市長選からの盟友である副市長の退任は危機 市長自ら半身を失うようなもの

 川口副市長が今年度末で退職することが、今日の朝刊の記事で報じられています。4年の任期を半分以上残しての退職なので、本人はもちろん、読んでいて心地良い内容ではない。

 ただし、昨日紹介したような内部の幹部会議の状況や記事にも紹介されている議会答弁からは自ずと導かれる帰結。むしろ良く持ちこたえたというべき。もちろん、厳しい言い方にはなりますが、その持ちこたえたことが市にとって良かったかどうかは評価が分かれます。

 副市長の突然の退職の理由については、市長も副市長も具体的に述べていないので外からは分からない。しかし、「2020年10月の市長選で、JR野洲駅前での新病院整備に反対する栢木市長を支援し」(毎日新聞2022年3月18日)と報道されるほどの盟友、いや実のところは、その4年前の市長選の時からの協力者であった副市長の突然の退任は危機ともいうべき異常な事態。普通に見れば、市長自ら半身を失うようなもの。

Bブロック病院推進をめぐる不和や確執が原因との見方 三転四転のドラマの結末

 退職の理由の実のところはわかりませんが、報道では関係者のコメント等から推測しています。「市民病院整備計画を中断している栢木進市長との不和が背景にあるとみられる。」(読売新聞2022年3月18日)や「新病院整備問題を巡って栢木進市長(65)との間に確執があったとみられる。」(毎日新聞2022年3月18日)など見方はほぼ共通している。要するに市長と副市長間の不和や確執が原因との見方。

 記事はもう少し具体的に踏み込んでいて、共通するところは次のとおり。副市長は職員とともにBブロック病院推進であったが、市長の熟考方針についていけなくなったという構図。

 ところで、Bブロック病院方針は元々市長が「熟考」のうえ判断して昨年5月に出した方針だった。その方針に従って副市長は職員とともに半年間余り、1千万円強のお金を使って関係者の協力を得ながら計画策定事業を進めてきた。それを年明けになって市長が突然、「建設場所を含め『熟考の上、判断したい』と結論を先送りする考えを示」(中日新聞2022年1月15日)した。そのうえ、その熟考が2か月以上経っても結果が出ないどころか、その熟考に腹心でありながら協力も参画もさせてもらえない。この理不尽さに堪忍袋の緒が切れるのも当然だし、それは健全な反応。とは言っても、堪忍袋の緒を切らせば、立場は対等でないため、今回のように不利で、無念な結末しか迎えられない。

 今回の出来事は、病院現地半額建て替え公約から始まった、成果の出ない、三転四転のドラマのまさにドラマチックな結末。

担当職員は副市長以上に厳しい立場 実態はパワーハラスメント

 このように副市長の立場は厳しい。しかし、副市長は市長の盟友として当初は病院現地半額建て替えは可能と公言していたし、政治職である特別職公務員だから納得できるかもしれない。

 ところが、そうはいかないのは職員。副市長と同じか、それ以上に厳しい立場に置かれている。職員は、堪忍袋の緒を切らせて退職というわけにはいかない。今議会、病院担当部長は議員の質問に答えて、市長が熟考に入って以降仕事が止まって、やることがないと答弁していた。2か月以上仕事がないということは、いわゆる窓際に干されている状態。これだけでも心的ストレスは高いのに、副市長のところで述べた半年間余り精魂込めた結果の成果が無にされることは、筆舌に尽くしがたく無念で耐えがたいこと。加えて1千万円強の市民の税金が無駄になることも公務員としての良心が咎めるはず。市長得意の民間でなくてもこのような無駄は起こさない。

 栢木市長はこれまで何度かいろんな機会に組織の風通しが良くなったと公言してきた。しかし、今回明らかになったことは、それとは全く逆。むしろ、それらの発言は実態を覆い隠すための発言であった節がある。

 今回の副市長の突然の退職で明らかになった実態は、組織内における見方を変えれば、パワーハラスメント。これまでも市長のやり方がパワーハラスメントにあたるのではないかと何度か書いてきました。今回の事態はそれが悲惨な結果として現れた。

 特別職であり市長の盟友である副市長は別として、職員はいくら大人で経験ある公務員だとしても心の傷は簡単には癒えないため、配慮が必要。

このドラマを終わりにしてはどうか? 三日月知事はパワハラを回避すべき

 そこで最後に2つ。

 ひとつは、このような生産的でないドラマはもう十分。この悲しい結末をもってこのドラマを終わりにしてはどうかということ。

 もうひとつは、予想していたとおり、栢木市長が「後任は県から招くべく調整中」(読売新聞2022年3月18日)と発言したと報道されている。栢木市長が滋賀県の角野理事とはもちろん、三日月知事とも親しい関係であることは周知の事実。したがって、三日月知事は協力すると予想される。しかし、県職員がこの実態を知るなら、仮に昇任になるとしても通常は手をあげて応募はしない。それを通常の人事異動の手続きで派遣するなら、パワーハラスメントのドラマの渦中に派遣することになり、知事自らがパワーハラスメントを行うことになる。まして、派遣は、形式的とはいえ、退職手続きを取っての特別職への就任。加えて、ここでも市長得意の民の力に反するやり方。

 邪魔する気はありませんが、さらなる被害者を出さないように三日月知事には慎重な対応が求められます。