住民監査請求が半月経つのにまだ受理されない!

 住民監査請求を行って半月経つのにまだ受理されないという話を昨日市民から聞いて驚きました。監査請求の内容は、新市民病院の場所が「野洲市病院事業の設置等に関する条例」で駅前Aブロックに定められているのに、市長が最終段階にあった実施設計業務等を途中解約し、約4,256万円を支払ったことについて。市長の行為は条例に違反し違法であるので、それによって生じた損害を市長に対して請求することを求める内容とのこと。

 これはすでに昨年5月に住民監査請求が起こされ、現在住民訴訟になっているのと同じ内容ですが、今議会でも条例改正がなされず、病院のめども立っていない。請求期限内に改めて請求を行ったとのこと。

 

受理が遅れている理由は議会開会中であるから?

 話では、今回の住民監査請求は市民4人が代理人に弁護士を立てて行った。ただし、請求書の提出は、そのうちの一人が市役所にある監査員事務局に直接持参した。それは3月2日の午前とのこと。通常であれば、提出書類の確認などを行って1週間程度で受理される。前回の昨年5月の場合は、5月7日提出で5月14日に受理。専門家である代理人の弁護士が作成した書類の「請求書要件審査」になぜそれほど時間がかかるのか分からない。

 あまりにも遅いので、代理人の弁護士が監査委員事務局に確認したところ、受理が遅れている理由は議会開会中であるからとのことであったそうです。これはまったく理由にならない。言うまでもなく監査委員は地方自治法に定められた独立の機関。そして、事務局長はじめ専任の職員が配置されている。議会開会中だからといって、請求の要件が整っているかどうかの事務的な確認作業が滞るはずはない。

議員からの選任監査委員は廃止可能

 ところで、監査委員は法では、専門性を有する「識見を有する者」と議員の中から、市長が議会の同意を得て任命することになっています。(法第196条)野洲市の場合は、2名なので専門家1人と議員1名で構成。ただし、議員からの選任については、平成 29年の地方自治法の改正において「ただし、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができる。」の条文が追加された。これは、監査委員が議員の中の名誉職的な位置づけになっている実態を改め、監査の専門性を高めるための改正。野洲市でも法改正直後、市内部で検討されたが、議会の自発的な動きがなければ実現しない。県内では大津市や長浜市では、条例改正案を行い、議員からの選任をすでに廃止している。

受理遅れの理由が事務局の回答どおりなら、結果的に議会の責任は重い

 議員から選任の監査委員をどうするかはそれぞれ議論があって良いが、議員選任の監査委員がいるからといって、監査請求の受理が遅らされることはあってはならない。いずれにしても、提出された請求の「請求書要件審査」は事務的な業務であるので、原則として監査委員がかかわるまでのことではない。ただし、請求が出されれば、監査委員と市長には即刻その情報が伝えられるのが通例なので、監査委員は事務が止まっていることは認識しているはず。聞いたところでは、書類の不備等による「補正」の指示等も出ていないようなので、この遅れは異例な事態。もし、監査委員事務局が回答したとおり、受理が遅れている理由が議会開会中ということが本当なら、結果的に議会の責任は重いことになる。