「滋賀県教委「人権侵害」と判断」

 今年も残すところあと1日。気になっていたが、取り上げなかった話題を2つ。

 ひとつは、野洲市立小学校での教諭によるいじめ事件。12月26日のテレビニュースと翌27日の新聞で比較大きく報道された。そのなかでも、新聞によっては「児童いじめで教諭を減給処分  滋賀県教委「人権侵害」と判断」(毎日新聞2022年12月27日)といきなり野洲市のことを大見出しに掲げていた。

 他紙では、「教員4人懲戒処分」など一般的な表現だが、情報は県教委の26日午後の記者会見が元なので、内容はほぼ同じ。そこで目を引くのが、学校現場、それも授業中の教室内で担任教員による児童への人権侵害が行なわれたという公式判定がなされたこと。記事では次のとおり。

 「野洲市立小の教諭は5~7月、担任する2年生男児に「言葉を知らない」「スルー(無視)しよう」との発言を繰り返し、他の児童によるいじめを誘発。保護者に「お子さんは発達障害」とも発言し、県教委は人権侵害にあたる不適切指導として処分した」。(読売新聞2022年12月27日)」

その間市教育長がが憂き身を窶つしていたことは駅前文化ホールの廃館と解体

 この事件は、今年9月に新聞報道が先にあってから、市教委が9月29日午後、緊急記者会見を開き明らかになった。いじめが発生してから数か月もたってから報道に急かされてからの公表。それまでは何をしていたのか?どうするつもりだったのか?

 その間市教委と教育長が憂(う)き身を窶(や)つしていたことは、野洲駅前の文化ホールの廃館と解体。西村教育長は6月15日の市議会で、国の有利な補助制度がある間にホールの解体を急ぎたいと答弁し、12月議会にはホールの廃館の条例を可決すると公言した。そして、6月12日と17日の両日市民説明会を開いた。当時このことに触れ、分野は文化行政ではあるが、教育長がこれでは、野洲市の教育自体が危ないと書いた覚えがある。

 ついでに付け加えれば、教委として体育館病院を審議した7月7日の市スポーツ審議会で、病院が建てば駐車場は足らないが、「病院が建った後だったら、駐車場を農地転用ができるんです。」と、都市計画法を無視した虚偽の説明をしている。

市の教育が危険を越えて、地に落ちた状態 平穏で子どもたちが無防備で矢面に立たされている

 今回処分があったいじめ事件は、まさに事実として危ない事件、というよりそれ以上。人権侵害が起こっていた。そのうえ、あとで発覚したところでは、今年2月に同じ小学校で教員による同様のいじめ事件が発生していたのに、それは伏せたままにしていた。

 厳しく言えば、野洲市の教育が危険を越えて、地に落ちた状態。26日に県教委の発表があってから時を置かず、教育長と教育の最終責任者である市長から何らかのコメントや対応の報告があると期待した。

 ところが、市ホームページや報道で見るかぎり何の反応もない。また、人権侵害の文言が見出しや記事にあっても、保護者や市民の間に、知る限りでは動揺はない模様。冷静平穏で不思議な状況。ということは、子どもたちが無防備状態で直接矢面に立たされていることになる。

「長浜市の副市長の襟元をつかんだとして、暴行の疑いで書類送検された市議会議員が、罰金10万円の略式命令」

 もうひとつは、他市での事件との比較。今月中旬、他市の知人が野洲市とは対応が違うと連絡してきました。それは、長浜市議が書類送検された事件。

 当時の報道では、「副市長の襟元つかむ 容疑で長浜市議を書類送検 滋賀県警」(産経新聞WEB2022年12月9日18:58)の見出しで、「捜査関係者などによると、送検容疑は10月20日午後6時ごろ、市役所6階の廊下で、江畑仁資副市長に対し、「徹底してやるぞ、わりゃ」などと言いながら、スーツの左襟元をつかんだとしている。市側が同月25日に暴行罪で刑事告訴していた。」(産経新聞WEB2022年12月9日)となっている。

 暴言と暴行という点では、報道のかぎりでは、部下である職員に暴言を吐き、ペンを投げた栢木市長のパワハラと大きくは違わない。ところが、長浜市では市長が暴行罪で刑事告訴し、その結果、市議が書類送検された。

 そして、今月12日付けで長浜簡易裁判所が罰金10万円の略式命令を出した。このことは、22日から24日にかけてテレビや新聞で報道された。テレビ報道を紹介します。

 「長浜市の副市長の襟元をつかんだとして、暴行の疑いで書類送検された市議会議員が、罰金10万円の略式命令を受けていたことが、裁判所への取材でわかりました」。(NHK滋賀 NEWS WEB2022年12月22日)

重大性は、報道によると、野洲市長のパワハラの方が重い

 記事を読む限りでは、認定された行為は「襟元をつかんだ」こと。栢木市長のパワハラと比べると、長浜市の場合、被害者は特別職の副市長であり、議員とはほぼ対等の立場。かたや、野洲市の場合は市長より立場の弱い一般職。

 また、長浜市の場合、報道のかぎりでは、心身の被害はなかったようであるが、野洲市の場合は、パワハラと認定され、被害者には心身の後遺症が残ったし、そのうちの1人は1年を残して早期退職に追い込まれた。

 このように見てくると、両者の重大性は、報道によると、野洲市長のパワハラの方が重い。

きっかけは長浜市が県立高専の選に漏れたこととバイオ大学の公立化?

 同じ県内でなぜこのように違いが出たのか?他市の状況の詳細までは分からないが、これを書くにあたってネット情報を当たってみた。すると、当該市議の言動に関して、市長から議長あてに「議会運営に関する申し入れ」と題する公文書が矢継ぎ早に出されている。さすが、直前までは裁判官であった市長らしい律義さ。

 そして、それら文書のなかに、当該市議の発言が克明に記録されている。いずれも同時に報道機関に資料提供されたらしい。

 読みにくい文書のすべてに目を通す余裕はないが、長浜市のホームページに公開されている記録の冒頭部分を見ると、事の起こりのきっかけは、長浜市が県立高専の選に漏れたことらしい。冒頭部分の当該議員の委員会での発言を引用します。

 「まず高等専門学校を最初は高月中跡地、あとは長浜北高跡地、そのあとバイオ大学駐車場跡地と転々と目まぐるしく変わったなかで、最後はここへ来たかという感じです。」

 「なぜにこれにこだわって、あくまでなんかバイオ大学を公立化するのが当たり前のような、今の話やないけどスマートインターまでできるかできんかまだわからない状況のなかでそこまでシュミレーションを描いてやある、描いて、説明がありましたけども、私はどお考えても理不尽にしか思わんのは私だけではないと思います。」

 「しかしこれをやるなとかやるとかゆうんじゃなくて、まずおたくらの職員の『・・(判別できず)』ですね、これ市民の税金つかうんですよ、市民の税金をコンサル。市民の税金に例えば地域の振興、産業の振興にお金つくんなら市民も納得してもらえると思います。これ誰かが納得せんなんがためにしてる事業としか映らないんですよ。」(令和4年10月32日長財第88号「議会運営に関する申し入れ」別紙)