このような首長を選んだら住民は不幸だ!

 ずいぶん以前のことになりますが、当時親しくしていた県外の経験豊かな首長が、滋賀県知事選が終わった後、このような知事(首長)を選んだら県民は不幸だと語ったことがあります。その時は、同意するでもなく、深くも考えず、そんなものかなと思って済ませました。この人は、議員と首長合わせて11期を務めすでに引退しています。この時の予言が当たったかどうかは、今日の話題ではないのでこれ以上触れません。今この元首長の言葉を思い出したのは、この言葉は少なくとも今の野洲市に当てはまるのではないかと思い至ったからです。

パワハラ疑惑は市のブランドイメージの棄損 早急な究明と透明で公正な対処必要

 昨日報道された市長のパワハラ疑惑は、その虚実は別にして、市民と市職員にとっては、明るくも、名誉ある話題でも決してない。また、市長と市のブランドイメージの棄損になる。ひいては市長自慢のふるさと納税にもマイナスに働く恐れもある。

 この問題については、本来であれば、9日の通報後、内部で放置しないで報道される前に適正に対処すべきであった。見方を変えれば、放置されていたので、より被害の大きい形での公表となった。

 ともかく、このように報道という形で公表されたのであれば、早急に究明して、透明で公正な対処が必要。これは、当然市長の責任であるとともに、きっかけとなった事件が議場であったので、その責任者である議長の積極的な関与も必要。

行財政改革プラン未策定のなかでの手数料等値上げ条例案の可決に驚き

 ところで、今日書こうとしたことは、先の市議会の課題のなかで病院整備問題と並べてあげた行財政改革、とくに手数料等の値上げのことです。昨年度前半の段階では、行財政改革のプランを年度内に策定。プラン策定の手続きとして、市民意見を直接聴く市民説明会を開催する。その後、そのプランに基づき改革を進める。使用料・手数料の値上げもそのなかで実施されるというスケジュールでした。これは、真っ当な手続き。

 ところが、現実は、行財政改革のプランの策定が年度内に完了しなかったにもかかわらず、使用料・手数料の値上げ条例案が議会に提案され、市民説明会もなく可決された。手数料等を多くの分野で5割も値上げするという市民負担増を内容とする重要な議案が、よくもこのように乱暴な手続きで可決されたという驚きが市民の一般的な感想です。市民に限らず、行政関係者に聞いても、異例なことと驚いている人たちもいました。その理由は、同時に可決されたこども医療費の無償化の拡充とは整合性が取れないことや分野によってはシステム改修のコストに増収分が見合わず、値上げの合理性がないことなど。言い換えれば、「民」の感覚でなく、政治的な見せかけが含まれている。

県からの派遣職員と市長の顔を立てた結果?

 なぜ、相当無理をしたこの議案が可決され得たのか?議会での条例案の裁決に当たっての賛成、反対の討論は当日25日に紹介したので繰り返しません。市民感覚からは、反対意見を述べた橋議員の論理は理解できるが、石川議員、服部議員、東郷議員の賛成の論旨には無理がありました。

 そこで、手持ちの情報をもとにその理由を推測してみます。この行財政改革の業務は、昨年4月に県から市の次長として派遣された職員が責任者として取り仕切っていた。市長が三日月知事に依頼してわざわざ派遣してもらった、といっても費用はすべて市負担ですが、その職員の成果を実現するために、本人はもちろん、誰かが必死で頑張ったというところ。平たく言えば、その職員と市長の顔を立てた。そのため、内容と手続きの問題よりはその含みに協力した議員もいたのではないか?仮に、値上げ内容に賛成であったとしても、手続きの欠陥を容認することは、民主主義と議会の役割を無視したことになる。

自治を放棄して県庁の支所に 議会の関与する余地はなくなる

 以上のことは、断言でなく推測の域を出ませんが、このようにでも考えなければ説明がつかない。もしこのことが当たっているならば、将来の市民負担増という重要なことを、県から派遣された職員の成果のために市長は強行し、議員の過半数は協力したことになる。

 4月からは新副市長が県から派遣されてきます。川口副市長ももとは県職員でしたが退職後10年経っていたし、少なくとも5年以上前から栢木市長の協力者であり盟友であった。次の副市長とは、信条や方針のすり合わせはこれまでになく、新年度がはじまってから行うと、先の議会で市長は答弁していた。ということは、県にお任せの人事。

 これでは、市の現状と課題を踏まえた市政運営でなく、一段と県主導、言い換えれば県の顔を立てる市政運営が進みます。当然、パワハラ状況と相乗して、職員の士気もさらに低下する。極論すれば、自治を放棄して県庁の支所になってしまいます。そうなれば、議会の関与する余地は実質的になくなる。今回の行財政改革プランが未策定であるなかでの使用料・手数料値上げ条例案の可決はすでにそのことを示しているのではないかと思います。