二転三転は「一日も早く病院を整備するため」? 勝手な解釈でレールを敷こうとしている

 明後日11月29日から市議会定例会が始まります。会期は12月22日まで。提出される議案はすでに議員と報道機関には示されていて公開情報ではあるが、市民には分からない。ただし、先の11月21日と22日のふたつの特別委員会の議題であった体育館病院と駅前開発に関係する補正予算案や条例案が出てくる。

 いずれの特別委員会でも審議は、すでに紹介したとおり、生煮え、消化不良の状態で、合意形成にはほど遠かった。しかし、時を置かないで約週間後の明後日に大きな金額の補正予算案として出される。

 合意形成にはほど遠かったのは、特別委員会だけでなく、病院の市民懇談会も同様だった。また評価委員会でも肝心の医師会は体育館病院に同意しなかった。

 さらには、市ホームページに公開されている11月10日と14日の部長会議の記録を見ても庁内でさえも落ち着いていない。10日の議論では、「現地半額建替え」公約との関係を指摘する意見に応えて市長は『駅前に病院を整備しない』というのが私の公約である。整備場所について二転三転して皆さんに迷惑を掛けたが、それは一日も早く病院を整備するために行った判断の経緯だと思っている。」と応えているような状況。急ぐために二転三転とは、普通には出てこない市長のいつもどおりの迷回答。

 実態はこのようであるが、市長は体育館病院を前提に「総じて速やかな病院整備に向けて期待する積極的なお考えが大勢になっていると確信しております。」と勝手な解釈をして、次の定例会の採決でレールを敷こうとしている。

当面の行き先は駅前市有地売却と病院が消えるか、市民にとって遠い病院 「カレーの市民」の苦悩に近い 

 今の市議会の構成では市長から議案が出されれば、どのような内容であろうが可決される状況。したがって、駅前開発と体育館病院はそれぞれ特別委員会で示された方向でレールが敷かれる見込み。とは言っても、本当のところ具体的な行先は明らかではない。駅前開発はすべてが業者の提案任せ。事業の中身だけでなく、市有地の処分までも。業者が売ってくれと言えば売り、貸してくれと言えば貸す。まったく主体性がない。これでは自治体ではなく不動産業。おそらく、土地の賃貸は契約関係が複雑になるとかなどの理由をつけて、売却の方に誘導される。

 他方、病院の方も一応計画書類はあるが、維持期病棟をはじめ病床構成や診療科目など多くが未定。それ以前に土地の状況からして本当に病院が建てられるのか怪しい。万一建ったとしても、普通の市民のための病院でなく、広域を前提にした高齢者用に特化した病院になりそう。これでは、体育館病院はたとえ出来たとしても、市民にとって交通アクセス上も機能上も遠い病院になる。

 このように辿ってくると、レールの当面の行き先は、駅前市有地が売却され、病院が消える、万一消えないとしても市民が期待してきた病院ではなくなるといったところか?

 ここまで書いてきて脈絡もなく浮かんできたのは、オーギュスト・ロダンの「カレーの市民」の彫像。ロダンは「考える人」で有名なフランスの彫刻家。いずれも東京上野の国立西洋美術館の前庭に展示されている。

 野洲市民が実感しているかどうかは別として、実情は「カレーの市民」の彫像に表現された苦悩に近いのではないか?参考に、以前撮った「カレーの市民」等の写真を添付しておきます。