「病院整備に関して、市長に背いた行動があった」 

 昨日7月13日の臨時議会での奥山議員の職務命令違反発言。その後で東郷議員が問題点を指摘しましたが、それでは済まない重大な問題発言。

 奥山議員が昨日の反対討論で、市長の給料を3割、3か月削減は重い。また、パワハラが起こったのは、市長と幹部職員との確執があった。職員を職務命令違反に問うべきであったなどの発言をして、責任を幹部職員に転嫁し、市長を擁護したことを紹介しました。

 正確を期すために、昨日の録音を聞き返すと、その部分は次のとおり。

 「一部の幹部職員との確執もあり結果として二転三転する事態となりました。

これは私が先の定例会で一般質問させていただいたとおり、内部統制、いわゆるガバナンスが十分に機能していなかったことから発生したものとであると考えております。

 市職員、特に幹部職員は地方自治法上・公務員上 市長の補助者であると私は認識していますが、こと病院整備に関して、市長に背いた行動があったことは、非常に残念であり、民意への背任であったかとも考えております。パワハラ発生にいたるまでに内部の行政処分、いわゆる職務命令違反に問うべき事案であったかと推測しております。」

発言には3種類の情報 ①理念や考え方、②事実、③推測

 この奥山議員の発言には3種類の情報が含まれています。①理念や考え方、②事実、③推測

 ①の理念や考え方にあたる部分を取り上げます。

㋐内部統制、いわゆるガバナンスが十分に機能していなかったことから発生したものとであると考えております。

㋑市職員、特に幹部職員は地方自治法上・公務員上 市長の補助者であると私は認識しています

㋒民意への背任であったかとも考えております。

 次に②の事実あたる部分

㋐一部の幹部職員との確執もあり結果として二転三転する事態となりました。

㋑こと病院整備に関して、市長に背いた行動があった

 最後に③推測にあたる部分

㋐パワハラ発生にいたるまでに内部の行政処分、いわゆる職務命令違反に問うべき事案であったかと推測しております。

奥山議員の理念は正しくない! 職員は全体の奉仕者であり、法令や条例等の規程に従うことが求められている

 まず、①理念や考え方を取上げます。

 奥山議員が、以前、議会の一般質問で職員がSNS等で市の方針と異なる意見を発信していることや部長会議等での部長の異論を取り上げて、そのようなことがないよう市長に統制の強化を求めたことは紹介しました。その時市長は、この要求に反論や抗議をせず、従う意向を見せた。

 なお、SNS等での意見発信は守秘義務の範囲内であれば憲法で保障された思想信条や表現の自由で守られている。

 昨日もそれと同じ発想で、要するに職員は「市長の補助者である」ので、市長の命令に背かず全面的に従って仕事をせよという主張。

 しかし、この考え方が正しくないことは明らか。地方公務員法の規定を上げておきます。

30条 すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

32条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

 かいつまんで言えば、職員は市長ではなく、「全体の奉仕者」。また、法令や条例等の規程に従うとともに、「上司の職務上の命令に忠実に従う」ことが定められている。

 この奥山議員の主張のように、市長の命令に背かず全面的に従って仕事をせよとは定まっていない。同様のことは、パワハラ第三者委の委員の意見として新聞記事で紹介されていた。

 「『法令に基づき見識を持って仕事に当たっている職員と、どのように対話していくか。政治家はきちんと理解する必要がある』との考えを示した 。」(中日新聞2022年7月7日)

市長が職員を指揮監督できなかったことが、今回のパワハラの原因

 奥山議員の昨日の言いぶりでは、今回のパワハラは市長が一方的に悪いのでなく、市長の命令に従わなかった職員の側にも責任があり、市長も被害者という論調であった。

 もうひとつ、地方自治法から引用しておきます。

154条 普通地方公共団体の長は、その補助機関である職員を指揮監督する。

 この規定からすると、問題は職員の側にあるのではなく、逆に市長の方にある。要するに、市長が職員を指揮監督できなかったことが今回のパワハラの原因になる。

 奥山議員の「職務命令違反に問うべき事案であった」という指摘は本末転倒。

「市長に背いた行動があった」等の事実断定について奥山議員に説明責任がある 議会としても究明を

 今日書き出した本題は、②の事実の問題点を指摘することです。改めて、その部分を再掲します。

㋐一部の幹部職員との確執もあり結果として二転三転する事態となりました。

㋑こと病院整備に関して、市長に背いた行動があった

 以上の2件については、奥山議員は理念や推測でなく事実として断定している。もちろん、第三者委員会の答申書にはこのような事実は記載されていない。とするなら、奥山議員は本会議の討論で断定するに足る情報をどこから入手したのか?

 上記の①の理念や考え方や③の推測も乱暴な議論であるが、それらは奥山議員の自由な意思の範囲内のこと。しかし、事実として断定した内容については、奥山議員は明らかにする責任があるし、議会としても究明する必要がある。

 これは推測ですが、まさか、栢木市長から聞いてそれを代弁したわけでもないと思うが。