「完璧な計画」の絶賛は不自然! 議会は専門家も招致して徹底審議を!

 栢木市長が「現時点で最良の方策」と胸を張り、稲垣議員はじめ「市長与党の最大会派」が「完璧な計画」だと絶賛する、市長熟考後の結論である総合体育館病院。去る5月18日の特別委員会で公表された情報だけから、なぜそこまで無邪気に絶賛できるのか?

 まだ病院の診療科目、病床数、建物の規模、設計・施工費、収支見込等々の病院像が示されていない段階で、「完璧な計画」と評価することは、冷静に見れば、あまりにも不自然。

 とはいっても、4か月余りの熟考と称した無言期間と比べれば、結論が明らかになったことで、かろうじて状況は良くなった。潜っていた魚が浮上してきて、姿が見えるようになったようなもの。そこで魚の種別や大きさなどが分かるように、市民は、結論が「最良の方策」、あるいは「完璧な計画」であるかどうかを客観的に評価・検証できる。

 ただし、本来は、市民が評価・検証を行うとともに、市民代表である市議会がそれを徹底的に行う責務を負っている。しかし、18日の特別委員会の限られた時間での議員1人当たり質問が2問という形式的な審議では、単なる帳面消し。「50 年先の野洲市を見据えた新たな病院整備の推進」という市長提案の審議としては、誰が見ても不十分。さらには、6月議会の議案議決前には専門家の意見を聴くことも不可欠。市長が評価委員会を開くつもりがないのであれば、議会独自で、評価委員会の委員など専門家を招致して意見を聴くことが期待される。

 

14,000 ㎡は病院でなく体育館敷地! 地理上の中心立地は旧来の行政発想! 

 公表された結論の問題点を改めてまとめます。

①病院像が明らかにされず、土地の情報だけ。

②土地の選定理由はBブロックと比べて良いというだけ。

③Bブロックと比べて良い点は駐車場が広いということ。病院本体の面積はBブロックと変わらないか狭い。

④土地の面積は体育館病院約14,000 ㎡、Bブロック約3,600 ㎡としているが、これは不正確。あえて言えば誤魔化し。約14,000 ㎡は体育館敷地。これを病院敷地として算定するためには、教育委員会所管の土地財産を病院事業で買い上げるか賃借する必要がある。これまでも指摘したように、なぜ教育委員会の見解が示されないのか?

⑤「軟弱地盤で、液状化の可能性」がある土地の土壌改良や地盤改良の工法や経費が正確に示されていない。現在では通常このような条件の土地には重要な公共施設を整備しない。

⑥市長は土地選定理由として市の中央であることを上げた。しかし、それは地理上の中心に近いというだけであって、人口の重心や交通動線の中心ではない。公共施設はもちろん、商業施設の場合ではなおさら、これら3つの中心のなかでの優位性を比較して判断すべき。地理上の中心立地は旧来の行政発想。

「市民的合意が得られたと判断」する手続きが明らかでない!

⑦駅からシャトルバスを出すことになっている。便数によるが、患者と職員にある程度の便宜を提供するためには、複数の車両代と年間数千万円の運行費用が必要。これは駅前であれば不要な費用。それ以上の問題は、昨日も指摘したように、市民は電車に乗るわけでもないのにわざわざ駅まで行く必要があり、不合理。駅前に市の土地を持ちながら、わざわざ市民に時間と税金を使わせて遠くの病院まで行ってもらうやり方は不合理。民の知恵ではない。社員の便宜と通勤時間削減によ効率化のために守山駅前に新たに耐規模な拠点を開発する例が身近にある。それを見習ったらどうか?

⑧「市民的合意が得られたと判断」する手続きが明らかでない。

 結論の資料には「この方策の大概について市民的合意が得られたと判断したのちには、現在未定稿のままで置かれている『基本構想・基本計画』(素案)を速やかに一部修正して成案化し、次の基本設計の段階に工程を進めていく。」と記載。しかし、客観的な手続きが明らかにされない限りは、これまで同様、市長の独断専行を予告しているだけのことになる。