看板に偽りありで、羊頭狗肉 どこにも「整備の最新情報」はない

 市議会が委員会審議に移ってからは市民も傍聴に行っていないようで、10市議が駅前Bブロック病院整備の要望書を市長に提出したとの新聞報道以降動きが見えなくなりました。要望書の提出が3月10日で報道が翌11日、1週間が経ちます。

 そこで、議会日程を改めて確認しようと市ホームページを開くと、一番目につくところに、「市民病院整備の概要について」というのがあったので、そこをクリック。すると同じ標題で「市民病院整備の最新情報についてお知らせします」で始まる、長い長い記事に繋がりました。

 もちろんすべてを読む気も起らないし、その時間もない。結論から言えば、看板に偽りありで、羊頭狗肉。なぜなら、どこにも「整備の最新情報」など書かれていないからです。

 

最新でもないし情報価値もない 客観的に見れば病院整備が止まったことを表す記事

 記事の最初の項目は、例の1,000万円余りをかけたBブロック病院の基本構想・基本計画書(案)。ただし、「なお、この計画等は、業務委託での成果物でありますが、現時点において整備計画が確定したものではありませんのでご留意願います。」と大きな赤い文字で注記が付いている。

 これを公表することの意味がどこにあるのか?市民はこれを見てどうすればよいのか?

 この記事には、「令和4年3月8日NEW」と付記されていて、市長としては最新情報のつもりのようであるが、本当に最新のものであるなら、整備計画を確定する手続きやその見通しも示さない限り、最新でもないし情報価値もない。ましてや、「熟考中」の文言さえもない。これでは、生きた蝉を探している人にその抜け殻を与えるようなもの。

 このような最新性のなさに反し、この長い記事は、今さらというべき、平成23年4月の野洲病院が市に『新病院基本構想2010』を提案したことから説き起こしてある。このことの狙いはわからないが、ひとつには自分の熟考期間は過去の期間に比べれば短いと言いたいのかもしれない。しかし、そうはいかない。それらの期間においては、常に公開の組織的な検討と政策決定が積み重ねられていた。加えて、その検討や決定を栢木市長たちが議員として6回の議案否決などで妨げてきた。逆に、今回の記事では、栢木市長になってからの三転四点の経緯や現地建替え会検討の秘密会議の記録は公開されていない。

 いすれにしても、見方によれば、記事はこれまでの市の病院整備にとどめを刺す意図があるのかとも見える。いや意図があるかどうかに関係なく、客観的に見れば新病院整備事業が止まったことを表す記事。

部長会議のBブロック病院は芝居のシナリオもどき これも病院が止まったことの表れ

 ところで、次に目についた、「部長会議結果の公表」を開いてみました。3月3日に会議録。こちらでもBブロック病院の基本構想・基本計画書(案)の公表が主な議題。

 会議では、担当部長が案の公表のことを説明した後、「なお、基本構想・基本計画(案)等は、業務委託での成果物であり、確定したものではないことを申し添える。Bブロックで整備可能とした内容であるが、市長の熟考で事業が止まっている状況である。」と付言。

 これを受けて、意見が交わされているが、これには驚きます。ホームページで公開されている文書は「部長会議要録」となっているが、「要録」どころではない。少なくとも7人の部長が、口々にBブロックでの病院整備を主張し、それがわざわざ記録されている。芝居か映画のシナリオ(台本)もどき。

 これに対して、市長が、「今日は、基本構想・基本計画(案)ができ、この公表についてが議題だと思っていたが、・・・」と戸惑っている。ここは、市長の言うのが当然で、部長たちの意見は議題とはずれている。

 しかし、シナリオはまだ終わらないで、先の7人の内かまた別の部長か不明だが、2人がそれぞれ市長に対して熟考のスケジュールとその内容の共有について詰め寄っている。この詰問に市長がまともに答えないので、次に矛先が変わって「副市長のお考えを聞かせていただきたい。」となっている。そこで、副市長の答えは、「市長と幹部が話をする場を早急につくって、議論し組織として同じ方向に向いていくということが必要であると思う。」というもの。

 引用が長くなりました。ただし、これでも実際の何分の一。これが病院のことでなければ、夫婦喧嘩か家族内の揉め事として市民は済ませる。しかしそうはいかない。かといって、ここに記録されている議論とも言えない台詞(セリフ)は生産的でないし、読んでいて快くない。要するに、上記の病院整備の最新情報のところで言ったように、新病院整備事業が止まったことを表している。

Bブロック要望書は市長でなく市部長たちへの支援? 副市長が辞任? 船はどこに向かう?

 ところで、この「部長会議要録」を読んでいて気づいたことが2つ。

 ひとつは、この会議に参加している部長級職員は議会事務局長を入れて11人。そのうちの少なくとも7人が異口同音にBブロック病院の推進を主張している。そして、その内容が先の本会議での橋議員などの質問でのBブロック病院妥協の主張と重なっているのではないか?詳細に引用しませんが、一例をあげれば、「現病院は耐震に課題がある中で、早期建設が至上命題である。駐車場にかかる課題については対応可能な範囲で一定カバーできるのではないか。」など酷似。ここから類推されることは、3月10日の10市議の駅前Bブロック病院整備の要望書は市長への支援というより、市の部長たちへの支援ではないかということ。

 もうひとつは、副市長の発言。市長と幹部が議論し同じ方向に向いていくことが「必要であると思う。」と評論家的な発言になっている。以前に同じような状況があった時は、副市長自らがその場を設定すると発言していた記憶がある。これでは大きく後退しているし、過去の約束が実現していないことが明らか。これでは副市長の立場がないし、役割が果たせていないと思っていたところ、今日午後に副市長が辞任することが議員に伝えられたとの情報が入ってきました。

 船はどこに向かっているのか、ますます心配は増します。