体育館病院へ医師会が警告! 市長結論に対する明確な反対意見! 異常な状況

 今朝、自宅の郵便受けに病院のチラシが入っていました。色合いは明るい水色が基調。ほぼ表面全体を使って、大きな文字で「総合体育館横には、新しい市立野洲病院は建てられません」。

 「市立野洲病院の駅前早期建築を実現する会」の発行。発行責任者は守山野洲医師会長小西常起。1か月前に紹介した医師会の意見表明の第2弾。前回は、「とにかく早く駅前に市立野洲病院を建築することが絶対に必要です!! 」と大書されていたが、今回は市長の結論である体育館病院への警告。結果としては、市長結論に対する明確な反対意見。

 市長は、50年先を見越した病院の結論だと主張しながら、足元の市立病院の意見を聞かない。さらに、日頃市民の健康を支えてくれている、開業医はじめ医師会の意見も聞かないどころか、その意見を無視して体育館病院を強行しようとしている。これは、市を二分どころか、そのレベルを超える異常な状況。

市長二転三転で、医師会は期待と貢献と信頼を裏切らた! 信じられないような酷い話! 

 これまでも紹介したとおり、医師会は野洲市の病院問題の最初、2011(平成23)年から検討に協力。当然、駅前Aブロック病院は医師会の意見も踏まえたもの。

 ところが、栢木市長が民意を盾にして方針を変更。その後医師会は市長公約の現地半額建て替え検討に協力。また、昨年5月市長が、突然Bブロック病院方針を示した時にも、理解を示し、評価委員会では基本構想等の検討に協力した。

 しかし、今年になってから市長が、またもや突然Bブロック病院方針を撤回。このように栢木市長の二転三転で、医師会としては、何度も期待と貢献と信頼を裏切られてきた。

 世の中にこんな酷い仕打ちがあるとは信じられないような話。それも、当事者がれっきとした自治体の市長とあってはなおさら。これは、市政や病院問題以前の道義の問題。

医師会の議長あて駅前病院の早期建設を求める要望書も実質無視された形

 市長に振り回されて、裏切られただけではない。さらには、市議会に関しても、今年1月に、駅前での病院の早期建設を求める要望書を医師会長が荒川議長に対して直接手渡しで提出。しかし、議会を代表する議長は、この要望書を全員協議会で議論するなどの対応を行わず、実質無視された形で終わっている。なお、市長と議長は、いずれも野洲市を代表する存在(機関)。

 ところで、この間の事情をまとめた記事があるので、2つ紹介しておきます。

 「医師会は前市長が進めていた駅前Aブロックでの病院整備を支持していたが、2020年10月の市長選で初当選した栢木市長は21年5月、隣接地の駅前Bブロックでの整備を表明。9月に医師会の理事役員会で方針を説明し、賛同した医師会は11月に市長に早期整備を求める要望書を提出していた。」(毎日新聞2022年1月8日)

 「医師会の小西常起会長は提出後の取材に「医師会や行政、市民が十年間検討して、駅前での整備を決めた。最初からやり直すなら、市民の健康はどうなるのか」と疑問を呈した。」(中日新聞2022年1月8日)

医師会の5項目の意見

まず、チラシの5項目の意見の見出しを紹介します。

①国民スポーツ大会の会場なので、 令和7年が終わるまで地盤の調査すらできません

②河川に近く、軟弱地盤の上に病院をつくるのですか?

③総合体育館横の市立野洲病院では通院が大変

④多額の交付金などの返却が必要になるなど、 市民に不必要なコストがかかります

⑤「総合体育館横に建てる」ということは 「市立野洲病院をなくしてしまう」ことになりませんか

車で5分と歩いて5分を同等という主張は暴論 医療スタッフの通勤は送迎バスでは対応できない 

 見出し以下の具体的内容すべてにまでは及べませんが、いくつか重要な指摘を取上げます。

㋐病院への通院・通勤に関して

「病院に通院・通勤する人の時間帯は分散していないので、コミバスでは不便です。また、医療スタッフは夜遅くまで勤務しています。コミバスは対応困難です。駅前が便利であることは明らかです。」

 重要な指摘です。

 市長は、駅から体育館まで2.2kmだが、車で5~6分。だから、郊外ではないし、駅から現市立病院へ歩いていくのと同等だ主張している。これは、まったくの暴論。この論が通用するなら、マンションも商業施設も駅前である必要はなく、車で5分のところで十分。もちろん、車の5分と徒歩の5分は別物。

 さらに、バスの場合は徒歩のような随時制がない。徒歩であれば駅を降りてすぐに病院に向かって歩き出せる。しかし、バスの場合は待ち時間が要る。そして、ここで指摘されているように、通院・通勤する人の時間は特に朝は集中するので、便数が限られるコミバスやシャトルバスでは不便。乗れなくて、次の便を待たされる人も出る。また、医療スタッフの通勤は送迎バスでは機動的に対応できない。

国交省の10億5千万円が交付されない! その分市民の負担が増える!

㋑交付金などの返却が必要

「駅前に病院を建築することでもらった国からの多額の交付金を返却しなければなりません。」

 これは、駅前での病院整備を前提にもらえることになっていた国交省の10億5千万円のことのようです。交付税の25%とは別に、交付される貴重な財源。体育館病院では交付されない。その分市民の負担が増える。

 ただし、ここでの表記はやや不正確で、国交省の10億5千万円の交付金は、まだほとんどもらっていない。栢木市長が途中解除したAブロック病院の実施設計事業でそのごく一部が交付されたが、残る約10億円はその後の建築事業で交付予定だった。

 もちろん、既に交付された実施設計分は、市長が事業を完了させなかったので、市税で返却したはず。それに関連して、市長への損害賠償請求の住民訴訟が起こされている。

 なお、前市長時代に国交省の10億5千万円の交付金を既に満額受け取っていた。それが既に使い尽くされたという噂が秘かに流されているようです。交付金は事業をする際にしか交付されないので、先に満額受け取って使い尽くすなどできない。事実ではない意図的なデマ。

救急指定病院のないまちになる! 野洲市の地域医療・介護が崩壊のおそれ!

㋒「市立野洲病院をなくしてしまう」ことになりませんか

 「また『総合体育館横に建てる』と提案するのは、結局は熟考して結論を先延ばしにするつもりではないでしょうか?」

 「私たち医師会で駅前に建て替えると 約束したにもかかわらず、熟考と称して今度は一度自分で無理と判断した体育館付近に建て替えるとの事、今回は『やはり無理でした』ではすみません。」

 「条例変更が議会で議決してしまったあとでは市立野洲病院は無くなってしまいます。」

 「滋賀県で2番目の『救急指定病院のない市町』になってしまいます。」

 「市立野洲病院が無くなれば、野洲市の地域 医療・介護が崩壊しかねません。」

 病気になって初めて健康のありがたさに気づいたり、親や家族を亡くして初めてその存在のありがたさに気づいたりしても手遅れ。それと同じように、約半世紀、市民の健康と医療の拠りどころであった病院が、体育館病院によって消える恐れがある。

 これは、「現在国が進めている 『地域包括ケア」プランでは、」一層重要になる機能。

 さて、市議会はこのような医師会の意見にどう対応するのか?そして、市長はまだ民意を盾にして、突き進むのか?