昨日の市長出席の説明会は、「コミセンしのはら」とは様変わり!

昨日の市民団体の総会イベントでは、参加者から活発に意見が出された。体育館病院の資料が不動産屋の広告と同じでいい加減。絵に描いた餅で、計画に実現性はないなど、すべて否定的な意見。そして、病院を駅前Aブロックに戻してほしいという意見に賛同が集まった。

 今朝の新聞に昨日の様子が報道されています。

 見出しは、「野洲病院駅前へ『団結』市民グループ総会で決議採択」(読売新聞2022年6月19日)

 記事の内容は、ほぼ昨日紹介したとおりなので省きます。ただし、この記事には、昨日午後開かれた市の体育館病院の説明会の状況が紹介されています。

「一方、この日、栢木市長も出席し、市民向けに開いた市の病院事業説明会では、『郊外では採算が取れず、経営が成り立たないのでは』『住民の総意を改めて聞くべきだ』などの声が上がった」。(読売新聞2022年6月19日)昨日参加した市民から聞いたとおりです。

 これは午前の市民団体の会議と同じ流れ。そして、市民団体の会議で、説明会は仕組まれていて、市長の応援団が参加していたと批判されていた6月12日の第1回の「コミセンしのはら」での状況とは大きく様変わり。あの時は、「市民からは『合理性があり、駅前よりもいい』などと評価する声が上がり、栢木市長が『頑張ります』と応じると拍手が起きた。」(2022614日毎日新聞)これは、まさに選挙運動の演説。

体育館病院案に土地代が計上されていないことは重大な問題

 ところで、体育館病院には土地そのものの問題、交通アクセス、建設工事の可能性、職員寮や院外薬局の立地の問題など多種多様な問題があります。絵に描いた餅以前で、まだ餅の絵も描きあがっていない。

 ここで改めて、以前簡単に触れた病院建設用地と駐車場用地の問題を整理しておきます。

現在示されている公式資料では、整備費に土地代が含まれていない。その理由は、すでに市有地だからというのが市長や布施政策監の説明。しかし、駅前Aブロック病院の場合でもすでに市有地であったものを病院事業で改めて、市から買収しているのでこの理屈は通らない。後で説明するように、体育館病院案に土地代が計上されていないことは重大な問題。

 少し、かたい話になりますが、公営企業法の全部適用の独立採算制の事業とする場合は、買収する必要がある。あるいは、市が病院事業に土地財産を出資する形をとる必要がある。市にとっては、ということは、市民負担の軽減のためには、病院事業での起債による買収が格段に有利。だから駅前Aブロック病院の場合はそうなっている。その理由は、起債の償還時に国から25%の地方交付税が受けられるから。

市立病院の運営形態は4つ 体育館病院案では?

 なぜ、体育館病院ではこの方式を取らないのか?もし、意図的にこの方式を取っていないとしたら、そこには秘かな狙いが隠されている。それが何であるかのヒントは、稲垣議員の先の本会議での質問にある。また、昨日の市民団体の会議で参加者の発言にある。

 まず、基本的なことですが、市立病院の運営形態には、大きくは4つある。

 ひとつは過去に一般的であった、一般会計予算で運営するまったくの直営。

 2つ目が、現市立野洲病院で採用している、公営企業法を全部適用する運営。これが現在は一般的。

 3つ目は独立行政法人化による運営。

 4つ目は指定管理者制度による運営。

 そこで、問題の体育館病院の案。そこでは病院と駐車場を一般会計予算で保有する市有地に建てることになっている。ということは、その病院と駐車場等は1つ目の過去型の一般会計予算で運営する、まったくの直営が想定されていることになる。しかし、このやり方では、一般会計予算が病院会計を抱え込むことになり、大きくなりすぎる等の問題が生じ、持たない。そのため、2つ目以降への移行が必要になる。ところが、2つ目の公営企業法の全部適用は当初から除外されているし、それと連動して3つ目の独立行政法人も除外されていることになる。したがって、残るのは4つ目の指定管理者制度による運営。

体育館病院案では指定管理者制度による運営が前提

 そこで稲垣議員の先の本会議での一般質問。体育館病院において病床数を199床に戻すこと。そして、回復療養病床を40床増やすこと。なお、回復療養病床というものはなく、回復期リハビリテーション病床か療養病床しかないので、答弁で福山病院長が稲垣議員の発言を訂正していた。要するに療養病床を40床増やせという主張。そのうえで、運営を指定管理者制度で行えという強硬な主張。

 また、昨日の市民団体の参加者の発言。栢木市長は一昨年の市長選挙の演説で病院は公設公営でなく公設民営だと言っていたというもの。これは指定管理者制度を意味する。

体育館病院は野洲病院とは別もの 病院を2つ持つ? 補正予算400万円は一般会計予算案で計上すべき

 このように辿ってくると、体育館病院は、公式資料からは、過去型の直営病院で立ち上げて指定管理者制度に移行することを想定していることが客観的に読み取れる。その証拠は、土地を買収も出資もしないこと。もしどちらかをしようとすれば、土地価格の評価をしそれを事業費に積算しなければならない。しかしそれをあえてしようとしない。

 このことから分かるもうひとつのことは、体育館病院は公営企業法の全部適用で運営されている現市立野洲病院とは別物の病院を新たにつくろうとしていることになる。2つも病院をつくって、どうするつもりか?それも市税を投入して指定管理者制度運営の療養病床主体の病院を新たにつくるとは!?

 繰り返しますが、これは勝手な推測ではなく、体育館病院案が土地を買収も出資もしないことから来る当然の帰結。

 そこで、最後に問題が。今議会に提出されている病院事業会計の補正予算案には体育館病院のために「病院整備基本計画修正業務委託料」400万円が計上されている。しかし、土地代が入っていない過去型の直営病院が前提になっているのであれば、この予算は病院事業会計でなく、一般会計予算案として計上すべきもの。審議中の予算案は間違っている。

 些細なことのようであるが、市議会は、ここを確認したうえで審議採決する必要がある。