算審議に入る前の段階、すなわち開会以前の12月21日の特別委員会の場で1業者に随意契約すると公言した。

 市長のこれまでのやり方では、おそらくこの表明が前提の上で予算案を提案し、可決されたので、随契は議会も承認済みと言い張るつもりだろうが、そうはいかない。

 自治体の発注・契約は地方自治法の規定により、競争入札が原則。それも競争入札は不特定多数の応札者を前提とした一般競争入札が原則。それが困難であったり、馴染まない場合に限って指名競争入札が認められる。競争を排して最初から1者との随意契約は、ある意味最後の手段。しかし、市長は最初から結論ありき。ここでもお告げか?

法に基づき総務省が示す随契理由

 できるだけ法文の引用を避けるために、総務省のホームページから引用します。随契を行なう場合の理由として次の項目が挙げられている。いずれも今回の場合は該当しない。

 また、長所と短所を上げているが、短所は「地方公共団体と特定の業者との間に発生する特殊な関係から単純に契約を当該業者と締結するのみではなく、適正な価格によって行われるべき契約がややもすれば不適正な価格によって行われがちである。」

①予定価格が少額の場合

②性質又は目的が競争入札に適しない場合

③障害者支援施設等から物品等の購入等を行う場合

④新商品として生産される物品を買い入れる場合又は新役務の提供を受ける場合

⑤緊急の必要により競争入札に付することができない場合

⑥競争入札に付することが不利と認める場合

⑦時価に比し著しく有利な価格で契約締結できる場合

⑧競争入札に付し入札がないとき、又は再度の入札に付し落札者がない場合

⑨落札者が契約を締結しない場

「契約がややもすれば不適正な価格によって行われがちである」疑い晴れない

 今回の随契の問題は、法に基づく総務省基準に該当しないだけにとどまらない。問題は随契の相手業者。これについても議会ですでに明らかにしている。それは、Bブロック病院と体育館病院の基本計画作成業務を受託した株式会社プラスPM等。

 言うまでもなく、基本計画作成業務と「要求水準書」策定業務は業務の性格も内容もまったく異なる。

 ところで、布施政策監はこの業者の基本計画の成果が良かったことを随契理由にする旨を議会答弁した。しかし、そんなことは理由にならない。今回の成果が良かったかどうかは別にして、通常は良いことがあたり前。そのことを随契理由にするなら、他の業務でも一度契約した業者とは随契を繰り返すことになる。

 それよりも、そもそも一昨年夏のBブロック病院のプロポーザル手続きも不透明であった。通常であれば複数者が応募するものが、1者しかなかった。そして、 審査結果の得点は満点が200点のところ127点。そのうえ合格基準点が120点であることは後出しで公開されたし、審査票の得点は公開されなかった。

 この株式会社プラスPMはコンストラクションマネジメントを専門とする企業で、設計、施工を通じて全工程に関わり、竣工まで関与する企業。 

 市のこのような進め方では。Bブロック病院の基本計画から入って、ずるずるとこの企業1者と密室関係にのめり込んでいく。広く他の企業に均等に機会を与えない。まさに、「契約がややもすれば不適正な価格によって行われがちである」疑いが晴れない。

少なくとも市民から見れば企業の信頼度は低い 妖怪に信用性飲み込まれた犠牲者?

 この企業のホームページで見るかぎりでは実績と評価は悪くない。しかし、野洲市の病院事業の観点から見るかぎり、残念ながら高く評価できない。

 その理由は、Bブロック病院の基本計画業務を契約どおりに完了させなかった。このような場合、入札制度の通常対応では、指名停止。また、すでに指摘したように、どう想定してもあり得ない新病院が令和8年度に開院するなどという基本計画を作った。このように少なくとも野洲市民から見ればこの企業の信頼度は低い。

 ここにも滋賀医科大学の上本学長はじめ、京大、県立大の専門家同様、野洲市の妖怪に信用性を飲み込まれた犠牲者がいるのか?