県が当初6月8日に選定したとおり決定

 昨日触れた滋賀県の高専の立地。もう少しスッキリしない点があるので、補足します。

 県が当初に公表した県立高専の立地条件は県有地であった。まず、面積が2万㎡であるなどの要件を満たす県有地6カ所を県が6月8日に候補地としてあげた。そのなかでは、旧野洲川敷地が270満点中、最高の151点だった。

 その後、これに対して県内市町が独自に用地を準備すればそれを考慮して評価し、最終的な立地選定を行った。その結果、当初県があげた県旧野洲川敷地について、野洲市が隣接の国有地約10万㎡を加えて、15万㎡の用地を提案したので、9月20日に県が当初6月8日に選定したとおり決定したというもの。

 

 

流域治水の実証フィールドとして活用? 国有地に野洲市が河川防災ステーション整備? 野洲駅から1.3kmというアクセスの良さ?

 このことを、昨日引用しなかった、良くまとまった別の新聞記事から引用します。

 「高専の設置場所について同県は6月に県有地の中の最適候補地として旧野洲川(4万3000平方メートル)を選定。新たに県内自治体からの提案を募ったところ、9市から9カ所の応募があった。最終的に選定されたのは県有地の最適候補地に隣接する国有地を加えた野洲市の提案だった。

 選定では校地や交通、コストなど6項目を点数化して評価した。旧野洲川は231点となり、次点だった彦根市のJR稲枝駅西側地区を8ポイント上回るトップだった。当初の県有地案に野洲市が国有地を加えたことで、旧野洲川の点数が80点上積みされた。

 野洲川を流域治水の実証フィールドとして活用する可能性が広がった。国有地に野洲市が河川防災ステーションを整備し、通常時は高専のグラウンドとして使うこともコスト低減につながった。」(日本経済新聞2022年9月20日)

JR琵琶湖線の新快速電車が止まる野洲駅から1.3キロというアクセスの良さに加え、近くに京セラやオムロンなど製造業の拠点が集積する点などが評価された。」(日本経済新聞2022年9月20日)

 

 

高専にどれだけの面積が必要? 野洲市はなぜ15万㎡を提案し、県は採用したか? 巨大なグラウンドと河川防災ステーション整備   

 昨日紹介した県の公表資料には「市町提案地の概要および審査結果」として、9候補地の面積と1位と2位の配点が示されている。

 この資料を見て腑に落ちないことは、そもそも県立高専にはどれだけの面積が必要なのかということ。野洲市は、なぜ破格の15万㎡の用地を提案したのか?また、なぜ県はそれを受け入れたのか?このような破格の面積を前提にして、巨大なグラウンドと国のために「河川防災ステーション」を野洲市が整備する根拠と必要性がどこにあるのか?

流域治水との関係不明 1.3㎞は直線距離で実際は2.16 km 巨大なグラウンドと河川防災ステーション整備は密約になる 病院問題の県、コンソーシアム、野洲市長のとトライアングルを連想させる

 また、「流域治水の実証フィールドとして活用する可能性」(日本経済新聞2022年9月20日)が高専とどう関係するのかも不明。

 さらに、「野洲駅から1.3キロというアクセスの良さ」(日本経済新聞2022年9月20日)というのも疑問。直線距離ではないか?

 もし、この計測が通用するなら。野洲駅から高島駅までの距離は約25kmになる。しかし、実際の道路距離は、約1.5倍の約38㎞。これと同様に、現状での想定通学路の距離は、2.16 km。実際は使えない生活道路を通る最短距離でも1.58 km。これでは、病院の市民説明会に参加した市民が言っていた、「悪徳不動産屋の広告」と同じではないか?

 このように見てくると、これはいわゆる出来レースではなかったのかとの疑念が湧く。

 この疑念以上に問題なのは、昨日も触れた、野洲市が高専のために巨大なグラウンド、そして国のために「河川防災ステーション」を整備すること。

 市民は、用地が確保されれば、高専の施設整備はすべて県が行うものと思っていた。しかし、立地選定の条件が上記のようであるならば、あらかじめ密約があったことになる。県政、野洲市政、そこに国が絡んだ三つ巴の密約になる。これでは、旧態依然の行政に戻ってしまう。

 この三つ巴は、1者が異なるが、以前に紹介した病院整備にかかる県、コンソーシアム、野洲市長のとトライアングルを連想させる。