原因を教員の資質問題に矮小化した結果、公式の対策は教員の資質向上策に限定

 昨日紹介した野洲市いじめ事件の報道では、市長への報告と公表が大きな話題になっていました。肝心の被害児童や保護者、加害者とされる教員、そして学校や教育環境のことが抜けている。

 これは報道側の問題もあるが、当初から市教委がいじめ事件の原因を教員の資質の問題に矮小化して公表したことに誘導されている。

 このことは、市ホームページに掲載の9月30日付けの西村教育長の公式見解に典型的に示されている。

 「そもそも今回の事案の『原因は何か』と多くの方々から問われております。当該の教員の心身の状況、校内での職務の状況等、いくつかの要因を挙げることはできます。しかし、どれだけ忙しくとも、教員としての倫理観、当然持ち合わせておくべき人権感覚から外れた言動は、許されるものではないと考えております。」

 したがって、この見解から導き出される対策は当然、教員の資質向上策と、限定的にならざるを得ない。

 「1. 管理職による所属教職員への服務指導の徹底

  2. 教員の言動が児童生徒に及ぼす影響、人権感覚の向上、児童生徒理解、特別支援教育に関する研修の実施

3. 教室に対する複数見守りの実施」

 

 

教育長は教育委員会への報告と審議なしに付け焼刃の公式改善策を公表 野洲市の4人の教育委員の存在が見えない!

 今回のいじめ事件が報道され、教育長が緊急記者会見を開いたのが、29日の午後。なぜ翌日に早々と教育長の公式見解として改善策が出されるのか?

 これでは、自ら付け焼刃対策ですと証(あか)しているようなものではないか?このことと関連して見落とされている重要なことは、4名いる教育委員の存在。

 教育委員会は、中立的・専門的な教育の行政運営のための複数の教育委員による合議制の執行機関。参考に文科省の資料を添付しておきます。

 

 

 ところが、野洲市の教育関連問題では、この間教育委員の姿がまったく見えない。体育館病院、それによる国スポ等の開催支障問題、文化ホールの閉館と解体。そして今回明らかになった2件のいじめ問題。

 とりわけ、今回の重大ないじめ問題について、市教委の4人の教育委員は、どの時点でどのような報告を受け、どのような審議を行い、判断を下したのか?

 少なくとも、毎月開かれている市教育委員会の定例会の今年2月から8月までの会議録の次第を見た限りでは、いじめの案件はなかった。

 教育長は、教育委員会への報告と審議もなしに、いじめの重大事態事案に関する公式の改善策を出したことになる。

 

市長の「公表するなとは言っていない」は絶妙のギャグ 「パンがなければお菓子を食べればいい」に匹敵

 ところで、導入がつい長くなりました。今日の本題は、昨日報道された市長の発言。「公表するなとは言っていない」。

 これを読んだ時に、絶妙のギャグ(冗談・しゃれ)だと思った。この発言からは、市長が公表を禁止しなければ、不利益(ネガティブ)情報を含め、職員が自発的に、公表すると市長は考えていることになる。暢(のん)気で、気楽な発想だが、現実にはあり得ないこと。

 この発言は、時代状況は大きく違うが、「パンがなければお菓子を食べればいい」に匹敵する。

 この言葉は、フランス革命期の市民の窮状に疎く、世間知らずな王妃マリー・アントワネットが発したと誤って伝えられてきた言葉。

 パンがない窮状であれば、ましてや、お菓子はない。このような非情な認識の国王ルイ16世と王妃を処刑した後付け理由のひとつとして流布した。

 「パンがなければお菓子を食べればいい」は実際は王妃の言葉ではなかったようだが、「公表するなとは言っていない」は栢木市長の実際の発言。

 言うまでもなく、市の情報を公表するのは市長。あるいは、市長の名前で公表するもの。市長自身が公表しなければ、あるいは市長が公表するよう指示しなければ、職員は、とりわけ不利益情報を公表しない。したがって、市長が気づいて自分で公表するか職員に公表を指示しない限り、不利益情報の公表はなされない。まさに、パンがない窮状では、それより高価なお菓子は存在しないように、市長の積極的な初動(アクション)がなければ、職員が自発的に不利益情報を公表することは一般的にない。

 

教委は市長のパワハラから学習 市長のストレスが鬱積しているのか?

 ところが、それを行った勇気ある職員たちが実際はいた。その結果は周知のとおり、市長によるパワハラ。

 教育長はじめ教育委員会の職員が通常の学習能力を持っている限り、今年3月に明らかになった市長のパワハラ事件から学んで対応してきたと見るのが当然。

 このように見てくると、「公表するなとは言っていない」と言って、自らの潔白を証明している気になっている栢木市長だけが、自ら起こしたパワハラ事件から学んでいないことが明らかになる。ただし、西村教育長もこの市長の実態から、研修に効果がないことは学習していない。

 ところで、このようなことを今日考え、書き出していたら、市民から情報が送られてきました。栢木市長のフェイスブック。昨日10月4日14時頃の市長の勤務時間中の発信。すでにYahooニュースのコメントにも、このことが書かれているようなので、送られてきた画像も紹介します。よほど市長のストレスが鬱積しているのか?