市長は職員のパワハラ被害をまだ認めていない! 給料削減条例案可決 市長辞職勧告決議案否決。 

 今日7月13日の臨時議会をネット配信で傍聴しました。

 まず、市長からの提出議案は2件。1件は市長のパワハラ責任の処分としての市長給料を3割、3か月削減する条例案。もうひとつは、住民訴訟対応費用の補正予算の専決処分に対する承認議案。

 市長の提案説明は簡単なものなので紹介するまでもありませんが、ひとつ気になったことがあった。パワハラについての釈明で、パワハラの被害者について、「被害者」と言わずに、「ハラスメントの申し出をされた幹部職員」と表現したこと。市長は職員に対してパワハラの被害を与えたことを心の底ではまだ認めていない。小さなことのようであるが、人権というより、人間の心の持ちようとして重要なこと。

 なお、議案として、以上のほか議員提案で市長に対する辞職勧告決議案が出された。

 先にすべての採決結果を紹介すると、補正予算の専決処分に対する承認議案は全員賛成で可決。給料削減条例案は賛成多数で可決。辞職勧告決議案は賛成少数で否決。

 今日の主な議案が市長のパワハラ関連議案だったとはいえ、病院整備はどこへ行ったと心配になった議論でした。病院の課題解決からすれば、まったくの無駄な寄り道。

 

4議員が議案質疑 3人が議案反対、1人が議案賛成の立場から

 市長の提案説明の後、給料削減条例案の質疑に移ったが、その間1時間以上も止まったまま。1日議会なので仕方がない面もあるが、客観的に見ると非効率。

 市長の給料削減条例案に対して4議員が質問。そのなかで、田中議員、東郷議員、益川議員の3人は、質問内容からすると議案に反対の立場からの質問。稲垣議員が議案に賛成で、市長を擁護する質問で奮闘した。

 田中、東郷、益川の3議員の質問は多少の違いはあるが、ほぼ重なっていた。最大公約数的にまとめると次のとおり。

①市長の給料を3割、3か月削減とした根拠。最近の他市事例で見ても、市長の責任でない場合でも、もっと厳しい処分となっているものがある。

②第三者委の費用に約168万円が支出されている。最低でもこの費用を弁償すべきではないか?

③この処分案で市民の理解が得られると考えているのか?

④市長は、第三者委員会の答申書の内容をを受け入れているのか?

⑤第三者委の答申書では、地域医療連携推進法人加入問題に関して、「栢木市長が、『表明・確約書』の提出により同法人へ加入する認識を有していたものと判断せざるを得ない。」と判定している。この判定からすると、市長は3月議会で虚偽答弁を行ったことになるがどうか?

⑥今後の市長自身の行動について。病院整備についてもコミュニケーションを取りながら進めていくのか?

 これに対する市長の答えは、相変わらずのはぐらかしなので、かみ合っていませんが、とりあえず、質問ごとに答弁を当て嵌めると次のとおり。

①根拠はない。重い処分と認識している。第三者委の答申書は強制調査権ないなかで出されたものと認識している。

②金額の問題でない。重い処分と認識している。

③市民に理解してもらいたい。

④第三者委員会の答申書を重く受け止めている。

⑤「表明・確約書」の提出により同法人へ加入する認識はなかった。

⑥病院整備については議案と直接関係ないので答えない。

稲垣議員は市長の責任軽減を狙い、市長擁護の質問 橋議員、田中議員が反対討論 条例案は賛成9、反対8の賛成多数で可決 公明党と立民の忠誠心の高さが改めて確認

 稲垣議員の質問の1つでは、第三者委の答申書が、職員に対する「栢木市長の職務上優越的な地位は、疑いの余地なく認められる。」としていることを問題視。そのうえで、市長と副市長に対して、そのような認識に立って職員と接しいるのかを質問。言うまでもなく、パワハラ等のハラスメントは加害者の認識の問題ではない。稲垣議員には人権侵害の認識がない。

 稲垣議員の2つ目の質問は、答申書をそのまま受け入れるのかといったもの。後の討論で議員が強調していたように、市長はすでに社会的制裁を十分受けているという前提に立ち、市長の責任を軽くすることを狙った、市長擁護の質問。

 この後、討論に移り、議案に反対の立場から橋議員と田中議員が反対討論。その概要は、先に紹介した田中、東郷、益川の3議員の質問趣旨と重なるので詳細は避けます。要するに、市長は第三者委の答申書を全面的には受け入れておらず、パワハラの責任を十分認めていない。また、給料の削減額が第三者委の費用約168万円の半分にも足らず、不十分であり、市民に損害を与えるといった内容。

 条例案の採決結果は、賛成9、反対8の賛成多数で可決。賛成9人は、「市長与党会派」6人に公明党2人と立民1人。

 客観的に見れば、かなり筋の悪い条例案ではあるが、市長に対する公明党と立民の忠誠心の高さが改めて確認された。

市長辞職勧告決議案 栢木市長は「もはや行政の長であり続けることはふさわしくないと考える。」

 議案の採決後、議員提案の栢木進市長に対する辞職勧告決議案の審議。

提出者は益川議員。賛成者が岩井、鈴木、橋、山﨑、東郷、小菅の6議員。

 提案理由の骨子は、次の4項目により、栢木市長は「もはや行政の長であり続けることはふさわしくないと考える。」といった内容。

①栢木市長自身の希薄な人権意識により行われたパワーハラスメントは極めて重大な人権侵害行為である。

②地域医療連携推進法人加入問題に関し議場で繰り返された虚偽答弁により議会との信頼関係が崩壊した。

③市長パワハラ処分の3か月間の報酬 30%減額は不十分。少なくとも約168万円の負担を申し出るべきものであるが、今回の提案はその半分にも満たない。

④第三者委の答申後の対応から、人権侵害に対する責任に真摯に向き合っているとは認めらない。

市長辞職勧告決議案は単なる議会のメッセージ?

 この提案に対して稲垣議員が提出者の益川議員に質問。

 あまり建設的なやり取りではなかったので、簡単に紹介します。

 稲垣議員の質問は大きく2つ。

①勧告が可決されて市長の辞職となった場合、政治的混乱が起こると想定されるが、覚悟しているのか。

②市長が辞職した場合50日以内に市長選挙になるが、候補者を想定しているのか?

 これに対する益川議員の答えは、やや明確さを欠いた。本来なら、①については、市長辞職後の混乱を待たずとも、病院の公約違反と二連三転、加えてパワハラ等によって、すでに、政治不信と混乱の極みと答えるべき。まだしも、後に東郷議員が決議案への賛成討論でこれに近いことを述べていた。

 また、②市長選候補者に関する質問に対しては、勧告案が可決されても法的拘束力がないので、候補者の想定はしていないと答弁。

 この法的拘束力がない云々に対しては、当然稲垣議員が、その効果のなさに異議を唱えて、すかさず突っ込んだ。

 確かに考えてみれば、勧告だから、不信任決議とは異なり法的拘束力はない。しかし、提案して万一4分の3以上の賛成があれば、実質的には不信任決議と同じ効果を持つと言える。改めて、不信任決議(議決)案を提出すれば、可決されて、効力を持つはず。

 しかし、益川議員の答弁であれば、市長の辞職を頭から諦めて、単なる議会のメッセージを出すことを提案していることになる。それでさえも可決されない結果となれば、別の手立てを準備していない限り、逆効果。

 また、候補者の想定に関しては、理由を示すことなく一蹴すべきであった。稲垣議員の質問は、例えれば、火事場で水をかけたら箪笥の中のお札が濡れるのをどうするかといった見当違いの言いがかり。

パワハラの一因は職員にも 「市長への背任」であり、職員を職務命令違反に問うべきであったと奥山議員 

 続いて、辞職勧告決議案に対する討論。

 奥山議員の反対討論の趣旨は、市長の給料を3割、3か月削減は重い。また、パワハラが起こったのは、市長と一部職員との確執があったから。職員が悪く、「市長への背任」。職員を職務命令違反に問うべきであった。

 さらには、市民も被害者であり、市長も家族を含め、その市民のひとり。

 要するに、今回のパワハラは市長が一方的に悪いのでなく、職員の側にも責任があり、市長も被害者という論調。以前紹介したように、市長本人と支援者の心底には、被害者意識が存在する。これでは、責任をもって市政を進められない。

 それにしても、職員が悪く、「市長への背任」であり、職員を職務命令違反に問うべきであったとの発言は、「市長与党会派」の考え方を代表しており、人権に関わる重大な問題発言。公明党と立民はこのような論調に実質的に賛同したことになる。

稲垣議員がまたも市長擁護で大奮闘 体育館病院整備の条件が整ってきたなかで、栢木市長の不在は許されない 辞職は混乱だけをもたらす

 その他、小菅議員が、今回のパワハラ事件は、病院整備はじめ市長の政治姿勢の結果であると賛成討論。

 今日は大奮闘の稲垣議員は反対討論。その概要は次のとおり。市長は反省し謝罪している。そのうえ、市長が責任を果たすための処分条例が可決された。

 また、市長は社会的制裁を十分受けている。選挙公約違反についても先般謝罪した。約2年後の市長選挙で審判を仰ぐべき。

 体育館病院整備の説明会が終了し、条件が整ってきた。そのようななかで、栢木市長の不在は許されない。辞職は混乱だけをもたらす。

 さらに、辞職勧告決議案の提案者は候補者を想定していないので、辞職勧告は市民に信頼されない。

 最後に、東郷議員が賛成討論。まず、奥山議員の問題発言を指摘。その後、第三者委の答申書に対する市長の対応が不誠実であること等をあげ、市長が市長にとどまれば、野洲市の混乱が一段と増すことを指摘。

 採決の結果は、先の条例案とは逆の数の賛否で賛成少数で市長辞職勧告決議案は否決。とは言っても、客観的に見れば、賛成8、反対9の結果は重い。そして、ここでも市長に対する公明党と立民の忠誠心の高さが改めて確認された。