監査委員の権限外の感想を根拠にした病院条例改正は不可解!

 先に、公表された体育館病院の問題をまとめました。5月18日の特別委員会で公表された情報のなかで、もうひとつ問題となるのは、6月議会で予定している病院事業設置条例の改正。

 条例では本来の病院の場所としてAブロックが定められ、Aブロックで病院が開院するまでの間、病院の場所を現市立野洲病院の場所とするとなっている。その条例をAブロックを消して、現市立野洲病院の場所とする内容に改正予定としている。

 なぜ、体育館敷地にしないのかも不可解であるが、いずれにしても、改正の理由として今年4月28日付けの住民監査請求結果の「なお書き文」をあげている。この「なお書き文」にはいくつかの問題があることは、結果が出たときに書いたので詳しくは繰り返しませんが、市長の財務会計上の行為に対する監査結果としては、棄却という結論を下した後の法的効力のない付けたし。

 そのうえ、条例の経緯についての認識と解釈も妥当とは言えない。したがって、現在この点が裁判で争われている。そのような、監査委員の感想文ともいうべき「なお書き文」を根拠にして条例改正を予定することは理解に苦しむ。あえて改正するのであれば、先述のとおり、総合体育館敷地にすべき。

 

患者、職員、医療行為の安全確保責務を放棄することを市が宣言!

 そこで、この条例改正の問題点を改めて整理します。

 条例上は、耐震強度が不足し、老朽化が甚だしく、医療基準も満たさず危険な現市立病院を、新病院整備の約束もなく最終的な市立病院として決定してしまうことになる。これでは、市が、患者と職員、そしてそこでの医療行為の安全確保の責務を放棄することを宣言したことになる。

 体育館病院方針が示されたが、市長は体育館病院は「現時点で」最良の方策としか言っていない。「四転五転」をも辞さないと言い切る市長に信頼性はなく、結果的には、市立病院と体育館病院とのつながりはなくなり、市立病院の新病院化の展望は消える。

 そもそも、このような危険な病院で展望もない条件においての医療行為が制度上認められるのか?万が一、認められたとしても、安全確保と人権擁護の両面で市としてはそのようなことを行うべきではない。以前も指摘したが、広い意味でのパワハラになる。

条例改正で2011年に逆戻り! 提案者が理事長から病院事業管理者に変わるだけ!

 さらに、万が一、条例改正案が可決されたなら、状況は10年ひと昔の2011年にまったく逆戻りすることになる。

 2011年4月、旧の民間野洲病院を運営していた法人が、施設と装備が耐震強度不足、老朽化甚大、医療基準を満たさないが建替えの財力がない。したがって、市民の医療を守るために、市が新用地に新病院を建て、医療機器も装備して貸与してほしいと提案してきた。この時と同じ状況に戻ります。

 もし、違いが出るとしたなら、市長に対する提案者が当時は法人の理事長であったものが、今回は、条例改正によって7月1日に新たに設置される病院事業管理者に変わることだけ。なぜか急遽、市長が現在兼務している病院事業管理者から身を引こうとしているのは、自らの責任逃れを狙っているのか?

監査結果が条例改正理由! 監査委員の説明責任重大! 特別委員会資料の庁内幹部協議は?

 いずれにしても、予定されている病院の条例改正の理由に監査結果の「なお書き文」が公式に使われているからには、監査委員の説明責任が重大になってくる。そのなかで、「病院設置条例について解釈の違いを生じさせず、理解が得られるよう努力することが必要であると考える。」という文章が、今回のような条例改正を意味していたのかあるいはもっと違った方向の「努力」を意味していたのか、そこのところを具体的に説明する責任がある。とりわけ、議会選出の監査委員の責任は重い。

 ところで、今日、市のホームページで5月9日の部長会議記録を確認しました。すると、以前想定していた、市長熟考後の結論である特別委員会資料の案件がありませんでした。副市長が指示していた、「病院整備について市長と幹部の協議の場」や特別委員会資料の協議はどこで実施されたのか?まさか、委員長協議が終わってからの16日の部長会議?もしそうであれば、議会に対するのと同じように、幹部にも協議でなく、説明だけ!

 中でも、外でも、不透明さは、相変わらずです。