改革は駅前病院止め、土地売却の財源確保が目的のひとつ Bブロックで妥協すればよいという段階を超えている

 一昨日、今議会の柱となる課題は大きく見れば、病院、行財政改革、子育て支援、基盤整備の4つだと書き出し、病院だけで止まっていました。残る3つについて、簡潔に触れていきます。いずれも今の市の課題であるので、病院を含めそれぞれが繋がっています。

 まず行財政改革について。思いつくままに箇条書きで問題点などをあげます。

その前に一言。今回の行財政改革の基本にある考え方(ポリシー)からは、後で述べる子育て支援策の後退と同様、病院整備どころか現市立病院を堅持する度量が見えない。Bブロックで妥協すればよいなどという段階を超えている。

①財政が厳しいから行財政改革を実施すると言っているが、実のところは、駅前病院を止めてその市有地売却のための財源確保が主な目的のひとつ。国の交付金と交付税を使えば総事業費の約1/4の市民負担で土地・設計・建物の費用が賄えて病院が整備できたのに、これを止めるために一気に十数億円のキャッシュを用意しなければならない。

②公共事業を貯金(基金)を貯めてから実施する方針に転換したため、貯めるお金が必要になった。しかし、これは裏返せば税金の貰いすぎになる。本来は起債(借金)をして将来施設等を利用する世代と均等に負担すべきもの。

都市計画税で増収なのに手数料等値上げで市民負担増の逆行 都市計画税はどこに消える?

③なぜ、この時期に5割もの値上げが必要なのかが不明。議会答弁では、市民に財政難を実感してもらうための教育目的のような説明をしていた。これは本末転倒だが、新病院中止を市民に納得してもらう教育効果はある。

④都市計画税等で収入が増えるのにもかかわらず手数料等の値上げで市民負担を増やすという逆行。市民は両方で負担増になる。

 市長公約に反して都市計画税を4月から課税する。これによって、約3億5千万円の増収になり、これを基盤整備の財源にあてれば、その分、市民サービスや子育て・教育に回せる一般財源が増える。ところが、後で述べるように市民サービスや子育て支援は逆に後退。都市計画税はどこに消えるのか?

 また、市長自慢のふるさと納税。商品代や手数料が半分以上になるし、他自治体への流出分を考えるとどれだけの実収か不明であるが、いずれにしても、都市計画税に加え、この分も増収になる。

パブリックコメントはじめ進め方が粗雑で乱暴 プラン未策定で値上げだけ先行

⑤進め方が極端に粗雑で乱暴。市民の意見を聴くどころか説明会もない。さらには、議会審議も不十分。

 短期間の形だけのパブリックコメントはしたが、職員のつくった案に対するパブリックコメントは制度の趣旨に反する。本来は、市民代表や専門家で構成された審議会等で策定された案を対象にするもの。

⑥行財政改革のプランが未策定であるのに、その中の重要項目である使用料と手数料の値上げを実施するため、条例案を今議会に提案した。値上げの必要性が不明なうえに手続きがひどい。このことが令和元年から決まっていたかのように市長が言い逃れをしていることは体裁が悪い。

子育て支援の後退 野洲幼稚園と第3保育園の移転改築、北野学童の増築なしで、都市計画税はどこに消える?

 次に子育て支援。これも行財政改革及び都市計画税と絡みます。都市計画税は公園、道路、下水道などの基盤整備事業のための目的税。ただし、上に書いたように、制度化の目的は、これによって基盤整備の財源を確保し、一般財源から市民サービスや子育て・教育に回せる財源を増やすこと。制度化にあたって具体的に想定されていた当面の事業は、老朽化し送迎者用駐車場がない野洲幼稚園と野洲第3保育園の移転改築、そして北野学童保育所の増築。今議会の答弁を聞いていると、いずれも実施しない方向になている。

 また、同様に都市計画税を機に実施する予定で条例化されていた小学3年生までの医療費無償化は、都市計画税なしで実施された。このようなことであれば、都市計画税の課税に根拠がなくなる。都市計画税はどこに消えるのか?

基盤整備 雨水幹線のポンプ設備は持続可能か? 本来の都市公園整備は?

 最後に基盤整備について。これも都市計画税と絡みます。この分野が都市計画税の本来の使途。制度化にあたって具体的に想定されていた当面の事業は雨水幹線の延伸と都市公園整備、それと過去の事業の起債残への充当。

 都市計画税のきっかけの一つは野洲駅北口周辺を含む雨水対策。旧町時代は住民に危険度を知らせないで放置されていたため、平成20年代から安全確保を優先して都市計画税の制度化を待たないで下水道事業として着手した。

 なお、今議会の答弁によると、JRの横断を当初計画の自然流下方式からポンプ揚水方式に転換するようだが、詳細は不明だが設備と維持管理コストは見通されているのか?ポンプ揚水方式の場合当初設備費はもちろん、予備電源設備や電気代、またポンプ設備の更新など格段に経費がかさむ。持続可能性が低くなる。病院の免震構造を節約する方針とは相容れない。そこまでしてJRの横断が必要かも検討が必要。

 最後に、都市公園整備。野洲市では過去に実現できないような机上の公園計画が立てられ、未実施のため、都市公園の整備率が極端に悪い。都市公園は市民が自由に利用でき、健康、交流、憩など多様なニーズを満たせる公共空間として欠かせない。それを都市計画税で実現するために計画が進められていた。これについても今議会を傍聴した限りでは、動きはなさそう。都市計画税はどこに消えるのか?