市長のハラスメント防止の行為規範策定

 1週間余り前、どうなっているのかと疑問を呈した市長のパワハラ再発防止の指針ができたようで、今朝の新聞で報道されています。  

 「市は1日、第三者委の提言を受けたハラスメント防止の行為規範策定や外部相談窓口の設置などの対策を発表した。

 行為規範では、市長ら特別職が正しい知識を持ち、ハラスメントを許さない環境作りに努めると規定。『職員の立場や個性を理解し、人権を尊重する』『職員の任命権を一部の政治的目的及び個人的理由により乱用してはならない』などと定めた。」(毎日新聞2022年11月2日)

第三者委が防止効果が高いとした肝心の内部協議経過の文書又は音声等による記録化は抜けている

 ただし、第三者委員会が「ハラスメント事案を防止する効果は高く見込まれる」としていた肝心の「特別職と一般職との内部協議の経過を文書又は音声等により記録化」は抜けている。記事は次のとおり。

 「一方、第三者委は特別職と一般職の協議経過を記録することも提言していたが、市は記録化の基準を設けることは見送った。市は理由について『各部署で必要に応じ、協議録を作成している』とした。」(毎日新聞2022年11月2日)

市長と職員の協議経過の記録化を行為規範の中で義務付けなければ再発防止の実効性は確保できない

 第三者委の提言は3つあった。それは、①行為規範策定②協議経過の文書又は音声等による記録化③外部相談窓口。

 通常であれば、行為規範の中に体系的に協議経過の記録化と外部相談窓口を入れて定める。提言の中で市長のパワハラ防止の実効性ある具体策は、市長と職員の協議経過の記録化。このことを行為規範の中で明確に義務付けなければ、再発防止の実効性は確保できない。第三者委の「答申書」では次のとおり。

 「本委員会は、特別職と一般職との内部協議の経過を文書又は音声等により記録化する対策を取ることを提言する。記録化をしているという意識を持つことで、業務上の必要性及び相当性を逸脱しないよう自制する効果が 生まれ、ハラスメント事案を防止する効果は高く見込まれる。

 また、記録化をすることで、特別職による決定、留保等指示の内容が明確 となり、職務命令を受けた一般職が不利益を受けないための手立てとしても 有効である。」

「各部署で必要に応じ、協議録を作成している」なら、市長のパワハラは防止できたはず お題目の行為規範だけ

 新聞記事で紹介されている「職員の任命権を一部の政治的目的及び個人的理由により乱用してはならない」などのお題目だけなら、すでに第三者委の「答申書」で例示されている。例えば次のとおり。 

 「一 般職において政治的中立性を守りつつ職務に徹すること、特別職において一 般職の中立性を尊重し、その知見に基づく助言を真摯に受け止め、助言に反 する場合には具体的な根拠に依ることなどを内容とする行為規範を成文化することを提言する。」

 したがって、これほどの時間は必要なかったはず。

 また、記録化については、従来から「各部署で必要に応じ、協議録を作成している」というのであれば、それによって市長のパワハラは防止できたはず。結果的には、お題目の行為規範だけ。これでは、多額の経費と労力を費やして出された第三者委の答申書の肝心のところを尊重していないことになる。言い換えれば、市長と副市長がパワハラ事件の深刻さを痛感していないことの証。

市民代表と公器が存在を示せず、機能を果たしていない

 今回の発表がなぜ11月1日なのか?また、先日の市立野洲病院の男性医師の飲酒運転での懲戒処分の発表は10月29日であった。

 10月25日午前に議会の全員協議会があり、その日の午後に市長の定例記者会見があった。しかしそれらを外して、その直後に五月雨式に重大な内容を会見をしない、そして質問を受けない、資料提供の形で公表している。これでは、議会はもちろん報道機関までもがまったくないがしろにされている。野洲市では市民代表と公器が存在を示せず、機能を果たしていない。

 この状況は、これまでの病院と駅前問題の状況と同じ。