野洲市の財政貢献(負担)が大きく期待されている!
報道と県の公表資料をもとに2日間、県立高専の紹介をしました。高専について最初に書いたのは今年4月15日。標題は「野洲市病院と滋賀県高専、どちらの実現度が高い? 栢木市長が要望で『身の丈』は合格?」。
そのきっかけは、市の部長会議記録。3月22日の会議録に、「2月の全員協議会で報告した県立高専の市内誘致について、県へ要望書を提出するので3月の全員協議会で資料配布を行う。本日午後に開催される自治連合会役員会でも説明させていただく。」
ただし、これまで市民向けには情報提供はまったくないし、議会での質問もない。今回の立地場所決定である程度情報が出てきた。そこで分かったことは、野洲市が高専のグラウンド等と国のために国有地に河川防災ステーションを整備すること。
すでに紹介したように、県の発表資料では、「市が国有地に河川防災ステーションとしてグラウンド等を整備することによりコストを低減」と注記され、滋賀県の三日月知事からは野洲市の財政貢献(負担)が大きく期待されている。
市の財源調達は? 手数料値上げ、文化ホール解体とも整合性取れない
グラウンド等と河川防災ステーションの整備には、設計・施工に億単位の経費がかかる。その額はもちろん、それの調達方法も課題。
県の資料では、県は高専整備にPFI(民間資金・経営能力・技術力活用)も想定しているようだが、市の場合、グラウンド等と河川防災ステーションでの採用は一般的に困難。財政難を理由にした、10月からの使用料・手数料の一斉値上げ、また文化ホールの閉館・解体とも整合性が取れない。加えて、河川法の占用手続等の負担も煩雑。
27年度開校と28年度開院 どちらの実現度が高い?
これらに加えて、大きな問題はスケジュール。高専の開校は2027(令和9)年春。今回の報道でもこのことは確認されている。「滋賀の県立高専、野洲市に決定 27年度に開校」(日本経済新聞2022年9月20日)
他方、11月議会で計画を確定すると市長が表明した体育館病院は、2026(令和8)年度に開院予定。
高専整備が誘致合戦だけで終わり、後は県にお任せならば良かった。しかし、高専整備で市がこれほどの大きな事業を抱え込むことになっては、ただでさえ困難な体育館病院の実現が見通せるのか?もちろん、野洲市が負う過大な負担の帰趨(きすう)は、県立高専の実現をも左右する。まさに、野洲市病院と高専、どちらの実現度が高い?