とにかく急がなければいけない 老朽化激しい病院のためではなく

 昨日は栢木市長がBブロック病院を保留し、熟考を宣言した理由が、今後市長が病院の「結論」を示すにあたっての足かせになると書きました。とはいっても、市長がその足かせに制されてそこで踏みとどまると思っている人は、市長本人を含めて少ない。それは、これまでの実態が示しているからです。先日もある市民が、あの市長ならそれくらい平気でするだろうと、慣れっこになってしまいそうで恐ろしいと、伝えてきましたが、同感です。

 たとえば、病院現地建て替え公約やBブロック病院計画など自らの約束を破っても怯(ひる)むことなくここまで邁進してきている。公約違反はもちろん、Bブロック病院の場合などでは、議会と市民に公然と表明したうえに、個別に出向いて、医師会や市立病院の職員に約束を表明した。それを裏切ってもまったく悪びれない。ということで、今回も強行が十分予想される。もちろんそうなった場合は、議案可決の見込みがないとか市の二分の回避などといった1月の熟考宣言の理由は、その場しのぎであったことが明らかになる。市長の嘘の実績が増え、一層の信用失墜になるが、そんなことにはかまっている余裕はない。とにかく急がなければいけない。その理由は、老朽化が激しい市立病院のためではなく、別の目的のため。そのことは、いずれ明らかになります。

病院職員は市長の説明に何を期待したか?

 そこで、今後のことを今ある情報から予想してみます。ちょうど、投げられたボールが放物線を描いて、およそどのあたりに落ちるかが予測される程度の大まかなものですが。

 まずは、5月18日に開催想定の市議会特別委員会で、市長の熟考後の病院の結論が示される。その結論には病院の新しい場所が明示されているはず。むしろ、市民や医師会の関心の中心はむしろその場所の方。言うまでもなく、このような結論の出し方自体が、公共政策の策定手続きとして極めて異常。そして、それを大人しく待ち受けて委員会を開く市議会も異常。しかし、それが現実だから当面市民としてはどうしようもない。

 このような結論の策定手続は新年度が始まってからのもの。昨年度末までは、前副市長も病院事業の幹部職員も市長の熟考に加わっていなかったことが明らかになっているからです。まさに、稲垣議員の「内閣」を変えろという要求通りの展開。そしてこの「内閣」で指導的な立場にあるのは、組織上から見れば、佐野副市長。そしてこのことは、4月18日の部長会議での副市長の積極的な発言からも分かる。なお、この会議録の冒頭で市長が、「11 日(月)、市立野洲病院の職員から現況について説明してほしいという要請があったので、説明に伺った。色々なお話をさせていただいた中で、皆さんから概ね期待しているという意見をいただいた。」と発言。病院の職員は市長の説明に何を期待したか?

病院事業が「後継施設」事業と同じ轍を踏まないことを!

 ところで、余談になりますが、市広報紙の5月1日号の最初のページに佐野副市長の紹介記事が大きく載っています。直前の職が、滋賀県の新文化館開設準備室長(兼 琵琶湖文化館長)となっている。三日月知事が表明した時からその実現性を心配し、最近も動きが見えないことをブログで紹介した、琵琶湖文化館の「後継施設」事業の責任者であったことになる。責任者の途中での移動ということは、「後継施設」事業の進展が見えないこともこれで納得できます。奇遇なのか知事の配慮なのか?野洲市の病院事業が「後継施設」事業と同じ轍(わだち)を踏まないことを願わずにはいられません。

駅前病院とは性格がまったく異なる 「神の手」病院か療養型病院の選択

 話が道草になりましたが、本題に戻ります。

 つぎは、特別委員会で示される結論の予想です。

 まず場所は郊外で、端的に言えば総合体育館敷地。後でも触れるように、6月議会に病院設置条例の改正議案を出すためには、地番まで入れた具体的な場所を示す必要がある。そうなると、これから買収する民地とはいかないので、ここしかない。1年前に候補地としてあげながら自ら落とした場所を選ぶことになるが、市長はそんなことには頓着しない。

 ここに病院を建てることの問題点は、元は沼地で地盤が軟弱なことなど、何度も触れたので繰り返しません。

 ただ、これまで取上げなかった1点にだけ触れます。それは、多くの無理をおかしてでも、万一ここに病院を建てることが議決されることになった場合、その病院は現野洲病院を前提にしてこれまで計画されてきた病院とは性格・機能がまったく異なるものにならざるを得ないということ。

 現病院は、まち中、すなわち市の人口の重心近くにあり、駅にも近く、多くの市民が行きやすい病院。近隣市からの利用もある。そして、市民が日常必要とする複数の診療科を備えて、急性期も含め中核医療を担っている。

 しかし、体育館敷地はそうではない。そこで病院を成り立たせるための選択肢は2つ。ひとつは、不便でも患者が集まるような魅力ある診療科を設け有名な医師、いわゆる「神の手」を確保すること。もうひとつは、療養型病院。病状が慢性期になり、治療よりも長期にわたる介護が必要な高齢者が、医師の管理下で看護、介護、リハビリテーションなどの医療サービスを受ける病院。手術や検査は行わないので医師をはじめ職員数は少なくて済み、確保は楽。

 人口5万人の市で「神の手」を確保した公立病院の運営は無理。そうなると残るのは、後者の療養病床を主にした病院。これは、病院とはいっても、市民が日常必要とする医療を受けるために利用する総合型の現野洲病院とは性格が違う。

 以前、稲垣議員が新病院では病床数を減らさないで199床を維持することを主張していたことを紹介しました。この推測とも符合します。

 ここまではまったくの推測でですが、万一この推測が当たっているなら、「近江温泉病院介護療養型医療施設」を超える、県内最大の療養病床を持つ病院になります。

選択肢は指定管理者制度 市民病院整備の必要性が見いだせない

 ただし、療養型病院の場合は介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などの介護福祉施設との連携が必要になる。むしろ、介護福祉施設とのグループ経営が有利。しかし、市立病院の場合はそうはいかないので、次の選択肢は、病院整備後の民間への売却か指定管理者制度での運営。このなかで、売却は敷地が体育館と一体で無理なので、指定管理者制度になる。この場合は、市が委託料を民間に支払って運営を委託する。

 しかし、冷静に考えれば、野洲市が市税を繰り入れてまでして、このような病院を整備する必要性が見いだせない。また、市立野洲病院の職員はこのような推測が成り立つことも想定したうえで期待を示したのか?

急ぐのは駅前市有地売却の条件整備 ドラマの山場は6月議会の公明党2議員の動向

 このように推測をを展開してくると、見えてくることがあります。それは、市長が病院を急いでいる理由は、老朽化が激しい市立病院のためではない。とにかく新病院の仮の姿をなんとか示したうえで、病院事業設置条例の改正を実現し、奥山議員や稲垣議員などが要求する駅前市有地売却の条件整備を急ぐこと。

 ところで、先日、議会や報道機関に公表されている今年度の人事異動内示を眺めていて気が付いたことがあります。病院人事で副院長が新任で1人増えている。それも、会計年度任用職員という異例な形。どういう経緯でどこからの採用か分かりませんが、相当な経費増になる。

 その氏名をネット検索すると、同名の人が滋賀医科大学教授としてあがってきました。もちろん、この人が副院長に就任したかどうかは確認できていません。ネットで病院の外来診療担当医表を確認すると、内科で月曜日にだけ名前があがっている。この副院長の増員が先の推測と関係するのかどうかもまったく分かりませんが、いすれにしても、ここに来て、先を見越していろんな手が打たれてるのかもしれません。

 推測ついでにもう一歩進めます。5月18日の特別委員会では結論が示されて議員の意見交換が行われる程度で終わる。態度保留もありです。問題は、6月議会。市長は先に述べた条例改正議案と何らかの補正予算案を提案する。その賛否がどうなるかです。

 詰まるところは、昨日紹介したように、3月10日の駅前Bブロック病院整備の要望書に名前を連ねた10市議が郊外案に反対するのか、それとも3月25日議会閉会日の同趣旨の決議に賛成しなかった公明党の2議員が抜けて賛成に回り、市長提案議案が可決されるかです。

 またまた、実りのないドラマの山場を迎えるようです。