6月28日から時間は止まったまま 堤防のモグラ穴を塞いだだけで病院の全体像は修正されていない

 今日7月29日の市議会特別委員会。ネット中継で傍聴しました。委員長が意見と時間を制限しない旨を宣言して会議が始まった。

 市長は冒頭の挨拶で、市民説明会で新たな場所での整備に思いを深めた。再度の議案提案に向けたいと宣言。要するに何も変わってない。6月28日から時間は止まったまま。

 続いて、1番目の案件「野洲市民病院の新たな整備場所について」布施政策監が資料をもとに要領よく説明。資料は、これまで議会や市民説明会などで出された質問に対する答えをまとめたもの。61ページもあるが特段新しい情報はない。例えれば、堤防にできたモグラの穴を個々に塞いだようなもので、病院の全体像は修正されていない。これでは体育館病院が成立可能かどうか皆目判断できない。

巧言令色鮮なし仁

 その後、議員からの自由質問に移った。これも例えれば、学びと成長のない授業を参観しているようなもので、大いに苦痛な時間でした。授業の担当は、駒井次長。まさに駒井次長の独演講釈会の様相。時たまの市長や政策監の答弁に対しても駒井次長が長々と補足説明をする。これを聞いていて思い浮かんだ言葉は、「巧言令色鮮(すく)なし仁」。

地域医療連携推進法人問題には答えず 

 質問の最初は益川議員。説明と資料の信頼性を確認するためとして、これまで未解明の地域医療連携推進法人加入問題について公文書公開で入手した市長の協議記録をもとに市長に質問。そこには市長が自ら法人に入ったと発言したと記録されているとのこと。

 しかし、津村委員長がこの質問は付議事件に関係ないとして認めず、答弁させなかった。

 質疑応答は、1時間の昼休みを挟んで、1番目の案件の議論は午後2時15分頃まで続いた。しかし、いずれもこれまでの議会や市民説明会で紹介した応答の繰り返しなので省略します。なお、2番目の案件の議論が終わったのは、16時25分。傍聴だけでも、徒労感たっぷりでした。

 やはり気になったのは、駒井次長の弁舌。例をあげれば、、小菅議員の体育館敷地が軟弱地盤であることの質問に対する駒井次長の傲慢とも言える講釈。議員の質問では、何を求められているか理解できないとまで切り捨てた。そのくせ、地盤に関するエビデンスを提供した専門家については、その人物の所属機関に迷惑がかかるからという理由で専門家の名前を明らかにしなかった。

市長答弁からは病院整備にかける意気込みがうかがえない

 このような駒井次長のしゃべりは、立て板に水のようであるが、事実に反することや憶測が混じっていて、危険。それを市長や政策監はコントロールできていない。暴走状態。

 なお、市長は答弁のなかで、市民から病院はいらないという意見を多く聞いている。しかし、令和元年に市立病院を持ったから仕方がないと本音を漏らした。いすれにしても、市長答弁からは病院整備にかける意気込みがうかがえない。

 そしてその意気込みのなさ、気楽さが、今回の病院事業管理者の設置という、今後の病院運営において危険な行為にも現れている。

評価委員会が選んだ場所と違うところに病院を整備 評価委員会は開けない

 やり取りのなかから答弁をいくつか紹介します。

 ひとつは評価委員会の件。

 市長は、評価委員会の委員長である滋賀医大の上本学長と今年5月に協議した。そこで、評価委員会は場所選定に関与せず、医療や運営に関与することを確認し合ったと市長は答弁。

 しかし、これは筋の通らない話。病院の運営には立地が大きな要件。これを聞いていて、医大学長は大丈夫かと思っていたところ、田中議員の指摘で事実が明らかになった。

 要するに次のようなこと。評価委員会は昨年市長の提案を受けて、すでにBブロックを選んだ。だから場所選定に関与しないということ。今回、市長は評価委員会が選んだ場所と違うところに病院を整備しようとしている。

 以上のようなことであれば、医大の学長の見解も理解できる。

 橋議員が評価委員会の開催を求めたが、市長は開くつもりはないと拒否したが、この状況であれば、いつまで待っても評価委員会は開けない。

体育館上空の高圧電線は7万7千ボルトで電磁波の影響は医療法上問題

 もうひとつは、相変わらず市立病院の病院長はじめ現場職員と市長との協議が行われていないこと。したがって、市長や駒井次長の説明に現実感がなく空回り状態。

 病院長は議員の質問に答えて、体育館病院は、現病院からの移転業務、市民病院としての機能、経営・収支面等から否定的な見解を明らかにした。

 また、高圧電線についても、守山市民病院上空の高圧電線は2万ボルトだが、体育館のは7万7千ボルトで、電磁波の影響は医療法上問題になるとも。また、高さ制限の面でも、3,4階の建物しか建たない。病院整備にわざわざそのような場所を選ぶ必要はない。

事業管理者人選は医大学長の人事 駒井次長は人事案件反対議員を脅迫 学長の人選と推薦はいつだったのか疑問

 2番目の案件「病院事業管理者を設置することについて」。

 説明は、先の定例会よりかなり詳しくなった。病院事業管理者の予定者は4月から市立野洲病院で会計年度任用職員として採用している滋賀医科大学名誉教授。これは以前何度か紹介したとおり、市立野洲病院の2人目の副院長。

 したがって、人件費の2500万円は、実質700万円の増になるだけと説明。しかし、これは変な論理であって、そもそも必要のない医師を副院長として先にこっそり採用しておきながら、その差額が大したことはないという説明はおかしい。なお、普通には700万円は多額。金銭感覚が麻痺しているのではないか?

 今回初めて明らかになったことは、事業管理者の人選は滋賀医科大学の上本学長から市長に対して推薦されたということ。

 駒井次長はこの事実を盾に、議員がこの人事案件に反対し、今またその是非を議会で議論することに危機感を持っていると脅迫した。

 医大学長に推薦してもらい、すでに副院長として採用してしまっているから、引きたくても引けない背水の陣。この状態は体育館病院の結論でも同じではないか?

 ところで、医大学長の人選と推薦はいつだったのか?今年の4月以前で、それを前提に4月に非正規の副院長として名誉教授を採用したのか?それとも4月以降の人選と推薦だったのか?この点が今日の答弁では不明。

 なお、この件に関しての市長答弁は、2年半後の病院長の退職を見越して事業管理者を設置するという、ピントの外れたもの。

 一段とピントが外れていたのは、副市長の10年スパンの人事という答弁。

服部、奥山、稲垣、荒川議員による病院長糾弾追い出し 不当な人事介入 事実発言に修正求め、虚偽を見逃す荒川議長 

 今日のやり取り全体を通して、市長や駒井次長の答弁と病院長の答弁には明らかにくい違いがあった。市長や駒井次長の答弁には、はぐらかしや事実と異なる発言がかなりあった。かたや病院長の答弁は、もちろん記憶違いや言い間違いが皆無とは言えないが、事実を語っていた。

 このことは、市長にとってはもちろんだが、受けた印象ではそれ以上に「市長与党会派」議員に都合が悪い。

 そこで飛び出したのが、いつもの病院長を糾弾する発言。服部議員が口火を切り、奥山議員が続いた。

 奥山議員は、病院長は請われる病院に行ったらよい。市長に病院長の任命責任を問うとまで発言。これは、まさに、病院長糾弾追い出し要求であり、公開の議会の場での議員による職員人事に関する不当な介入。このような異常で不法な発言がまかり通る野洲市議会。津村委員長はじめ誰も制止しない。

 加えて、稲垣議員も同様な趣旨の発言をしたし、極めつけは荒川議長。議長は委員ではないので本来発言ができないが、例外的に委員長に発言を認められて、病院長に対して病院長が先に行った答弁の修正を求めた。しかし、病院長は発言が事実に基づいていることを説明し、修正要求に応じなかった。

 そもそも、荒川議長は事実に基づかいない発言の修正を求めるなら、虚偽答弁を繰り返している市長や駒井次長に求めるべきであって、事実を述べた病院長に要求するのはお門違い。

 この荒川議長の予期しなかった割り込み発言が、今日の委員会の性格と今の野洲市議会の世間の常識とのずれを象徴している。

 なお、討論における益川議員や田中議員からの質問に対する奥山議員の答弁も先の勇ましさに反してしどろもどろで筋が通っていなかった。

公明党の議案賛成見込みで8月12日の臨時議会で強行採決か? 市民が納得はほど遠い 市の二分解消はじめ公約放棄?

 最後のところで、稲垣議員が、市民懇談会は終了した。その結果では、病院の駅前と体育館は水と油。これでは10年経っても解決しない。議案採決の環境は整ったので速やかに進めるべきと発言。これに対して市長は抗弁も明確な答えもしなかった。ということは、市の二分解消という公約を放棄したのか?

 また、奥山議員は体育館病院を100億近くの投資と表現した。これでは駅前Aブロック病院より実質的に高額。一昨年秋の栢木市長の公約は何だったのか?

 市長は冒頭、再度の議案提案に向けたいと宣言したし、今日の資料には8月中の臨時議会が記載されている。

 公明党の津村委員長はまたもや議論のまとめも行わず会議を閉じた。予想したとおり、結果的には感想交換会。

 ただし、今日の委員長の議事進行からは、公明党の態度変更は見込めそうにない。したがって市長が臨時議会を強行する可能性は多分にある。

 8月といっても、月末から定例会の日程が入っている。その準備の会派代表者会議がお盆明けの17日に予定されているので、開くとしたらお盆前の12日がリミット。とはいっても、かなり無理な駆け込み日程。まさに拙速。

 稲垣議員は自分が出した宿題をとっくに忘れているようだが、今日の会議では「市民が納得」はほど遠い。