夕方からびわ湖ホールのコンサートに出かけてきました。プラシド・ドミンゴとアンジェラ・ゲオルギューの歌。いずれも、ありきたりな言い方ですが、大オペラ歌手。ドミンゴはいわゆる「三大テノール」のひとり。パヴァロッティが亡くなり、カレーラスもほとんど活躍していない中で、80歳を超えて現役。

 今日は、この2人にソプラノのマリナ・モンゾが加わって、年代の幅が広がり、一層華やかなコンサートでした。

 コンサートは、ヴェルディの歌劇「運命の力」序曲の後、いきなりという感じでドミンゴの「アンドレア・シェニエ」(ジョルダーノ作曲)のアリア「祖国の敵」から劇的に始まりました。フランス革命を舞台にした悲劇。持っているDVDでは、ドミンゴは当然、主役であるアンドレア・シェニエ(テノール)を歌っていますが、今日はバリトンのパートであるジェラールのアリア。

 彼独特のメタリックな艶がありながら豊潤さの備わった声と歌いまわしに一気に彼の歌の世界に引き込まれました。

 曲目は、彼の故郷であるスペインの叙情的オペラ音楽、サルスエラも交えながら多彩。

 ゲオルギューは、四半世紀前に出たドニゼッティの歌劇『愛の妙薬』のアディーナ役で受けた鮮烈なチャーミングさは円熟に変わっていますが、質の良い声と味わい深い節回しで楽しませてくれました。

 ドミンゴの誘導で、アンコールの歌もふんだんで、会場は大いに盛り上がりました。クラッシックのオペラ歌手にとどまらないで指揮も芸術監督もやる、大エンターテイナーが創造した世界を堪能できた2時間半でした。