最善と早くを天秤にかけ、最善無視し早くを選ばせる手口 その帰結は最善でないことは確か 結果的に早くの意味も消える 

 1114日の病院評価委員会から21日の病院特別委員会、その間の18、19日の市民懇談会、さらには昨日22日の都市基盤特別委員会と、この1週間あまりの慌ただしい動き。これを見て、つくづく実感することは、真実よりは数、そして「早く」という追い込みによる脅迫観念効果。

 ただし、ここでの数は市民全体を対象にした数ではなく、市議会での議員数。また、「早く」という追い込み効果は、まさにある種商売の手口。今買わないと明日は値上がりする、あるいは売り切れて手に入らなくなると急かせて粗悪品を高く売りつける商法。

 新しい市民病院整備という重要で巨費が伴う事業を進めるのに、「最善」と「早く」を天秤にかけ、「最善」を無視して「早く」を市民に選ばせる。いや、市民が選ばなくても、市長は議会での数を頼りに強引に進めてきた。

 いうまでもなく、何ごとにおいても「最善」と「早く」の両方が満たされなくてはいけない。この強引な進め方の行く先は当然「最善」でないことは確か。もちろん、「最善」でないため、結果的に「早く」の意味もなくなる。

 

記事の紹介では体育館反対2、賛成1 賛成理由は「早く」 

 ところで、先に特別委員会の話題を取り上げたので、市民懇談会の報道で紹介できてなかったものがあります。「新病院整備へ向け基本計画説明 野洲市が市民説明会」の見出しで、「栢木進市長は『一日も早く新病院を整備したい』と強調。市民からは選挙公約と計画案で隔たりがある事業費について説明を求める声や、審議が拙速だという意見もあった。」(中日新聞2022年11月20日)

 このあと市民懇談会での市長案に対する厳しい意見が2つ詳しく紹介されている。他方、体育館病院賛成の意見の紹介は1つだけ。例のごとく内容でなく「早く」を理由にした、市長の地元で体育館がある地域の住民からのもの。次のとおり。

 「江部の男性は『いろんな意見はあるが、これ以上、新病院の整備が遅れては困る』と早期着手を訴えた。」(中日新聞2022年11月20日)

二転三転の迷走を棚上げ 市長は体育館病院の「経済的合理性」を明らかにする必要がある

 この記事は次のような市長の答えで終わっている。

 「市長は『選挙公約は前市長計画の対案で、(現市立病院の)建て替えと改修を合わせたもの(だった)。今回の全面新築と公約の事業費は比較できない』と説明。さらに『Aブロックでは何年もかかった上、入札は不調。私は駅前での新病院整備は経済的合理性がないと主張して当選した』と声を強める場面もあった。」(中日新聞2022年11月20日)

 「早く」の必要性の理由を栢木市長自身の二転三転の迷走を棚上げして、前市政のせいだけにしている。Aブロック計画は全くゼロからの検討であったし、民間病院の市立化手続きも伴った。そして何より、栢木市長もかつて議員として属した会派は、病院議案を6回も否決して足を引っ張った。さらには、「入札は不調」と今になってまで言及されると、真否は確認できていないが業界も含め当時ささやかれていた、1年後の市長選までは着工させるなという、入札不調疑惑があらためて思い出される。

 以上のことよりも、記事からすれば、市長は何よりもまず、体育館病院整備の方の「経済的合理性」を明らかにする必要がある。