議会が認めた病院の新体制が動き出す

 当初7月1日を予定していた、病院事業管理者と顧問の就任。一旦議案が否決されたため、遅れることになったが、ようやく栢木市長の念願が実現することになった。

 実のところは、市長の念願というより、その背後にいる市長の指南役の念願。そして、合わせて、これまた念願であった、先に紹介した、コンソーシアム、市長、滋賀県のトライアングルも完成する。このトライアングルの場合も、滋賀県とは言っても、そこの1幹部職員。

 事業管理者と顧問がいつから就任するのか不明だが、議会が認めた病院の新体制が動き出すことになる。

気の遠くなるような、迂遠さと複雑さ 本気で病院運営を進める体制とは思えない 

 そこで、市民の次の関心は、市立野洲病院の運営と新病院整備がどう進むかということ。

 まず、病院の運営については、これまで、指揮命令系統が病院長に一元化されていたものが、複雑になる。一般的に、指揮命令系統が複雑なることは、混乱と効率の悪化をもたらす。

 今回病院に初めて専任の事業管理者が置かれる。また、顧問も、これまでは、市立病院の設立前の準備期間中と開院後は病院長不在時しか置かれていない。病院長と事業管理者がいるうえに、顧問までが関与する。さらに、市長がいる。

 これでは気の遠くなるような、迂遠さと複雑さ。とても本気で病院運営を進める体制とは思えない。

管理者は素手で頑張るか、職員増で体制を充実するか? 病院事業は独立採算

 もう一方の新病院整備。これは、事業管理者に全権限と責任が委ねられる。今後、市長は中途半端な口出しはできなくなる。その代わりに、顧問に司令塔としてのフリーハンドが与えられるようなので、顧問の口出し、関与は想定される。顧問と事業管理者は過去に医大で上司と部下の関係だったので、円滑に進む見込みのある反面、密室化し、組織内で客観化されない恐れがある。

 さらに、事業管理者は野洲市の実情はもとより、新病院整備の経緯についても詳しくは通じていない。今後、市議会での説明や質問に対する答弁。そして、新病院整備に向けての巨額な予算案の作成など、やりがいがある半面、ここでも気の遠くなるような業務が待ち構えている。

 もちろん、これらの業務は、独立採算の病院事業として行うため、厳格に行うとなれば、これまでのように病院担当の政策監はじめ市長部局の職員を使えない。管理者は素手で頑張らなくてはならない。

 それを避けるためには、職員を異動して、増員し、体制を充実する必要がある。当然、その場合は、その職員の人件費は病院事業会計で支出することになり、事業費が膨らむ。

「最適」示すためには比較必要! 昨年の3月に逆戻り!

 ところで、事業管理者のたちまちの仕事。それは、前任の事業管理者であった市長が残してくれた大きな宿題を果たすこと。今年秋後半からはじまる市議会定例会に向けて、体育館病院の基本計画を策定しなければならない。その計画には、新病院の収支試算(シミュレーション)が含まれるし、さらには、「新予定地が最適だという根拠を示す」資料も求められている。しかし、予算は400万円しかない。

 そこで問題は、市長が残した大きな宿題。いうまでもなく、「最適だという」ことを示すためには、複数の選択肢との比較が必要。どこと比較して、「最適だという」ことを示そうとしているのか?

 いずれにしても、これでは、市長が突然3候補地をあげた昨年の3月に逆戻り!