合理性なく、お金の無駄・職員志気の低下・指揮命令系統の混乱
 栢木市長は、野洲市の病院事業に管理者を新たに置くことを突然表明。そのための条例案と予算案を6月議会に追加提出しようとしていることはすでに紹介しました。そして、その年間の給与が2500万円余りという、野洲市の公務員としては破格な額であることも。
 野洲市の病院事業は市立野洲病院しかないので、その管理者といえば、野洲病院にいてその管理をすることになる。病院だから院長は必要。それとは別に毎日病院に勤務して、この管理者は何をするのか?
 そのうえ、7月1日からという設置の時期についても意味不明。このことは、先に紹介した、部長会議で部長たちも指摘していた。
 このように、この病院事業管理者の新設は、目的も時期についても合理性がない。市長自身、部長会議で説得性ある説明ができていない。ということは、市長が熟考中での医療関係者やその他の分野の人たちとの話し合いで入れ知恵されたものとしか考えられない。
 この管理者が、2500万円以上の働きをするならまだしも、そうでなければ、院長はじめ病院の実務に従事する職員が稼いだお金が無駄にそこにつぎ込まれることになる。お金に色は付いていないので、場合によっては市民の税金も。
 いずれにしても、当然、職員の志気の低下につながる。そして、それ以上の問題は病院の指揮命令系統の混乱

企業で例えれば、子会社の雇われ社長のような立場
 ところで、この管理者なるものは、地方公営企業法に定められたもの。ただし、法には「第7条ただし書の規定により管理者を置かない地方公共団体においては、管理者の権限は、当該地方公共団体の長が行う。」と定められている。野洲市の場合は、新病院整備という困難課題があったので、当初から市長が管理者を兼ねてきた。
 改めて、管理者の権限を紹介すると、法第8条に「地方公営企業の業務を執行し、当該業務の執行に関し当該地方公共団体を代表する。」と定められていて、大きな権限とその裏返しとして、責任を負っている。
 したがって、任期は4年だが、法第7条の2第7項で「管理者の業務の執行が適当でないため経営の状況が悪化したと認める場合その他管理者がその職に必要な適格性を欠くと認める場合には、これを罷免することができる。」と厳しい規定がある。 企業で例えれば、子会社の雇われ社長のような立場。

注目の人事 体育館病院整備事業の全責任を負わされる
 そこで本題に。普通であれば、このように筋の悪い条例案は議会を通らない。しかし、野洲市の場合は、これまでの流れからみると、予断を許さない。市長は突っ走るし、議員も動く。ということで、7月1日に向けて市長は管理者の人選を済ませているはず。注目の人事。野洲市の状況からすると、組織運営と施設整備に相当な実績を持った人物でないと務まらない。この人事によって、逆に市長の資質が改めて評価される。
 誰がなるかは分かりませんが、本当に希望する、あるいは引き受ける人がいるのか疑問。その理由を思いつくままに簡単にまとめてみます。
①市立野洲病院に居場所がない。
②体育館病院整備事業の全責任を負わされる。
 市長が打ち出した実現性の見込みが厳しい事業を責任をもって進めなければならない。市長の熟考と結論に関与した人物が選ばれるのか?
 まずは、権限の及ばない教育委員会との折衝に苦労する。
③市立野洲病院の運営と体育館病院事業の推進に関して責任をもって議会対応をしなければならない。
 当然、病院整備の特別委員会では、「当該地方公共団体を代表する」立場で臨まなければならない。いうまでもなく、本会議でも。

2500万円もらっても見合わない役割! 市長は戦線離脱で体育館病院は本気でない? 
 とりあえず、以上簡単にまとめたように、野洲市の今の状況のなかでの病院事業管理者の業務と責任は。予測しがたいほど複雑で厳しい。
 このことに関連して、4月から医療政策課に配属されている政策監等の職員も本来であれば、病院事業管理者の指揮命令系統下に置かれなければならない。どうするのか?
 今日のところは、このあたりでやめますが、いずれにしても2500万円もらっても見合わない役割のように見えてくる。また、このように見てくると、市長はこのような余計なことまでしているようでは、本気で体育館病院をつくるつもりがないのではないかとも思えてきます。これでは、市長は戦線離脱。