ネガティブにならざるを得ない

 野洲市の病院計画について今日思い浮かんだ言葉が、標題の「便宜・恩義・随契・癒着・歪み」。それぞれの言葉単独では、価値中立で善悪の意味を帯びていない。むしろ恩義などは直感的には、良い意味を帯びている。ただし、このように並べるといずれもがネガティブ(否定的・悪い)な意味を帯びてくる。

 ネガティブと言えば、すでに紹介したように、12月8日の橋議員の病院についての一般質問に対して栢木市長は、その内容がネガティブであると言下に切り捨てた。しかし、橋議員はそれに怯(ひる)むことなく、ネガティブにならざるを得ないと切り替えして、質問を続けた。

市長のマインドコントロール手法について書き出すと炙り出し絵のように上本学長の存在が浮かんできた

 ところで、今日これら一連のネガティブな言葉が思い浮かんだのは、おそらく昨日、一昨日と触れたマインドコントロールや根拠のない院外薬局からの連想。そして、そのマインドコントロールには評価委員会の委員長である滋賀医大の上本学長がかかわっている。

 市長のマインドコントロール手法について書き始めたときは、上本学長のことは一切頭になかった。しかし、書き進むにつれて、炙り出し絵のように上本学長の存在が浮かんできた。

上本委員長の評価委進行は市長への便宜 科学者・研究者の発言でなく、さすが学長らしく政治的発言

 そして、そこから今日の「便宜」につながる。とりわけ11月14日の上本委員長による評価委員会の進行は、どうみても栢木市長への便宜。

 橋議員が指摘したように、体育館病院に対する議員や市民の理解と賛同が大勢になっていなくても、何が何でもその計画をごり押ししようとする市長にとっては、この日の評価委員会での合意は必須。結論保留や反対などはとんでもないこと。

 そこで、当日は資料説明のなかで計画案についてはあらかじめ委員長が確認し、了解している旨を担当次長が付言。そして、委員長は計画の中身の議論を避けて、病院の早期整備を理由に形だけの合意に漕ぎつけた。会議で異を唱えたのは、医師会の小西会長だけ。その少数意見への委員長の対応は、まさに「医師会の反対理由が分からない」と繰り返す市長の姿勢と同じ。

 そして、そこへもう一人の助っ人が加わった。「私自身には今提案されている場所を強く否定する理由はない。電磁波の話でも、守山野洲医師会として心配されるのであれば、国等に意見される必要があるのではないか。」(「令和4年度第1回野洲市民病院整備運営評価委員会要録」)と滋賀県理事の角野委員が議論を逸(そ)らす発言。

 最後の上本委員長のまとめ発言が市長の意向への「便宜」を象徴している。「今回の計画を逃すと医師の確保も非常に困ったことになる可能性があると考えている」。(要録)病院の場所や中身よりは、何でもよいから早く病院をつくれという意味。これは、事実・真実を追求する科学者・研究者の発言ではない。さすが学長らしく政治的発言。

便宜・恩義は公共では禁じ手 回り出すと抜けられず、癒着・歪みと先へ転がり危険 学長の恩義は前川管理者の就任と厚遇?

 上本学長が市長に一連の便宜を図ってきたように第三者には見える。これは推測であるが、学長は市長かその背後にいる人物に恩義があるか、それを期待しているからではないかと考えられる。

 このことは私だけの思い込みではないようで、昨日のブログを読んでくれた人から「上本氏、ずるいですね。ケビンスペーシーの”交渉人”で、犯人に放たれた警官の言葉、”自分だけ逃げようたって許さんぞ!”でしたっけ、クライマックスでしたね。えらいことになったら、法的(ないし、倫理的に)に彼を訴えられるといいのですが。」という反応が返ってきました。

 この話題はこのあたりでひとまず閉じますが、言うまでもなく、便宜・恩義の関係はプライベート(個人的関係)なら良いが、公共政策・事業では禁じ手。この関係が繋がり、回り出すと簡単に抜けられない。癒着・歪み、そしてその先へと転がって行って危険。

 ちなみに、当たっているかどうかの確証はもちろんないが、上本学長の市長への恩義として、差し当たり思い浮かぶことのひとつは、前川管理者の就任とその厚遇。

業者選定では便宜・恩義・随契・癒着・歪みがフルセットで出てくる

 後、随契・癒着・歪みを取上げます。一番わかりやすい例は、今回の基本計画等策定支援業務。Bブロック病院計画案の修正業務という名目で、400万円の追加補正予算を議会可決して実施した。昨年度の1千万円あまりのBブロック病院計画案は未完でありながら、不明朗な終了となっている。

 正常な予算手続きであれば、新たに体育館病院計画予算として確保すべきである。しかし、おそらく主に次の3つの目的でこのような予算措置になったと思われる。

①昨年度のBブロック病院計画案の決算手続きの不明朗さの隠ぺい

②体育館病院計画策定経費を低く見せかける

③Bブロック計画案策定にかかわった業者と随意契約する

 仮に昨年度のBブロックの成果物情報を活用するにしても、成果物が客観的にしっかりとあれば、それを前提に新たな業者を対象として、競争入札ができる。

 いや、そうしなければならない。なぜなら、Bブロック業者選定のプロポーザルでは1社しか参加がなく、実質的に競争性は働かなかった。また、幹部による業者選定にあたっての評点の付け方も、不明朗で、いまだ官製談合の疑いは消えていない。

 さらには、今後の問題として、先の議会質問に対して、設計施工一括発注のための4千200万円の要求水準書策定業務をこの業者と随意契約する意向であることを布施政策監が答弁した。計画策定とは異なる業務の随契は異例だし、万一この論理で行くならこの業者は病院の竣工までかかわる恐れが出てくる。

 そこで気になることは、今回の追加の400万円、また場合によっては当初の1千万円強の業務で経費的に無理が生じているのではないか?これは推測の域を出ないが、その補填として、言いかえれば市が業者に借りを返すために、次の高額な契約を随契しようとしているのではないか?

 ここでは、便宜・恩義・随契・癒着・歪みがフルセットで出てくる。もちろん、市長はそのようなことはないと否定するだろうが、これまでのように密室でやっていれば市民の疑念に抗弁できない。李下に冠を正さずの諺どおり、もっと、というより当たり前の透明、公正、競争性を確保した手続きに戻るしか方策はない。このままでは、先は危険。