市長の研修成果の即発揮から
 2日間にかけて市長のハラスメント防止研修参加について書きました。思っていた以上に情報量が多いので書ききれていない。
 市長の公費による公務としての研修参加。くどくなりますが、後2点に触れておきます。
 ひとつは、研修成果の発揮。
 栢木市長は研修終了後、「パワハラに関する研修を受けたのは初めてで、大変ためになった。コミュニケーションの
重要性を改めて認識した」(毎日新聞2022年7月21日)とコメントした。
 いうまでもなく、ここでの「コミュニケーションの重要性」はパワハラ防止や職員との関係に限られていない。議会答弁、市長への手紙、市民説明会等においても同様。
 市長が本気で「大変ためになった」、「認識した」というのであれば、即実行しなけれないけない。そして、この実行は、将来にかけてだけでなく、就任以来の発言などコミュニケーション全般にわたって、その修正と回復から始めなけれなならない。

市長への手紙制度の刷新は先祖返り 議会も先知り特権に安住
 ところで、随分以前2020年10月に紹介したことですが、13年余り前の市長への手紙制度の刷新のことです。改正点は2つ。
①すべての手紙の回答に市長が目を通し、手を入れる。納得できるまで職員と協議して作成する。なお、それまでは基本的に市長が関与しないで職員が作成し、返信していた。
②その時点での最新の政策情報でもって回答する。個人情報等は除き、意思形成過程の情報も開示する。
 以上2つの方針は、市長への手紙に限ったものでなく、職員が市民から窓口や電話などで問われた場合も同様。部長会議の内容もホームページに公開されるのを待つまでもなく、職員は会議終了直後から公表可。

 こうなると、積極的に公開はしないまでも、当然、議会の全員協議会や特別委員会資料も同じ扱いになり、職員は市民から質問されれば公表しても差し支えない。出して良いか悪いかといった職員の無用な心配がなくなった。いわゆる秘密フリー。
 このような変更には、ある議員から苦情が来た。市民が先に知るようになることは、いわゆる議会軽視。当然、この苦情は本末転倒なので応じなかった。なお、この議員とは、栢木市長の盟友の元市議で病院の市民説明会では熱が入りすぎて市長と言い争いになった。
 ところが、市の現状はすでに先祖返りしていて、秘密の塊状態。議会の方も先取特権ならぬ、先知り特権に安住していて、事前に配布される内容を秘して市民に知らせようとしない。

就任以来のコミュニケーションの回復から まずは半額建替え検討会議録の公開
 以上のエピソードの本題はこれから。このような刷新を行って数年経った頃、市民から嬉しい驚きの手紙が寄せられた。前任者が書いた手紙回答についても、刷新後の方式で改めて回答がほしいという趣旨のものでした。せっかくの提案ではあるが、前任者の名前で出されたものを書き換えることは無理なのでお断りした。
 ところが、栢木市長の場合は、手紙回答に限らず、就任以来自分が行った説明や発言で秘匿していたものを良好なコミュニケーション実現のために改正できるし、しなければならない。
 ちなみに、3月議会では先に行われた病院事務部長の答弁を本人の了解なしに市長が勝手にが修正したことが明らかになっている。これこそ典型的な非コミュニケーションだが、自分の発言の修正であればいつでもできるはず。
 また、7月6日の臨時会見でも答えてないことが多い。マスコミは公器と言われるように、健全に機能している場合は、市民の声を代弁している。それを無視することは市民を無視するも同じ。13日の臨時議会の場合の市長答弁の場合はなおさらである。
 さらには、病院現地運営半額建替え検討会の会議録の非公開。誰が会議録をつくらない、あるいは非公表にすると決めたのかも不明。当時も指摘したことだが、どの専門家が市長が枕詞に使っている、検討結果「一般的には、現地建替えは技術的に不可能ではない」と断言し、どの専門家がそれに賛成したのか。そもそも、「一般的には」が国語の使用として間違っている。万一可能であるとしても、特殊な場合のはず。

 いすれにしろ、このようなことも、良好なコミュニケーション実現のためには必要。

研修会開催と市長の参加には政務調査費の不正使用に類する嫌疑が 議会での究明期待
 冒頭に述べた2点の残り1点。短くします。
 研修会の開催の経緯。記者会見の総務部長の説明では例年1月に開催しているものを7月20日に半年前倒しにしたことは、それが市長のために行ったように受け取れる。もしそうであれば、予算の不適正な執行にあたる恐れがある。
 なぜなら、予算の目的は一般職員用研修のもの。それが1月に開かれて、たまたま市長が参加するなら問題は軽いが、万一、市長の「免罪符」のために前倒し開催したなら、目的が変わる。
 市長がもし公費で研修を受けたいのなら、新たに予算を議決して確保するのがルール。本来であれば、市長が市長の資質向上のための自己研鑽として、私費で別に受講するか個人指導を受けるべきもの。市が依頼した講師に別途頼めば済む。
 今県内の市で議員が政務調査費の報告書に虚偽記載し、不正使用を行ったことが問題になっている。今回の研修会の開催とそれへの市長の参加についても透明性のある説明と応答(コミュニケーション)を実施しないと、政務調査費の不正使用に類する嫌疑が残ったままになる恐れがある。議会での究明が期待される。