心配は杞憂に終わった 市長の後戻り発言でビラは有効

 8月12日の市議会臨時会で病院関連5議案すべてが可決された。その時心配になったのは、医師会は今後どうするのかということ。 

 市長だけが体育館病院を掲げている段階であれば、体育館病院への懸念を示すとともに、駅前病院の実現を表明することに問題はない。ところが、市民の代表であり、市の政策決定機関である議会までが、体育館病院にゴーサインを出した。そうなった後も、同様の方針なり、姿勢なりを堅持できるのか?

 しかし、それは杞憂に終わった。すでに紹介したように、栢木市長は「新予定地が最適だという根拠を示すための予算で、場所の決定を断行するものではない」(毎日新聞2022年8月13日)と後戻り発言。

 要するに、体育館敷地は新病院の予定地として最適である根拠はまだ示されていない。そして、新病院の場所はまだ決まっていないと市長自らが断言。

 これは、狐につままれたような話で、議案に賛成した議員はどういう意図で何に賛成したのかと思うが、いずれにしろ、体育館病院案がこのような段階のものであるなら、医師会の方針とそれを表明するビラも有効。

 

 

「野洲市民の 健康・福祉を守るため、 とにかく早く駅前に 市立野洲病院を建築 することが絶対に必要です!! 」

 ということで、先に削除したブログで紹介した、医師会の3回目のビラを改めて紹介します。

 表面の半部を使って、「野洲市民の 健康・福祉を守るため、 とにかく早く駅前に 市立野洲病院を建築 することが絶対に必要です!! 」と大きな文字で書かれている。

 発行責任者は守山野洲医師会長小西常起。いわゆる医師会ビラの第3弾。発行日は7月20日。体育館病院の市民説明会と7月13日の臨時議会が終わってからの発行。

 内容は前2回のものと基本的には同じで、駅前病院の必要性を訴えている。ということは、市長は、この間、体育館病院に対する市民や医師会の理解は進んだと言っているが、何も進んでいない。

 

「不必要な支出は控えるべきです」

 まず、ビラに書かれている6つの柱になる項目だけ紹介します。

①今の市立野洲病院で医療を続けてゆくことは できません。早期に病院を建てるには、駅前 以外に考えられません。

②市立病院だからこそ、野洲市民が必要とする 治療を受けることができます。

③駅前という利便性は病院には大切です。

④市立野洲病院を中心に駅前に賑わいを!

⑤不必要な支出は控えるべきです。

⑥このまま迷走を続けると、 結局市立病院は無くなってしまうかも!

 

 

病院問題の混迷が悪影響を及ぼし地域包括が弱体化 深刻な事態

 以上の6つのなかで、前回のビラにはなかった⑤と⑥の説明の全文を紹介します。

⑤不必要な支出は控えるべきです。

 病院長以外に病院管理者を新たに雇い入れ、市長や知事より高給を支払う必要はありません。健全な経営を目指す病院に、無駄な支出はいりません。

⑥このまま迷走を続けると、 結局市立病院は無くなってしまうかも!

 国が推進する地域包括ケアプランでは、救急治療から回復期・慢性期の医療を担う市 立病院が絶対に必要です。市立病院なしでは野洲の医療・福祉は守れません。 今元気な若い市民の皆さんも市立病院が無くなれば、将来必ず後悔することになります。

 

地域医療の中核が定まらないので、地域包括ケアの仕組がつくれない事態に

 以上の主張のなかでも、⑥は深刻な問題。地域医療の中核が定まらなければ、地域包括ケアの仕組がつくれない。このことは、高齢者や障がいのある人たちだけの問題でなく、市民すべてのセーフティーネットに関わる問題。

 7月4日の「コミセンなかさと」での市民説明会で、若手農業者と自己紹介した参加者が、自分は病院に行ったことはないので、病院はどこでもよい、あるいはどうでもよいという趣旨の発言をしていた。そんな気楽な話ではない。

 昨年たまたまある市民から相談を受けて、市の地域包括の実態が分かったが、相当弱体化している。それは、現場の職員の問題では全くない。端的に言えば、病院問題の混迷がいろんな面で悪影響を及ぼしている。かなり深刻な事態だと思われた。