まだ燻(くすぶ)るコンソーシアム加入問題

 久しぶりに市ホームページで市長の記者会見記録を見ると、最新のものとして、8月23日のが載っていました。例の病院事業管理者と顧問を発表した時のもの。

 目を通して、まだ燻(くすぶ)っていると思ったのが、地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアムの加入問題。以前紹介したように、7月21日の記者会見でも話題は、ほとんど地域医療連携推進法人への市長の加入手続き問題で占められていた。記者たちの関心の高さが分かる。

報道機関への市長の約束は果たされた?

 7月21日の記者会見では、市長は報道機関に約束をした。その約束が果たされたかどうか定かでないが、約1か月後の8月23日の会見でも記者たちは納得していない。まず、7月の約束は次のとおり。

記者… 説明していただきたいのは、1月31日に市長は、「野洲市はコンソーシアムに加入している」と発言しています。なぜそのような発言をしたのかが知りたいです。説明していただきたいです。

市長… 調べて議会に報告させていただきます。

記者… 分かり次第こちらにも報告してください。

市長… しかるべき形で報告させていただきます。

コンソーシアム側に過誤があった!

 次に8月23日の会見要点を引用します。

記者… 8月10日の市議会全員協議会で、市長は湖南メディカル・コンソーシアムの問題について、これまでの経緯を説明されました。その中で、益川議員が情報公開請求した会議録の録音データについて、その公開手続きが適正であったか調査すると述べられています。その後、どのように調査されたのですか。

副市長… 現在、顧問弁護士に確認をする手続きを行っている段階です。市長にご判断いただく前の段階です。

記者… 顧問弁護士に相談した上で判断するということですね。

副市長… 一定整理した上で最終的な判断を行います。

記者… 市長の説明では、コンソーシアム側の事務連絡上の過誤により、市立野洲病院がコンソーシアムに加入済みの参加法人としてホームページに掲載されたことについては、市の顧問弁護士に依頼して、コンソーシアムに事実関係を確認したとおっしゃいました。コンソーシアム側は、この件についてどのように説明しているのですか。

市長… 過誤があったと言っておられます。

記者… どのような過誤があったのですか。

市長… 私が「表明・確約書」を送付した時に、市は法人であり、このことをもって入会した訳ではなく、稟議が必要であると伝えてあるにも関わらず処理したことに対して間違いであったと認めておられます。

記者… コンソーシアムに取材を行ったところ、市の顧問弁護士から今回の件について問い合わせがあり、文書で市に提出すると回答されています。その文書をコンソーシアムから報道機関に提供は行わないが、市が報道機関に提供することは構わないということでしたので、提供していただけますか。

コンソーシアム側が過誤を認める文書を出しても栢木市長の信頼度が上がるわけではない!

 以上の記録を読むと、市長が個人的に行った加入手続きであり、市長自身が一番事実を知っているはずなのに、市の顧問弁護士まで煩わせて大事になっている。それとともに、コンソーシアム側も加入手続き上の過誤を認める文書を発行せざるを得ない状況に追い込まれている。そもそも、過誤の原因を作ったのは、個人で手続き書類を送付した市長ではないか?いやそれとも、それ以前にコンソーシアム側に、市長にそのような行為に走らせる原因があったのか?

 いずれにしても、これまでの議会でのやり取りで、コンソーシアムの理事決定が栢木市長の電話一本で即覆るなど、その運営規律の信頼性が落ちているのに、市顧問弁護士に対して加入手続き上の過誤を認める文書を発行するとなると一層信頼性が落ちる。

 ただし、この過誤を認める文書が出されたとしても、栢木市長が書類を自宅に送ってもらって提出したこと、また、9月7日の岩井議員が紹介した加入したと発言した音声記録が存在するため、栢木市長の信頼度が上がるわけではない。

 ここまで来ると、コンソーシアム加入問題は、ある意味、野洲市の病院問題の象徴。

 

 

医療に詳しくない市長がなぜコンソーシアム加入の必要性を確信? 相変わらずの論理矛盾

 ところで、先の本会議での岩井議員だったかの質問に対して、市長は、やや感情的になって、コンソーシアムは県が認定した団体であるのに批判することは心外だという趣旨の発言をした。以前にも同様の発言があった。よほど思い入れがあるらしい。

 改めて、厚生労働省の資料から地域医療連携推進法人の概要を紹介します。

 「一般社団法人のうち、地域における医療機関等相互間の機能分担や業務の連携を推進することを主たる目的とする法人として、医療法に定められた基準を満たすものを都道府県知事が認定」。

 当然、多くのメリットがあるとともに、デメリットもある。同じ厚生労働省の資料からあえてデメリットを紹介すると、「参加病院が自治体病院の場合、病院の運営は行政の管轄であり、連携法人が意見照会する余地はない。大規模法人の運営する病院も、事実上、同様である」などが挙げられている。

 議会答弁では、栢木市長は加入のメリットとデメリットを明らかにしないで、最初から加入の結論ありき。そして、議員が加入について具体的に疑問を呈すると感情的になってコンソーシアムを擁護するばかり。医療に詳しくないことを理由に病院事業管理者と顧問を置いた市長がなぜそこまで確信的にコンソーシアム加入の必要性を判断できるのか?相変わらずの論理矛盾。