病院関連議案だが、新病院でなく、現市立病院に関するものばかり
 
昨日6月7日の市議会の開会時に追加提案された病院関連議案の概要を簡単に紹介しました。
 ただし、病院関連議案とはいっても、早急の整備が必要な新病院に関すると思われるものは、Bブロック病院の基本計画の修正業務の予算だけ。後は、基本的に現市立病院に関するものばかり。
 現市立病院は新病院が前提での存在であって、多くの課題があるなか、院長以下職員の努力によって、何とか健全に運営されている。それなのに、無駄なお金を使って、その組織や制度を触りに行くというのは、正気の沙汰とは思えない。

病院事業管理者に就任する前から年額約2500万円に修正
 
ところで、議案のことについてもう少し触れておきます。その前に、訂正を。
 昨日、今年度から市立病院に会計年度任用職員として就任した副院長の職員給と手当が合わせて1800万円余りというように書きましたが、間違っていました。
 この人が、病院事業管理者になるので、予算案でその分が減額になっていて、その数字を上げましたが、これは、7月から来年3月までの9か月分。今年の4月から6月分は、支払い済みか、近々支払われる。ということは、1月200万円超になるので、年額約2500万円。したがって、「実質700万円増額」でなく、病院事業管理者に就任する前から、すでにその処遇を受けていたことになります。

条例議案はまともに扱うなら相当の難物 通例の審議時間では処理できない!
 
今回の病院事業の条例改正議案は、もし議会が正面から扱うならば、相当の難物。通例の、本会議での半日足らず、そして、2時間程度の委員会審議では処理できない。
 この議案は、一見するところ、病院の場所の変更と病院事業管理者の設置という事務的な変更に見える。
 もちろん、そこには以前紹介した、耐震強度不足で医療基準を満たさない危険な病院を新病院整備の確定計画もなしに、改めて条例決定するなど多くの問題はある。
 ただし、それとは別に、議会審議のうえでの重大な課題が多く隠れている。したがって、市提供の資料説明を受けたり、読んだりの、いつもの「議案勉強」では手に負えない。

 とりあえずのところを、まず順番に上げます。その後、別の視点からいくつか取り上げます。
①市立野洲病院は開院して満3年。施設の老朽化の進行、医療基準の達成状況そして、それらへの過去3年間の対応実績などを確認する必要がある。
②上記①に関しては、それぞれ監督官庁がある。もし市議会が市民に責任をもって審議採決するなら、それら監督官庁の見解を何らかの形で確認する必要がある。
③条例案には診療科目の変更が含まれている。現状と将来計画を確認する必要がある。
④年俸2500万円の病院事業管理者の設置にあたっては、その人事の経緯と今後の病院の収支予測を確認する必要がある。

条例改正理由の正当性が問題 議会選出監査委員には説明責任 善意の多くの人を苦しい立場に巻き込む市政
 
今回の条例改正の理由のひとつが、監査委員の指摘になっている。
 正確を期するために、引用すると、「令和4年4月 28 日付けの住民監査請求に係る市監査委員による監査結果において、野洲市病院事業の設置等に関する条例における解釈に違いを生じさせないようにする必要性が示されたこと」。
 この監査委員の「なお書き」で出された指摘が、手続きと内容の両面で不自然で問題であることは、何度か触れました。したがって、詳しくは繰り返しませんが、監査委員の権限外の指摘であるとともに、法論理的にも理解が困難。加えて、栢木市長の今回の突然の条例改正の重要な理由に使われるとなると、監査委員の中立性も疑われる。
 そこで問題になることは、この監査委員の「なお書き」指摘が具体的に何を意味して、どのような対応を求めているのかが明らかにされる必要がある。そのうえで、議会は、まず、この指摘が正当なものかどうかを判断する必要がある。
 制度上は、監査委員は結果を出して終わり。その結果について、それ以上意見を求められることはない。後は、住民訴訟に移行する制度。
 しかし、議会選出の監査委員の場合、自ら出した監査結果というより本論でない付け足し意見が、条例改正理由に使われ、審議採決する立場となった場合は状況は異なる。政治家としての説明責任が求められる。
 このように、栢木市政は、病魔や災害のように善意の多くの人を苦しい立場に巻き込んできている。ここにもその異常さが表れている。

住民訴訟で条例解釈と市長行為の関係が争われている

 
ところで、今回の住民監査請求とほぼ同じ内容の監査請求が現在、住民訴訟になっている。そのなかで栢木市長は、駅前Aブロック病院の業務の解約は、Aブロック以外の場所で病院を整備しようという意図をもって行ったものでないので、条例違反ではないという奇妙な趣旨の主張をし出している。
 かりに、これが正直な発言だとしたら、市長は病院をAブロックに整備しようとしていたことになる。それであれば、現地半額建替え検討は何だったかになる。また、市長は、なぜ、いつ、Aブロック以外の場所で病院を整備しようという意図をもったのか?
 このように市長の発言をたどってくると、いつものように、何が何だか分からなくなってきている。
 いずれにしても、現在この条例の解釈と市長の行為の関係が法廷で争われている。議会は、その具体的な内容と見通しを踏まえた審議も必要。配布された資料での実質1日程度の審議で片付く問題とはとても思えない。
 またもや市議会が試されている!