市長のパワハラ認定が昨夜のうちに全国に拡散 唯一びわ湖放送が沈黙?

 昨日6月30日の野洲市の第三者委員会の市長のパワハラ認定報告。今朝の新聞紙面に取上げられていますが、すでに昨夜の段階で、ほぼ各社がネットで全文読める形で情報提供していました。それは全国紙にとどまらず、共同や時事などの通信社がそれぞれ配信したので、全国の主要な地方紙が記事の核心部分を同様にネットで記事を掲載したため、昨夜のうちに情報が全国に拡散。ただし、ネット検索した限りでは唯一漏れたのが、足元のびわ湖放送?また、1日遅れ。

第三者委員会の克明な報告書の後で、市長は何を「説明」できる? 市民説明会を予定どおり開いたうえで?

 記事の内容は、昨日NHKのネット記事で紹介したのとほぼ同様なので、省略します。

 ただし、ひとつだけ新しい情報が。それは、ほとんどの情報が、市長が後日記者会見で説明するとなっていたところが、新聞によっては具体的に「7月6日に記者会見を開いて説明するとした。」(日新聞Web2022年6月30となっている。

 通常は、市長本人が直接市民や報道機関に説明する事は必要。しかし、第三者委員会がこれほど克明な報告書を出した1週間後、市長は何を「説明」できるのか疑問。それと、7月6日に記者会見ということは、まさか、7月4日と5日の体育館病院の市民説明会を予定どおり開いたうえで、行うつもりか?それでは順序が逆ではないか?

調査審議結果には市長のパワハラ認定とともに、別の重要な事実が認定されている

 ところで、第三者委員会の調査審議結果(答申)が市のホームページに公開されています。栢木市政になって以降、公開度が極端に落ちた野洲市としては画期的で評価できる。

 その核心の部分は、すでに報道されているように、市長が職員に対して行った3件の言動がパワハラと認定されたこと。

 ひとつは、昨年(2021年)5月18日の市長協議において、市長が協議中に机にボールペンを叩きつけ、退室する職員らに「3日話しても同じや。」と発言した言動。

 あと2件は、今年3月9日の市議会定例会の一般質問終了後、本会議場において市長が幹部職員2人に対して行った言動。1人に対しては、答弁内容について「ええかげん にせえよ。」「言ったやろ。」「ちゃんと言えよ。」と叱責した。またもう1人に対しては、「(職員の名前を呼び)お前もや。」と叱責した言動。

 この調査審議結果には、以上の単純明快な市長のパワハラ認定とともに、別の重要な事実が認定されている。

地域医療連携推進法人への市長の加入手続き問題 市長答弁は虚偽答弁に当たる!

 市長のパワハラ疑惑解明のために条例で第三者委員会を設置し、弁護士や法律専門家による調査審議を進めるとなると、当然、その背景となる事実の認定が必要となる。調査審議結果がことわっているように、限界はあるが、よく努力して成果を上げている。そのなかから重要な例を紹介します。

 「4 事実の認定及び評価」において3月9日の市議会本会議における益川議員の質問に対する答弁が取上げられている。これが、市長の当日のパワハラ言動の原因だからです。問題になったのは、地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアム加入問題。

 市では、この法人に加入しないと組織決定したにもかかわらず、栢木市長がそれを無視して、加入手続きを行ったと議員が指摘。栢木市長は、その時の答弁で加入の意思も認識もなかった旨答弁。なお、この件に関しては、去る6月議会で益川議員があらためて質問した際にも、栢木市長は同様の旨答弁した。

 しかし、調査審議結果は次のとおり判定している。長くなりますが、引用します。要するに、栢木市長は同法人に加入する認識を有して、手続きを行ったと認定している。議会での市長答弁は虚偽答弁に当たる。市議会、特に、荒川議長はこの事実を究明し、対処する必要がある。

市長は加入する認識を有して、手続きを行ったと判断せざるを得ない!

 「同(6)月17日、栢木市長は湖南メ ディカル・コンソーシアムに対し、所管部の稟議を経ず、野洲市役所内における何らの決裁行為もないまま、同日付「表明・確約書」と題する書面に署名し個人印を押印して提出しており、同法人はそれを加入申込 みの意思表示として受け付け、理事会の承認決議を経たうえ、同法人の ホームページにおいて参加法人として野洲病院の名称を掲載した。」(16ページ)

 「しかし、本委員会が実施した関係者のヒアリング及び入手した資料によれば、令和4年1月31日、柏木市長は、福山病院長及び野洲病院事務部職員が同席する協議の場において野洲病院が湖南メディカル・コンソーシアムに加入した旨を述べ、それを受けて野洲病院事務部が同法人 へ問い合わせ、「表明・確約書」の写しを取り寄せで確認するなどの対応 を行ったことが認められる。この経緯に鑑みて、本委員会としては、栢木市長が、「表明・確約書」の提出により同法人へ加入する認識を有していたものと判断せざるを得ない。

 よって、加入申込みを独断でしたとの評価を争うものと理解したとし ても、やはり栢木市長の主張は根拠を欠くものと言うほかない」

「半額」が抜けている! パワハラと選挙公約の関係について十分踏み込めていない 後は議会への期待

 以上のとおり、良くできた調査審議結果。とはいっても当然いくつか気になるところがあります。小さな例ですが、1例を。

 今回対象となった一連のパワハラの根底には、市長選の公約がある。あえて言えば、公約の無理さ。

 調査審議結果でも、「市長は、ボールペンを叩きつけた意図について、公約実現のために駅前以外の候補地の可能性をさらに調査してほしいと要請して」と市長の釈明を記録している。

 ところが、「栢木市長の経歴」で栢木市長の公約を次のように位置付けている。「同選挙において主要な争点となった野洲病院の整備場所について、栢木市長は、山仲善彰前市長が進めていたJR野洲駅南口Aブロックへの移転計画に経済的合理性がないとして反対し、医療を継続しながら現地で建て替えるという案を掲げて当選し、同年10月、野洲市長に就任した。」

 ここには、重要な争点であり、「現地」以上に栢木公約の魅力であった「半額」が抜けている。

 繰り返しになりますが、良くできた調査審議結果ですが、栢木市長のパワハラと選挙公約の関係について十分踏み込めていない。後は議会への期待。