異論は出ず「大きな前進」? 筋書きできていたお芝居に不自然さと危なさ!

 1日遅れで今朝の新聞にも11月14日の病院評価委員会の記事が出ていました。内容は昨日紹介した記事とほぼ同じ。

 「市の病院整備運営評価委員会に基本構想・基本計画案を説明した。委員からは大きな 異論は出ず、柏木進市長は『大きな前進』と話した。」(朝日新聞2022年11月16日)

 すでに紹介したように、滋賀医大学長はじめ、病院長、教授などあれだけの専門家と市民代表が参加しながら、具体的な質問や意見もなく、ほぼ全員が計画案に異論なしだった。立地や病院の中身を議論しているよりは、急げとばかり。

 そのなかでひとり気を吐いて意見と疑問を呈していたのは、医師会代表の小西会長だけ。

 今日の記事を読んで、あらかじめ筋書きができていて、それぞれにセリフが割り当てられていたお芝居だったのではないかと、改めて不思議さと不自然さ、そして危なさを感じた。

表面的な事実をなぞるだけで、本当の事実報道になっていない 維持期病棟は機能が不明 3/4高齢者用は人口構成から大きく外れる

 これまで紹介したように、体育館病院に関しては場所の不便さや土地の安全性など立地上の問題、そしてそれと関連するが、今回示された病院の内容、また経営見通しと財政面などで多くの問題がある。それらの問題をきちっと押さえたうえで、計画を進めるかどうかの判断が必要。

 しかし、その役割を担っていた評価委員会が、異論なしで、実質もろ手を挙げて賛成。報道もこのような表面的な事実だけをなぞっているだけで、本当の事実報道にはなっていない。

 これは、先の大戦中、大本営発表をそのまま記事にしてたのと同じことを、平和で自由な時代に相変わらず自発的に繰り返しているようなもの。このまま進めば危険。

 たとえば、「病床数は現病院と同じ199床。将来の需要を考慮して急性期病棟を110床から50床に減らす一方、高齢化がさらに進むとして維持期病棟50床を新たに設ける。」(朝日新聞2022年11月16日)

 今後高齢化が進むとしても、市は人口の減少も見込んでいる。そのようななかで、高齢者用病床が本当にそれほど必要なのか?計画案では、回復期病棟50床と地域包括ケア病棟49床がすでにある。これらも実質的に高齢者用。したがって、維持期病棟を入れて、病床全体の3/4が高齢者用の病院になる。これではなにがなんでも、市民の人口構成からは大きく外れ、医療需要の実態を満たさない。

 ただし、記事にある維持期病棟は、資料に説明がないし、実のところ機能がはっきりしていない。

高齢者特化病院は「荘子」の「胡蝶の夢」のようにはかなく、曖昧な話 危険回避に残るは市民の判断

 ところで、今回の計画案は、急性期の利用が少なく、高齢者の利用が多いという現市立野洲病院の直近の現状を基本にしている。しかし、この状況は、施設や装備が老朽化し、新病院の展望がなくなったために医師はじめ医療専門職員の減少の影響を受けたもの。市内の医療需要の実態を正確に反映していない。そのデータをもとに病院像を描けば歪む。このことは、今回の計画案の病床構成などとBブロックのそれとの違いを見れば明らか。市長はBブロック病院の方針を踏襲すると言っていたが、それに反している。

 そもそも、高齢者用病院に特化した病院を建てることを目的にして、体育館敷地に病院を建てようとしているのか?

 それとも駅前土地を空けることを目的にして、仕方なく体育館敷地に病院を建てることになり、その結果、アクセスはじめ立地等の制約から高齢者用病院にせざるを得なくなったのか?

 これは、「荘周が夢で胡蝶となったのか、それとも胡蝶が夢の中で荘周になっているのか?」という、「荘子」の「胡蝶(こちょう)の夢」のようにはかなく、曖昧な話。

 評価委員会が市民の期待に応えず、頭から白旗掲げて総崩れとなったからには、危険回避のために後に残るのは、市民の判断。