修正案提案されたが賛成7否決 市長案が賛成10で可決 田中議員が市長派に転換

 今日12月22日の市議会閉会日の採決の模様をネットで傍聴しました。焦点の議案は2つ。駅前商業開発の1900万円を含む一般会計補正予算案(議第104号)(議第110号)と9300万円の体育館病院事業費を含む病院事業会計補正予算案(議第110号)。

 これらの採決に当たっては、駅前病院を支持し、体育館病院に反対の議員たちから、それぞれの予算案からこの部分のみを除く修正案が出された。

 そして、これら修正案の提案説明が行なわれ、それに対する質疑。その後、市長(原)案と修正案それぞれに対して議員から討論として、賛否の発言があり、採決に移った。

 採決の結果は、修正案はいずれも賛成少数で否決され、市長案が可決された。2つの修正案に賛成したのは、岩井、鈴木、橋、東郷、山﨑敦志、益川、小菅の7市議。他は、市長案に賛成。以前の流れからは1人減った。それは田中議員が市長派に転換したため。

 

田中陽介議員が駅前病院反対、商業開発賛成に明確に舵を切った

 修正案の提案内容、それに対する質疑、そして市長(原)案と修正案それぞれに対して議員から討論での発言の概要は後で簡単に紹介しますが、実質は特別委員会や今議会での議案質疑と同じ。

 それよりも、今日の印象的なところを先に紹介します。

 まずは、これまで腰が据わらない姿勢ではあっても、大きく見れば駅前病院賛成のように思われていた田中陽介議員が駅前病院反対、駅前商業開発賛成に明確に舵を切ったこと。今日の発言からは、実質的には市長派のもっとも急進的な立場であるとの印象を受けた。  

 転換の理由は、議員の発言からすると、病院評価委員会の判断を尊重することと流れを止めるわけにはいかないと言ったところか?

 

服部議員発言 守山の医師数名が急先鋒で体育館病院に反対 彼らは誤った情報でチラシを配布し、マインドコントロールを行なっている

 もうひとつ印象的なこと。それは服部嘉雄議員の市長案に賛成する討論での発言。その内容は、聞くに堪えない、ということは書くに堪えないわけだが、医師会の対応を批判。

 とはいっても、公開の本会議での発言なので、そのさわりを紹介します。発言の趣旨は次のとおり。

 医師会が、市長が守山市にある医師会の本拠に出向かないと協議に応じないという対応は遺憾。医師会は体育館病院に反対と言っているが、実際は数名の守山の医師が急先鋒。彼らは誤った情報でチラシを配布して、マインドコントロールを行なっている。医師会は反野洲市政である。

 

市長のパワハラの方がイメージダウン被害甚大 税収増の案はない

 このあたりで、今日の流れをごく簡単に紹介します。

 一般会計補正予算案の修正案は益川議員が代表して説明。連名は、岩井、鈴木、橋、山﨑敦志、東郷の5市議。ホームページに公開の資料から引用すると趣旨は次のとおり。

 「野洲駅南口の開発については、野洲駅南口周辺整備構想が策定されており、「心と体の健康をテーマに人と人とがつながることで生まれるにぎわいづくり」というコンセプトの中で、新病院はヘルスケアパークなど健康増進を目指す機能を合わせ持った、構想の中核となる必要不可欠な要素であった。

 しかし今回、市は温水プール跡地での病院整備を進めるという方針を立て、空いた駅前の病院用地をにぎわいづくりのスペースとして活用するということだが、あまりに拙速な進め方であると言わざるを得ない。」

 これに対して、奥山議員が質問。質問の中身が不明瞭だったので、省略して、奥山議員の意見部分を紹介します。次のとおり。

 駅前病院ができないという厳正な事実がある。

 行政は生き物であり、日々刻々変わる。民間は特にそうだ、地元自治会と商工業者の要望を実現しないといけない。長年空き地のままでは、イメージダウン。

 このイメージダウンの発言に対し、益川議員は市長のパワハラの方が被害甚大とやり返した。至言。

 他方、益川議員は奥山議員に反問。市長は南口構想のコンセプトを引き継ぐと言っている。しかし、元の案には栢木市長が主張する税収増が入っていないが、それは具体的にどうなるのか?

 奥山議員の答えは、野洲市財政は県内でも一番苦しい。駅前で資金需要を生み出す。また、民間企業に頼り、市の顔となるコンセプトを作ってもらう。この奥山議員の答えは、「資金需要」も含め、意味不明で答えになっていない。要するに土地売却が目的で、税収増の案は存在しない。

 また、益川議員は、市長の2年にわたる二転三転の紆余曲折と5カ月間の熟考をどう評価するかと反問。

 奥山議員の答えは、駅前で病院つくらないという市民の民意が市長の熟考。これも意味不明。

 稲垣議員も4点質問したが、本質的でなく、中身がなかったので省略。それよりも、最後に益川議員に擦り寄る姿勢で、同じ考えだから、一緒にやっていこうと猫なで声で発言を閉じたことが印象的。討論での発言は省略。

田中議員の市長案賛成の理由は病院整備が進むこと 評価委員会を高く評価

 病院予算案の修正案については橋議員が説明。

 これに対しては、田中議員が市長案賛成者の代表といった感じで多くの質問。今日はこの後も田中議員は大活躍。

 ただし、その質問内容は、地盤の軟弱、電磁波の影響、事業費の高騰などをどの程度予想しているのかといった、本来は執行部にする質問。また、質問に当たって自分の意見も述べなかった。

 特徴的だったのは、評価委員会では医師会以外に反対なく、他の委員は賛成だったなど、評価委員会を高く評価したこと。

医大上本学長の評価委員会では、根拠が揺らぐどころか、具体的な根拠示していない

 討論では、岩井議員と益川議員が修正案に賛成の意見を述べた。市長案に賛成は先に紹介した、服部議員と奥山議員、田中議員。

 岩井議員は、地盤の問題、電磁波対策、事業費の高騰、医師会との連携がまだ取れていないことなどを理由に修正案賛成、市長案に反対。益川議員もBブロックでの市長対応が原因となった医師会の市長に対する不信感の解消、医師会との公開の協議を前提に同様。

 対する奥山議員は、1月の市長あての創政会の要望書で求めた、病院を駅前以外が実現して喜ばしい。評価委員会や市民懇談会で市民のコンセンサスが得られたので賛成。

 服部議員の発言はすでに紹介した。

 最後は、田中議員。市長案に賛成の理由は、これによって病院整備が進む。そもそも、今回の評価委員会の結果では、もともとの駅前病院の根拠が揺らぐとまでのすり寄り発言。

 今回の医大上本学長の評価委員会では、根拠が揺らぐどころか、具体的な根拠を示していない。したがって、そもそも、根拠が揺らぐどころか、それ以前のこととして、早期整備以外、体育館病院の中身に関する具体的な根拠を示していない。

市民はしばらくの間市長のお手並み拝見というところか?

 田中議員の発言のなかで気になったことは、今回の補正予算が基本設計の準備業務であると言ったこと。設計施工一括発注を前提にしているので、基本設計どころか実施設計、建築工事まで含む発注の準備作業。議員は、基本的なことも理解していないのではないか?

 市長の閉会挨拶は、体育館病院の事業化が正式に決定。今後、設計施工を一体的に進める支援業務に取組むという宣言で終わり。

 当然予想された結果ではあった。今回の予算案の中身は地盤調査や発注に向けての支援業務経費。その議決でもって、体育館病院の事業化が正式に決定とまで言えるかどうかは別にして、市長やそれに賛成した「市長与党会派」、公明党、立憲民主党議員たちがそう思っているなら、市民はしばらくの間、市長のお手並み拝見しか仕方ないのか?いずれにしても病院と駅前の当面の問題点はすでに指摘しつくされている。