評価委員会の判断基準は「早く」だった 早くを優先なら明らかに駅前になる

 これまで病院評価委員会の資料と11月14日の会議の傍聴をもとに体育館病院計画案の問題点について書いてきました。このあたりで明らかになったことを、とりあえずまとめます。

 評価委員会での判断基準は詰まるところ新病院を「早く」でした。もちろん市民にとっても期待してきたところであり、これに異論はない。

 しかし、本当に「早く」を優先するなら、評価委員会の判断でなく新病院は駅前に建てるべきとなる。加えて実質の工事費も安くなる。その理由はこれまで何度も述べてきたので詳しくは繰り返しませんが、要点は次のとおり。

 

駅前の場合は早くて安い 体育館の場合は遅くて高い 

◆駅前の場合は早くて安い

①市街化区域であり、すぐ建築にかかれる十分な土地がある。

②栢木市長が2年前の就任直後に止めた、最終段階にあった実施設計情報が活用できる。

③約11億円の土地代は、10億5千万円の国交付金と別途の交付税と合わせて十二分に補助される。

体育館の場合は遅くて高い

①ボーリング調査など土地の具体的な調査をしたうえで、土壌・地盤強化対策工事が必要。そのための経費が必要。

②市街化調整区域であり建物が建てられないため、建築には都市計画法に基づく手続きに時間が必要。

③体育館の大型屋外階段の移設はじめ体育館の改修工事が先に必要となる。そのための経費が必要。

④国スポと障がい者スポーツ大会開催のため、プレ大会含め相当の期間工事の中断が必要。時間もかかるし、安全対策や工事中断補償のための経費が必要。

すぐにバレる嘘よりは、市長の結論だから異論ないと正直にいうべき 権威ある専門家たちが一瞬のうちに信頼性落としたことに

 このように新病院を早く、安く建てるなら駅前市有地になる。これは明白なこと。

 それなのに、評価委員会では、小西医師会長を除き、滋賀医大学長の上本委員長はじめ市民代表含めほとんどの委員が、早くを理由に計画案に異論なしと言った。おまけに、具体的なデータに基づく議論はなかった。

 なぜこのような、筋の通らない不可解なことになったのか?

 考えるところ、その理由は、11月14日の会議の栢木市長の開会あいさつで明らか。栢木市長は自らが出した方針であったBブロックを体育館病院に変更したことの釈明のなかで、今年正月以降の熟考後、職員に体育館を指示して作業を始めたと述べた。加えて、すでに紹介したとおり、体育館病院については市議会で十分議論いただいたと言明。さらには、7回の市民懇談会でも体育館病院が大勢であるとの趣旨を述べた。

 あらかじめこのように釘を刺されては、よほどの人物でないと体育館病院に異論は唱えられない。

 しかし、嘘は良くない。体育館病院の方が早いなどと、すぐにバレる嘘よりは、市長が先に結論を出して諮問しているから異論がないと正直に言った方が良かった。残念ながら気の毒に、本来なら権威あるべき専門家たちが、その信頼性を一瞬のうちに落としたことになる。

 なお、既述のとおり計画案の高齢者用に特化した病院では、市民への医療サービスと財政負担の両面で市民の負担は過大になる。ひいては、市の将来にもかかわる。