用意周到さと丁寧さが逆に疑念を抱かせる資料 

 今日6月22日、体育館病院説明会の資料が届けられました。これまでは参加者からの話や新聞報道だけの情報でした。説明会用の資料に加えて5月18日の特別委員会の資料、さらには追加資料や「市長のメッセージ」まであって、かなり多種多量。資料のあまりの用意周到さと丁寧さが逆に、どこか疚(やま)しさがあるのではないかと疑念を抱かせる。先日6月18日の市民団体の会議参加者がこれらの資料を不動産屋の資料のようだと言っていたことも分からないではない。また、稲垣議員が奇しくも言っていたように、病院現地半額建替えの公約違反に頬かむりしたまま二転三転の独断専行とも似合わない丁寧さ。

市長メッセージは鮮やかな返し技

 この公約違反以降の独断専行の釈明のようなものが、裏表1枚に小さな字を連ねた「市長のメッセージ」。これに目を通していて、裏面にある1節にいたって、またも柔道の指導者である栢木市長の鮮やかな返し技に感心しました。

「野洲市の将来に禍根を残さない最良の選択をめざし、 Bブロックも対象に検討・熟慮しておりました。しかし、3月議会の終盤に『野洲駅前Bブロックでの病院 整備事業の早期再開についての決議案』が提出され、3月25日、賛成が7人という少数で謀らずも否決さ れてしまうことが起きてしまいました。

 私は、このBが否決されたという事実を極めて重く受け止め、そして4月に入り、今日お示しする内容で整理するよう地域医療政策課に指示したものです。」市長は、特別委員会でもこのような説明はしていたが、公文書として手にとって読むと鮮明さが違う。

駅前病院賛成議員の決議案が体育館病院を誘引! 市長の論理は繋がらない!

 市長メッセージの内容が本当かどうかは別にして、結果的には駅前病院賛成を唱えている議員たちが、体育館病院を誘引したことになる。自滅なのか意図的なのか?

 これは今議会提案の病院事業設置条例の変更理由の場合と同じ。駅前病院賛成を唱えている東郷議員が出した住民監査結果の余計な、なお書き文が駅前病院の実現に致命傷となるおそれがある条例の変更を導いた。

 いずれにしても、駅前病院賛成議員が自滅し、市長に塩まで送った結果になった。責任は重大。

 ただし、この文章をよく読めば、論理は繋がっていない。市長がBブロックを諦めたことと体育館病院は繋がらない。以前も書いたように、体育館病院を公約に掲げて選挙戦を戦った政治家は、市長も含めてだれもいない。栢木市長の公約は、稲垣議員や東郷議員が議会で正当に主張していたように、病院は現地に半額で建て替えるので駅前に建てないというもの。駅前に建てないということが単独で公約であったわけでないことは明らか。

エビデンスになっていない! 病院は旧プール跡地を半分以上はみ出している! 学識者の信用まで危なくなる!

 資料の問題点をいくつかあげておきます。次に驚いたのは、これも本体の説明資料でなく、追加文書。「野洲市民病院の新たな整備場所(温水プール跡地)が建築可能な地盤であることのエビデンスについて」と題した、6月15日付けのもの。担当者は駒井等となっている。

 文書は、「温水プール跡地」「の地盤に係る下記の所見について、学識者にご確認をいただきました。同場所に市民病院が建築可能であることのエビデンスの一として、関係者に情報提供いたします。」とはじまっている。

 記として、「学識者による確認の結果 」の項目で、次の(1)と(2)のコメントがあるだけ。どこに建築可能であることのエビデンスがあるのか?

(1) 学識者:本市市民病院整備運営評価委員会委員 ご専門:建築設計・構造計画 (2) ご確認コメント

「記載(*下記2)の所見で問題ないと思料する。資料をさらに補強すべく、支持力の構造計算を添付すれば如何か。階数とスパンを仮定すれば、凡そその杭軸 カが分かるので、それで支持力の計算をすればよいかと思料する。」

 これがエビデンスにならない理由をいくつかあげます。

①評価委員会委員である学識者の氏名や具体的な専門分野や実績が明らかにされていない。この学識者は文書で評価を出したのかそれとも口頭なのか?この人物が誰なのか知らないが、このようなコメントの出し方は信頼性を問われる。この人物がどの組織にも属していない完全なフリーの立場なら別だが、どこかの大学や研究機関に属しているなら問題。

 ちなみに、評価委員会の名簿を見ると、該当者は日本大学生産工学部客員教授と2人の滋賀県立大学環境科学部教授、計3人のうちの誰か。

②「同場所に市民病院が建築可能であることのエビデンス」となっているが、この文書の裏面の図では、体育館病院は旧温水プール跡地を半分以上はみ出している。万一、旧温水プール跡地にエビデンスがあたっとしても、半分以上のところには古いデータさえもなく、エビデンスない。この学識者はこのはみだし部分も保証したのか?

 まだまだ問題点がありますが、相手にするようなものでもないので、このあたりで止めます。

 

「可能性検討委員会は追認した」は事実と異なる! 病院事業顧問大丈夫か?

 あといくつか簡単にあげておきます。

 「なぜ、これまで『駅前』だったのか?」の標題で、2012(平成24)年の病院可能性検討委員会の当時の委員長の最近のコメントが掲載されている。

 「(H24当時)可能性検討委員会は追認した」の見出しで、「当時は病院の費用や具体的なものは何もなかった中、「駅前」が良いか悪いかの投げかけに「良い」としただけ」と記されている。

 この検討委員会は、5回の回数を重ねているし、専門コンサルに支援業務を別途委託している。市の説明では、「この委員会を運営するにあたり、新病院整備に伴う建設費用の積算や新病院を運営するとなった場合の事業シミュレーションなど、専門的な知識や資料等が必要となることから、これらの業務について委託するものです。」となっている。この委託の成果は検討委員会の提言書にも掲載されている。

 「当時は病院の費用や具体的なものは何もなかった中」などは事実と異なる。このようなコメントを出している人物は、昨日も紹介した柏木厚典理事。本当に7月1日から病院事業顧問になって大丈夫なのか?

管轄外の駅前開発や市立病院跡地の利用まで 文化ホール解体と逆方向

 もうひとつは、体育館病院の計画であり、所管は医療政策課となっているのに、駅前開発や現市立病院跡地の利用のことまで詳しく記載されている。管轄外のことであるとともに、駅前文化ホールの維持が困難で解体を急いでいる中で、どこに財源があるのか?そして、コミセンやすはどうするのか?政策の方向がまったく逆ではないか?

 副市長がよほど真剣に統括しないと、フロントが広がりすぎて、補給が追いつかない状態。

 すでに指摘したように病院用地が無料扱いされているなど、まだまだ問題はありますが、今日はこのあたりでとどめておきます。