業績あげた病院長を差し置き、副院長の抜擢人事は市長の掲げる「民間の知恵と力」に反するお役所発想

 今日8月30日、市議会の定例会が開会。ネットで傍聴し、公表された議案概要を見ましたが、病院と駅前に関して取りたてて注目すべき議案はなかった。駅前に関して何らかの議案があると思っていたが、意外。先に可決された条例が未施行なので身動きがとれないのか、それとも密かに事が進められているのか?

 そのようななかで、あえてあげれば、議第78号「令和3年度野洲市病院事業会計決算の認定について 」とそれに連動する議第 93号「令和3年度野洲市病院事業会計未処分利益剰余金の処分について」の2議案。

 まず、後者の議第 93号「病院事業会計未処分利益剰余金の処分について」を見ると、昨年度決算で約16億5700万円の剰余金が出た。これまでも紹介したように、主な収入源は国からの新型コロナ入院病床確保による国からの補助金。この補助金は今年度前半も継続しているので、議第85号の今年度の病院事業会計補正予算でも約2億8200万円の増額が計上されている。この収入は、病院長はじめ職員の積極的な頑張りによるもの。

 市長は、これほどの業績をあげた病院長を評価しないで、それを差し置いて、今年4月から腰掛で副院長であった人物を病院事業管理者に抜擢する予定。これでは、市長の掲げる「民間の知恵と力」の市政運営の反対。新病院を人口、交通動線、経済活動の中心でなく、単なる地理上の中央に立地するという発想と同様、旧来のお役所発想。

 

市長の「民間の知恵と力」がまやかしであることの表れ

 話がそれましたが、議案ではこの約16億6000万円の剰余金の内、3億円を減債積立金に、同じく3億円を利益積立金に、2億3000万円を建設改良積立金に積み立てるという議案。公表されている資料では分からないが、残る8億3000万円は今年度にそのまま繰り越して、駅前A、Bブロックの起債の繰り上げ償還の財源に充てるつもりか?

 ところで、病院職員の給与等の仕組は、人事院勧告に準じていない分、「民間」同様に業績に応じた弾力性が持たされている。市長は病院職員に対してこれほどの好業績の貢献に対する配慮を実施したのか?これまで明らかにされた情報からは、そのような配慮なしで決算が打たれている。ここにも、市長の「民間の知恵と力」がまやかしであることが表れている。

違法な支出に監査委員のお墨付き 赤信号を無視して車を突っ込むのと同じ 

 次に、議第78号の令和3年の病院事業会計決算の認定。ここには、上に述べた巨額な収入とともに、例のBブロック病院基本計画等策定の委託料1千万円超の支出が含まれている。本来であれば、昨年度内に完了されるべきものが未完になったまま事業費が支払われている。仮に、何らかのやむを得ない事情があって事業が完了できなかった場合は、3月議会において議案として議会の繰り越し承認が必要であった。しかし、その手続きは取られていない。したがって、本来の目的が達成されていないのに市民の税金から支払いを行ったことになり、明らかに違法な支出。

 自宅の新築を契約して、未完成のまま放置さたままなのに、満額の代金を払う施主はいない。もし、払う場合は、施主に瑕疵責任がある場合。今回のはこれと似た事例。

 今後の審議で議員はどのような議論をするかだが、監査委員は早々と問題なしのお墨付きを出した。今日の本会議で、市長の議案説明の後、久松代表監査委員が昨年度の決算審査の報告を行った。その報告では、すべての会計の決算を了とするものであった。ただ少しは心が咎(とが)めたのか、このBブロック病院基本計画等策定の委託料にふれ、慎重に進められるべきであった旨のコメントを付けた。

 この久松代表監査委員の報告には、もうひとりの監査委員である東郷議員の意見も入っている。これでは、監査委員も議会もチェック機能を放棄し、市長の違法行為を追認したことになる。議場のことだからたちまちの事故にはならないが、これが道路の交差点でのことであれば、赤信号を無視して車を突っ込むのと同じ。

 ここまで来ると、「民間の知恵と力」のまやかしどころでなく、遵法意識の欠如とその実践。