改正案可決された病院事業の条例がそのままなのは当然だが

市長が好きな時に効力を発揮させる!

 市のホームページの例規集から「野洲市病院事業の設置等に関する条例」を開いてみました。12日の臨時議会でこの条例の改正議案が可決されたとはいえ、例規集の情報が、令和4年7月1日 時点のものなので、これまでのものが掲載されている。

 ただし、この条例に関しては、仮に例規集の情報が毎日更新されたとしても、当面はこれまでのものが掲載されたままになる。というのも、この種の条例であれば、議案の可決後速やかに施行されるのが通例であるのに、条例案に施行日を定めないで、施行日を規則に委ねるという異常な議案の可決であった。規則に委ねるということは、議会が関与しないで、市長が好きな時に効力を発揮させるということ。議会は、そのような市長の恣意を認める議案をよくも可決した。

条例改正急いだ理由は住民訴訟の敗訴回避?

 臨時議会を2度までも開き、急いで議決を求めた条例改正の効力を発揮させるのをなぜ遅らせるのか?

 市のホームページを開いたついでに、部長会議記録に目を通しました。すると、8月5日の会議でこのことが議論されていた。記録では、部長がこの点を指摘した意見が3つ記録されている。いずれも、真っ当な意見。

「今回の位置の改正は、現病院に位置を戻す改正だと理解している。それなら今すぐ改正しても良いのではないか。なぜ、規則委任してまで施行日をずらすのか。現病院に位置を戻すのに、なぜ基本計画、基本構想の成案化を待たないといけないのか。」

 「現病院の位置に戻す改正であるのに、施行日が不明確ということに矛盾はしないのか。すぐに施行すべきと思う。」

 「設置条例はまさに、建った時に改正されるもの。現病院はすでに建っており、なぜ現病院に戻すのに改正時期を延ばす必要があるのか。」

 以上の意見に対して、市長、副市長、担当部長は回答できていない。

 この会議でも従来の主張である、「本来の地方自治法に基づく設置条例の状態に一旦戻す、というのが今回の改正の内容である」と説明している。それであるなら、即施行であっても遅きに失するわけであり、まったく意味が通じない。

 おそらく、この議論の前後に出ている、市長サイドの次の答えが本音。「住民監査請求が2件あり、これ以上市民を混乱させないよう、速やかに解消すべきということから、まずは条例改正をして意思を示していくこととした」。

 今になって、ここまで筋の通らないことを急いでする理由は、推測するところ、要するに、住民監査請求というより、住民訴訟に負けそうな情勢なので、代理人弁護士に忠告されて、とりあえず、条例から駅前Aブロックを抹消することが急務であったとしか考えられない。

市立病院にとって自殺的行為 さらに危険な綱渡りと火の車

 この部長会議の長い記録を読むと相変わらずの庁内不一致。ただし、見方を変えれば、まだかろうじて健全さが保たれている。

 記録から、もうひとつだけ紹介します。駅前市有地の売り急ぎの件。駅前A、Bブロックの病院事業債の一括償還に関しての部長の意見に対して、市長サイドの答え。

「繰り上げ償還の前提としては、ABブロックの用地の売却、貸付等の活用計画を早期に立案することである。さらに、活用が実施されることによって市の一般財源に一定の財源が確保できることが見込める時期を見据えて病院事業会計の現金残高を原資に病院事業会計から金融機関へ一括償還していく。また、民間活用によって得られた活用益等をもって病院事業会計が負担した償還相当額を一般会計から還元完了していく。」

 これに関しては、ここでは細かくコメントしませんが、まともな自治体のやる仕事ではない。そもそも、病院事業の収益を使って、病院用地を売却し、老朽化し危険な病院の展望をなくす。まさに、市立病院にとって自殺的行為。

 それとともに、「民間活用によって得られた活用益等をもって病院事業会計が負担した償還相当額を一般会計から還元完了していく。」などは、取らぬ狸の皮算用。言い換えれば、これまで以上に危険な綱渡りだし、家宅は火の車。