市長は契約解除の目的が分かっていない 就任前に誰かの指示を受け、事前に違法にも職員に事務作業をやらせて初登庁日に独断で通知?

 去る11月28日付けの住民訴訟における市長の準備書面。その一部を昨日紹介しました。それらの他にも市長は訴えに反論するために数々の主張を行なっている。決め球がないため、数打てば当たる鉄砲のごとく打ちまくり。なかには、背後や脇からの援護射撃のように飛び出してくるので、味方を傷つける場合もある。昨日の3例と同様のレベルだが、迷走論理としていずれもが決定打にならない。いくつか例をあげると次のとおり。なお、繰り返しになりますが、これら市長の主張は過去のものでなく、ごく最近のもの。

 次に紹介する2つの主張からは、別の病院をつくるつもりで契約を解除したのか、そうでなかったのか、内容が矛盾して分からない。

 言いかえれば、市長は契約解除を何のためにしたのか自分でも分かっていない。就任前に誰かの指示を受けていて、あらかじめ違法にも職員に事務作業をやらせて文書を作り、初登庁日にいきなり独断で通知させたのではないか?原文は次のとおり。

 「市長は、本件各契約の解除等をしたにすぎず、 異なる『病院を設置』したわけではない。」

 「市長の選挙公報においても、市民病院建設問題を真っ先に取り上げているのであり(甲25)、 市長が元の整備計画への反対を表明して、 市長選に当選したことは明らかである。

そうだとすれば、 元の整備計画、すなわち病院設置条例第1条2項が定める住所地とは異なる内容の病院設置を前提とした、 本件各契約の解除等は民意に基礎付けられていることに他ならない。

 そのため、市長による本件各契約の解除等の判断は、 民意に基礎付けられているのであり、全く根拠のないものなどと到底いうことができない。」

選挙結果が議決と同じ効力を持つと勝手解釈 絶対王政時代の王様と勘違?

 次の主張の基本は、市長に委ねられているとする広範な裁量権。準備書面のいたるところで、選挙で示された民意と市長に委ねられた広範な裁量権を根拠にしている。

 言うまでもなく、民意は選挙後の議決によって確認されるべきもの。そのことを無視して、栢木市長は選挙結果がそのまま議決と同じ効力を持つと勝手な解釈をしている。これはもちろん、二元代表制の議会軽視、というより、無視。

 また、条例と議会決議を無視できるほどの広範な市長の裁量権とはどこに根拠があり、具体的に規定されているのか?そもそも市長の裁量権とは、条例や議決予算に定められた範囲内の執行権。絶対王政時代の王様の権限と勘違いしているのではないか。準備書面の原文は次のとおり。なお、「参加人ら」は、原告である市民のこと。

 「参加人らは、 市議会が令和2年12月18日に「野洲市民病院実施設計業務の継続・完了を求める決議」をしていることを重視するが、 上記の通り、市長には広範な裁量が委ねられているのであり、 当該事実をもって裁量権の逸脱・濫用と主張するのは無理がある。」

市長の本音は良い病院をつくることより場所の変更 勝訴と病院の場所変更に見境なしで矛盾の泥沼 市民を道連れに

 最後は、昨日も紹介した文章。その時は、市長が病院の早期建設を重要と考えていないことに注目した。

 「新病院建設は、野洲市の医療及び財政等に大きな影響を有するものであり、早期建設という観点のみから判断すべき事項とまではいえないし、 新病院の設置場所変更により、設置に時間がかかったとしても、それは選挙結果に基づくものであり、民意が許容しているものである」。

 再度引用した理由は、「新病院の設置場所変更により」の部分に注目したから。ここにも本音が出ている。

 本来ならば、良い病院をつくるためとか、計画より安く、半額で病院をつくるためとかというはずなのに、場所の変更しか上がっていない。市長の目的は、良い病院をつくることより病院の場所の変更。

 要するに、以上のことから見えてくることは、訴訟に勝つためなら、筋が通るか通らないかに関係なく、何でも主張する。また、他方では、病院の場所の変更のためなら、民意も関係なしに強引に体育館病院をすすめる。住民訴訟に勝訴することと病院の場所変更しか頭になく、見境なしに突き進む。これでは市長は自ら矛盾の泥沼にはまり込む。市民を道連れに。