益川議員が市長の法人加入問題について発言 部下たちが苦労を重ねている 

 昨日8月23日の市議会全員協議会では、病院事業管理者と病院事業顧問の人選について報告はじめ、他部局の報告についても議員から質問や異論は出されなかった。

 ただし、前川氏の挨拶が終わり会議が一区切りついたところで、益川議員が突然手をあげて確認事項があると発言。それは、これまで議会質問やパワハラ第三者委員会で取上げられていた、市長がコンソーシアム(法人)加入手続きを行った問題。

 そもそもこの問題が明らかになったきっかけは、今年1月31日の市長と病院長等の協議の最中に、市長自らが「コンソーシアムに加入した」と発言したこと。この時の協議の記録がメモと録音で存在していることが議会でのやり取りで明らかになっている。

 昨日の益川議員の発言は、市長の音声データの提出について調査状況を説明してほしいというもの。市の情報公開制度にのって公開を請求している。しかし、2週間近く経っても対応されていない。速やかな対応を求めるという趣旨。

 これに対して、副市長が、録音が公文書に当たるのか、手続きなどを顧問弁護士に相談すると答弁。この要領を得ない副市長の答えには、納得できなかったので、益川議員が食い下がった。すると、今度は川端総務部長が代わって答弁。しかし、肝心なところは同じく要領を得ない。

 そもそも、問題を起こしたのは栢木市長であるのに、パワハラ騒動といい、この法人加入問題といい、部下たちが苦労を重ねている。

気の抜けたビールのような、のんびりした話 法治の欠落状況の現れ 闇は深い

 このやり取りのことを聞いたときに、気の抜けたビールのような、そしてのんびりした話だと感じた。録音が公文書に当たることは明白。ただし、市としてそれが公開できない内容と判断するなら、非公開にすればよいだけのこと。そのうえで、益川議員が制度に基づいて不服申し立てをすればよい。そして市は、不服申し立てが出された場合は、野洲市情報公開条例第19条に基づき「野洲市公文書管理・情報公開審議会」に判断を委ねれば良いだけ。いつまでも、全協でやり取りする話ではない。ここにも野洲市において法治の欠落状況が現れている。

 ちなみに、野洲市情報公開条例の第2条第2項では「公文書」を次のとおり定義している。

 「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)」

 そして、条例第11条では、「公開決定等」は、「公開請求書を受理した日から起算して15日以内にしなければならない。」と定まっている。

 上で紹介した、副市長と総務部長の苦しい言い訳答弁からすると、おそらく、非公開にして、条例に基づく不服申し立ての手続きに持ち込まれれば、市は、持ちこたえられないと考えているのではないか?闇は深い。

局面が変わった! 法人加入問題よりもっと大きな波が押し寄せて来ている

 ところで、先に気の抜けたビールのような、のんびりした話と書いたがその理由は2つ。ひとつは、すでに説明したとおり、条例に基づく手続きに移らないで、全協で禅問答を繰り返して時間を無駄にしていること。

 もうひとつは、すでに局面(フェーズ)が大きく変わっててしまっていること。市長の法人加入に関する闇の解明が不要ではないが、もっと大きな波が押し寄せて来ている。

 昨日の全協と市長記者会見を報じた記事では、病院事業顧問に就任予定の柏木厚典氏(75)は、「病院の基本設計などについて助言する。柏木氏は今年3月まで、栢木市長が野洲病院を独断で加入させたのではないかと一部議員が問題視している地域医療連携推進法人の理事を務めていた。」(毎日新聞2022年8月24日)となっている。

 9月になれば、前川事業管理者は、市長の意向を酌(く)んで法人に加入するだろうし、「法人の理事を務めていた。」顧問の柏木厚典氏はそれを後押しする。

 ところで、記事では、柏木厚典氏「法人の理事を務めていた。」(毎日新聞2022年8月24日)と過去形になっているが、法人のホームページで役員名簿を今確認しても、同氏は同法人の理事であり、「淡海医療センター」(旧草津総合病院)等を運営する法人の代表理事となっている。どちらが正しいのか?野洲市の顧問に就任するために、わざわざ理事を退任したのか?民間の医療法人の代表理事の方はどうなったのか?なお、別の報道では、同氏は淡海医療センター名誉院長となっている。(中日新聞2022年8月24日)

 なお、この法人に関しては、正式な加入手続き書類がなく、反社会的な存在でないことを宣言する『表明・確約書』の提出が同法人へ加入手続きになっていることが議会審議で明らかになっている。また、その『表明・確約書』も市長の個人印で理事会の審査が通り加入が認められた。さらには、市長の電話一本で加入が抹消されたことなど、そのコンプライアンスの緩さも議会審議で明らかになっている。したがって、同法人のホームページ情報もそのレベルなのか?

極論すれば、早々と市の病院事業を実質的に民間に委ねるようなもの!

 いずれにしても、同法人への加入云々の問題を越えて、同法人の実質的な創設者であり運営者である、あるいはあった柏木顧問の指令のもとに野洲市の病院事業が動き出す。

 専門分野の研究者や公共機関の専門家を市の顧問にするなら分からないでもない。しかし、民間の医療法人の意思決定にかかわっていると思われる人を、今後巨額な事業費を伴う市の病院事業の司令塔にするのは異例。「病院の基本設計などについて助言」は密室化されるし、市の発注情報が実質的には顧問に流れる危険性がある。

 見方を変えて、極論すれば、早々と市の病院事業を実質的に民間に委ねるようなもの。

 先の臨時議会で体育館病院賛成議員が増えたし、今日の京都新聞報道によれば、東郷議員は苦しい立場にある。ますます、議会のチェック機能が弱くなり、歪みが拡大するおそれが高まる。