国政が野洲市政の後追い 決めてから説明

 今日9月5日、いつものように朝ラジオを聞いていると、岸田首相が国葬について国会の閉会中審査で説明するというニュースが耳に入った。それを聞いてとっさに思ったことは、これは野洲市の栢木市政の後追いではないかということ。

 後でネットで確認すると「岸田首相 『「国葬』“実施の意義など閉会中審査で丁寧に説明”」(2022年9月4日 20時36分NHK)という見出しで出ていた。

 報道の内容は、「安倍元総理大臣の『国葬』をめぐって『今週、閉会中審査など国会で議論する場を設けていただくようお願いしている。そうした場を設けていただいたならば、国民に丁寧に説明する努力を続けていかなければならない』と述べました。」(2022年9月4日 20時36分NHK)。

民主主義が前提にする手続きは、説明、議論、決める

 以上の引用どおり、首相は、説明だけでなく、議論にも言及した。このことは、記事に添付されている動画の首相自身の発言でも確認できる。

 言うまでもなく、決めてから議論するとは、後先が逆であるし、民主主義に反する。あまりに当たり前すぎて言うのもはばかられるが、民主主義が前提にする手続きは、決めるにあたって、まず説明をし、その説明をもとにして議論をし、決めるというもの。

 ところが、報道された首相自身の発言では、この民主主義の手続きの基本からまったく外れている。これで大丈夫かと心配が増す。

 

決めてから説明という手法は、栢木市長の常とう手法 体育館病院が典型

 ところで、決めてから説明という手法は、栢木市長の常とう手法。特に、病院と駅前問題では典型的。今、争点になっている体育館病院についても、5月18日の市議会特別委員会でいきなり結果として示して説明を始めた。その後も、市民懇談会で説明を繰り返したが、実際のところ、未だ多くの市民の理解は得られていない。

 そして、栢木市長からは、体育館敷地を前提とした基本計画等の可決後に、「新予定地が最適だという根拠を示すための予算で、場所の決定を断行するものではない」(毎日新聞2022年8月13日)と後戻り発言まで出だした。 

野洲市政の手法は最良の学校ではなく、反面教師 後追い止めないと、迷走状態に至るおそれ

 そもそも、一昨年秋の市長としての初登庁日の11月2日に、栢木市長は独断で駅前Aブロック病院の実施設計業務を中止。その後、議会で業務継続の決議が可決されたがそれも無視して、実施設計業務の委託契約を途中解除。この行為に対して、住民監査請求と住民訴訟が起こされたが、説明を行ったので民主的な手続きを経ていると繰り返すばかり。このような結果が、病院問題の二転三転の迷走状態と今の体育館病院。

 地方自治は民主政治の最良の学校と言われるが、言うまでもなく、すべての地方自治が民主政治の最良の学校であるわけではない。そのための制度的な要件を備えているに過ぎない。

 決めてから説明する手法を繰り返し、結局何も決められない現在の野洲市政の手法は、最良の学校ではなく、反面教師。国政は、その反面教師の後追いを止めないと、迷走状態に至るおそれがある。