世間の常識が通用しない?市議会 公明2、立民1市議賛成で

 去る7月13日の臨時議会。市長の給料削減条例案の審議で田中議員がしきりに住民監査請求を気にかける発言をしていました。

 市長が提出した条例案では約73万円の削減。これでは、市長がパワハラ第三者委員会の経費として使った市税160万円余りの半分にも足らない。少なくともその差額が、市が被った損害として住民監査請求として出されるのではないかという心配。

 この心配はもっともなことで、良識的な判断。通常であれば市長は自らの失敗で市民に財政負担をかけた分ぐらいは自らが負担するのが常識。

 例えていえば、庭木の枝落としをしていて誤って隣家の窓ガラスを割ってしまった。ところが、隣家にはささやかな菓子箱を届けただけで、窓ガラスの修繕をしないで済ましてしまったようなもの。世間の常識では通用しない。

 ところが、当日の議会では、「市長与党会派」議員6人は予想されたが、加えて公明党2人、立憲民主党1人も賛成し、計9市議が市長提出の削減条例案に賛成し、可決された。

 まさに、世間の常識が通用しない市議会になってしまった。

住民訴訟は市民の直接参政権 議会の無視は正常ではない

 ところが、これほど住民監査請求を気にかけていた田中議員。その日のもうひとつの議案であった住民訴訟費用に関する補正予算の専決処分承認議案では、質問もしないであっさりと賛成してしまった。田中議員だけでなく、全議員が同様だった。これはどうしたことか?

 議員はどのような内容の住民訴訟が起こされ、市長はどのような方針で訴訟に臨もうとしているのか把握しているのか?

 住民監査請求と住民訴訟は一連の手続きで、市民の直接参政権。ある意味では議会と並ぶ機能を持っている。それに対する全議員の無関心、あるいは無視は、これまた議会としては正常でない。

市長の不誠実な訴訟対応が元の原因 着眼良かったが一貫性ない 他の議員も無言で承認

 以前も紹介したように、栢木市長の病院事業に関しては昨年にも住民訴訟が起こされていて、係争中。

 内容は、栢木市長が駅前Aブロック病院の実施設計等を就任後に解約し、未完成の実施設計等に対して4,256万円を支払った。しかし、市の病院事業設置条例ではAブロックが新病院の場所と定められている。したがって、市長の行為はこの条例に違反する違法な行為であり、それにより市に損害を与えたとして、市長に4,256万円の損害賠償を求めるもの。

 議会はこの訴訟の進行状況を把握しているのか?

実のところは、この裁判では、市長側は最初から牛歩戦術と入り口論・手続き論にこだわり続け、誠実に訴訟対応していないため、ほとんど進展していない。見方によってはそのために、新たな訴訟が起こされた。

 当然、訴えた市民の負担が生じるとともに、市税の負担が増えた。そうであるのに、それを不問に付して、議案を承認していては、田中議員、着眼は良かったが、残念ながら一貫性がない。もちろん、他の議員も無言で議案をあっさり承認した点では同じ。

住民訴訟の論点把握と評価委員会抜きの本会議審議は大きな禍根と汚点を残す

 以上述べた住民訴訟の手続きと費用の問題とは別に、重要なこと。

 それは、原告が提起している病院設置条例の意義。市長側の入り口論・手続き論にもかかわらず、裁判所ではきちっと俎上に載せて審理されている。

 万一、議会で病院関連4議案を再審議するのであれば、病院設置条例の変更議案の審議にあたっては、まずは議会として住民訴訟の進行内容の情報を得、そこでの論点を把握してから取り掛かるべき。

 昨日触れた、評価委員会の開催と住民訴訟の論点把握を抜きにしての本会議審議は、大きな禍根と汚点を残すことが心配される。

 荒れている市議会と荒れているまちをまず落ち着かせる、冷静な対応が必要。