報道の着目点は病院の場所が変わったこと

 昨日5月18日の病院特別委員会の概要がテレビや今朝の新聞で報道されています。それらに目を通したうえで、改めて昨日のことを整理します。

 まず、報道の着目点は病院の場所が変わったこと。見出しを見ればそのことは明らか。拾い出してみます。

 「野洲病院候補地 また変更」(読売新聞2022年5月19日)

 「野洲新病院整備問題 市長、方針転換を正式表明 駅前から総合体育館横へ 利便性強調、批判も相次ぐ」(毎日新聞2022年5月19日)

 「新病院に温水プール跡提示 野洲市長、予定地の駅前は撤回」(中日新聞2022年5月19日)

 「滋賀・野洲市が病院の建設地変更 JR駅前での整備撤回、市中央部に」(京都新聞2022年5月19日)

 「市立野洲病院の建て替え地で市長が方針転換 総合体育館脇の案」(NHK大津2022年5月18日)

 「野洲市病院問題市が新たな建設地を議会に提示」(BBCびわ湖放送2022年5月18日)

1年半に場所が3度も変わる異常さ  「市長の資質が問われる事態だ。」 市長と世評との落差

 このような報道になる理由は、栢木市長になってからの約1年半の間に病院の場所が3度も変わった。また、昨日の市長方針には実質的に場所のに関する情報しかなかったからです。本来は、先にか、少なくとも同時に出されるべき病院像がなかった。

 しかし、市長は、「議会に説明でき、大きな一歩。現時点で最良の方策だと思う」(中日新聞)と大仕事をなし終えたつもり。そして、稲垣議員、奥山議員、服部議員に代表される「市長与党の最大会派は『完璧な計画。全力で支援する』などと賛成した」(毎日新聞)と絶賛。

 なお、報道が場所の変更に着目した裏には、報道するかどうかは別にして、その異常さに対する評価がある。

 なかには、「昨年末までJR野洲駅南口のBブロックでの病院整備を公言してきた栢木進市長が、ついにちゃぶ台をひっくり返した。目まぐるしい方針転換で議論は紛糾しているが、市民は置き去りにされている。市長の資質が問われる事態だ。」(読売新聞)と、そのことに言及している紙もある。

 昨日も何人もの議員が同様の趣旨の意見を述べていました。それは、「委員からは『市を二分してきた問題なのに、議会や市民への説明が後回しだ』『時間的猶予がない状況をつくったのは市長自身で、反省すべきだ』との批判が相次いだ。」(中日新聞)と報道されている。

 このように市長及び「市長与党」の側のお手盛り評価と世間の評価には大きな落差がある。

商品の中身明らかにしないで、売買契約を迫ろうとするようなもの 

 ところで、昨日示された体育館敷地の土地情報の精度が低いため、本当にそこに病院が建つのかどうかは明らかではありません。

 30年余り前には、いろんな事情があって、当時県内で最大規模の体育館がそこに建設された。しかし、現時点で見れば、元が沼地で「軟弱地盤で、液状化の可能性も指摘されている」(中日新聞)土地に病院を建てるなどは冷静な判断ではない。通常は、グランドや駐車場など面的利用にするべき土地。

 土地の条件がこのようであるのに加えて、それ以前の問題として、何度も指摘したとおり、この場所での病院の姿や機能が明らかでない。しかし、それが明らかになる前の6月議会で、市長はこの場所を前提とした補正予算や条例改正案の議会可決を迫ろうとしている。このやり方は、例えれば、商品の中身を明らかにしないで、先に売買契約を迫ろうとするようなもの。

条例改正は自信のなさの表れ? 技術的には可能レベル? なぜ駅まで行かなければならない?

 そのうえ、条例改正では、病院の場所をAブロックから体育館敷地への変更でなく、現市立病院に変更しようとしている。堂々と、昨日の資料にあった体育館敷地の「野洲市冨波甲 1294 番地他」に変更すべき。その裏には、今回の方針に対する自信のなさが表れているのではないか?

 今後具体的な検討を始めれば、現地半額建て替え公約のように、技術的には可能ではあるが、実質断念という結果になるのではないか?このことは、先に引用した「現時点で最良の方策だと思う」(中日新聞)の「現時点で」という保留にも表れている。まさに、

「二転三転って悪いことですか。会社経営なら四転五転しないとつぶれることもある」(読売新聞)という市長の経営信念がここにも頭を出してきています。

 また、もうひとつの問題として、市民の通院のために駅からシャトルバスを出すことになっている。しかし、昨日岩井議員も指摘していたように、鉄道を利用するわけでもない市内移動のために、なぜ市民はわざわざ駅まで行かなければいけないのか?ここにも、今回の方針の無理と不合理さの一つがあります。