溢れるパワハラ疑惑報道から深刻な問題が見える 組織が終末期症状 人命にもかかわる恐れで即刻治療必要 新副市長の就任に期待

 楽しみにしていた木蓮が咲き出しました。

 ところで、今朝は野洲市長のパワハラ疑惑関連の話題で紙面やネットが溢れかえっています。県外の地方紙まで配信記事が掲載されている。市民として、読んでいてあまり良い気分がしません。

 公開性は大事だが、市の情報面での危機管理ができていない。秘密・密室主義を貫いてきた栢木市政にとってはまことに皮肉なこと。これで肝心の急を要する新病院整備がおろそかになってはいけない。

 これらの報道を読み合わせてみるだけでも、多くの根深い深刻な問題が見えてきます。組織論から見れば、終末期症状を示していて、即刻の治療対応が必要。極論すれば人命にもかかわる恐れも。新副市長の就任が待たれます。

事案申告後の処理が最悪! 総務部長の説明に疑問残るが、根柢に潜在的なパワハラ恐怖感

 まずは、2人の幹部職員が、3月9日に市のコンプライアンスの責任者である総務部長にパワハラ事案を口頭申告してからの対応と処理が最悪。これも、栢木市長への忖度ゆえか、それとも部長の怠慢か、いずれにしても最悪。報道では次のようになっています。

 「2人は同日、総務部長や人事課長にパワハラ事案だとして口頭で申告。15日には文書で調査を求めた。しかし、総務部が職員への事実確認を打ち切り、市長にも報告や確認をしていないとして、公益通報者保護法に基づき、一部報道機関へ通報したという。」(朝日新聞2022年3月29日)

 「市は栢木市長に二十八日朝まで経緯の聞き取りをしていない。遅れた理由について川端美香総務部長は『当事者が人事権のある市長で、取り扱いに戸惑い、内部での検討が必要だった』と説明した。
 訴えた2人によると、18日に調査の進ちょく状況を尋ねると、総務部から『担当者では事実確認できないため、途中で打ち切っている』と説明を受けた。市長に報告も事実確認もせず、証拠隠滅の恐れがあると感じたという。総務部は『調査を打ち切ったとは言っていない』とし、主張が食い違っている。」(中日新聞2022年2月29日)
 これらの記事からだけでも、単純に様々な疑問が起こります。もし、次の疑問が成立しないほどの状況になっているとしたら、事態は想像を絶するほど硬直化していることになる。あるいは、根柢には潜在的なパワハラへの恐怖感。罵声とともにいつ鉛筆かペンがいつ飛んでくるかもしれない市長室には、怖くて報告や協議では、入れない。

①口頭申告があったことを副市長にも報告していなかったのか?

②口頭申告した2人のうちの1人は総務部長経験者。現総務部長が動かないのであれば、なぜ、自ら直接副市長に報告しなかったか?さらには、直接、市長に抗議しなかったか?

 

この悠長さは通じない! 自慢の「民」の知はどこへ? 監査委員・公平委員会の活用も

 別の記事を引用します。

 パワハラ事案への対応制度について、「川端部長は規定がないことについて『他の自治体の情報収集や内部の協議に時間がかかり、作成が遅れていた』と釈明。」(読売新聞2022年3月29日)

 「川端部長は『遅くとも6月までには規定を整備し第三者委に調査を委ねたい』と話した。」(読売新聞)

 このコメントも苦しい言い訳。過去にもパワハラ事案があり、処理実績が積まれている。それを元に2年弱前から制度化の作業が進んでいたはず。

 それに加えて、この期に及んでも「遅くとも6月までには規定を整備」というのでは、栢木市長自慢の「民」の知はどこへ行ったかと言われる。「民」でなくとも、この悠長さは通じない。ここでも「熟考」が3か月続く野洲市方式?

 市長本人も含め、本気で究明し、解決する気があるなら、他の制度を活用できる。

 例えば、監査委員。地方自治法第199条第6項に「監査委員は、当該普通地方公共団体の長から当該普通地方公共団体の事務の執行に関し監査の要求があつたときは、その要求に係る事項について監査をしなければならない。」の定めがあり、活用に向けた検討の余地がある。

 また、公平委員会。地方公務員法第8条第2項に「公平委員会は、次に掲げる事務を処理する。」とあり、それを受けた第3号に「前二号に掲げるものを除くほか、職員の苦情を処理すること。」と規定されている。これも、活用に向けた検討の余地がある。

 いずれも法定の機関であり、任意の第三者委員会より格段に権威と権限がある。

「体育館裏がいい』と主張した

 3月9日の叱責以前の昨年の事件が詳しく報道されています。

 「栢木市長が自席に鉛筆を投げて激高したとされる2021年5月18日の会議で、市長は「病院がつぶれてもいい」と口にしたという。」(毎日新聞2022年3月29日)

 「会議には担当職員や副市長ら7人が参加していたといい、幹部は『病院整備のために職員は月100時間残業している。なんてことを言うのかと思った』と憤った。」(毎日新聞)

 「21年3月に公約だった病院の現地建て替えを断念。総合体育館裏の駐車場など、新たな3候補地を挙げた。5月28日の市議会特別委員会では、Aブロックに隣接するBブロックでの整備方針を表明し、「公約違反だ」と波紋を呼んだ。 

 幹部によると、栢木市長は5月18日の会議で、Bブロックを推す職員らに激高し、『違う方法を考えてくれ。AブロックもBブロックも駄目。Bブロックより体育館裏がいい』と主張したという。市長は20日に『俺も必死やねん。声を荒らげたことは申し訳ない』などと謝罪した。」(毎日新聞)

栢木候補が「体育館裏」を公約に掲げていたら、市長本人・職員・市民を不幸にしなかった

 まず、ここでもいくつか疑問があります。

①栢木市長は就任直後にAブロック病院の設計事業を止めたので、その後は事務事業はないはず。2021年1月から3月までの現地病院半額建替え検討とその後のおざなりな3候補地選定の作業量も多くないはず。5月18日の時点で、「病院整備のために職員は月100時間残業している。」とはいつのことを言っているのか?

②5月18日の会議には「副市長ら7人が参加していた」のに、その時の出来事がなぜ今ごろパワハラ事案になるのか?

③もし、5月18日の会議での出来事がパワハラ事案として成立するなら、市長はもとより副市長の責任も重いのではないか?

 まだまだ疑問は尽きませんが、この辺りにして、まとめます。

 この記事を読むと、もちろんパワハラは許されませんが、市長が「必死の」思いで激昂するのは当然と思える。そして、元々、栢木市長の公約が悪かったことが原因でパワハラ事案が起こったということになります。

 そもそも、現地病院半額建替えでなく、新病院は「体育館裏」という選挙公約を掲げて栢木候補は選挙に臨むべきであった。そうしなかったことが、市長本人はもとより、職員、そして何よりも市民を不幸にした。

 ここまで明らかになれば、いまだ往生していない「体育館裏」を栢木市長は今後をどうするのか?なお、奇しくも1年前のブログの標題は「野洲市長『総合体育館の駐車場に決まっているような記載がされていたが、そのようなことは全くない。』」という。直前の毎日新聞報道を否定する市長コメントの引用でした。

 しかし、まずは、監査委員や公平委員会といった既存制度を活用してでも、一刻も早く自らのパワハラ疑惑事案の処理と対応に全力を上げるべき。市役所内は、本当に命にかかわる恐れがあるほどの深刻な状態。