市議10人連名でBブロック病院支持の要望書 「関連議案が可決される見通し」?

 「『簡単なことだ。・・・』と述べ、○○することのほかに解決策はないという見方を示しました」。

 昨日10日、市議10人の連名でBブロックでの病院整備を支持する要望書が市長に提出されたと今朝の新聞で報道されています。記事では、「市議会(18人)の半数を超える10人が署名し、議会で関連議案が可決される見通しとなった。」(毎日新聞2022年3月11日)とまで書かれている。

 そして、この記事は次の文章で締めくくられています。

 提出後、報道陣の取材に応じた東郷市議は「要望書には『Bブロック』と明記しなかったが、10人全員がBブロックでの整備を支持している。4日の代表質問でも会派の意向は伝えており、市長には通じている」と話した。」(毎日新聞2022年3月11日)

 この10人のなかには公明党の市議2人も入っている。昨夜のブログでの読みは外れました。いずれにしても、この状況からは「議会で関連議案が可決される見通しとなった。」と記者が推測するのも無理はない。

 まさに、冒頭の引用文の〇〇に「市長が議会に関連議案を提案」をはめ込めばよい状況になってきたようには見えます。

「簡単なことだ。」のコメントに驚き 被害と責任の重大さ プーチン大統領の狂気を止められるか? 

 ところで、冒頭の引用文は今日のお昼のNHKテレビのニュースで報道された、イギリス在住のロシア経済の専門家のコメント。

 ニュースでは、ロシア軍が首都キエフの中心部からおよそ15キロにまで迫っていること、病院や核関連施設など重要な社会インフラへの攻撃が続き被害が拡大していること、他方ロシアでは国際的な企業の撤退が相次いでいることなどを報道。

 そのなかで、このコメントも流された。専門家は、ソビエト連邦崩壊後の混乱した時代に戻りかねないという見方を示したうえ、ロシア経済への影響を軽減する方策は、「簡単なことだ。停戦し、軍を撤退させ、ウクライナと何らかの合意に至るだけだ」と述べたとの報道。

 ウクライナではすでに多くの命が失われ、まちが破壊され、二百数十万人が国外避難している状況で、いくら経済の問題についてとはいっても、「簡単なことだ。」というコメントに驚きました。

 しかし、現実には簡単なことではない。取り返しのつかない被害の大きさとそれに対する責任の重大さ。スポーツの試合とは違う。

 それ以上に簡単でないのは、プーチン大統領の狂気を止めること。

卵なくては鶏は生まれない 提案ない議案は可決できない! この時期の要望書の意味は?

 寄り道が長くなりました。被害の甚大さは比較になりませんが、つい野洲市の病院問題と二重写しになってきます。

 ところで、市議10人の要望書によって「議会で関連議案が可決される見通しとなった。」と簡単に言えるのか?確かに1月5日の「栢木進市長を支援する市議会最大会派の創政会」(中日新聞2022年1月6日)が出した駅前Bブロック病院断念の要望書に対しては市長は素直に応じた。しかし、今回は「栢木市長は『熟考中なので意見として伺う。早期再開について努力する』と述べるにとどめた。」(毎日新聞2022年3月11日)と報道されている。

 それ以前の問題として、今議会には関連議案が提案されていない。したがって、可決したくてもできない。卵がないのに鶏が生まれると期待するのと同じ。どこに可決の見通しがあるのか? 

 そもそも記事にある市長の返答からして、市長には関連議案を追加で提案する意思は見られない。万一その意思があっても、事務作業と議会手続き上無理。ということで、どう見ても簡単なことではない。そもそもこの時期の要望書はどのような意味を持つのか?

1年前と何も変わっていない 叶わない恋文のようなもの

 この記事を読んだり、そのことを聞いたりした市民から、Bブロック病院ができることになるのかという問い合わせがありました。それは、喜んでというより心配してのもの。

 これに対しては、要望書については記事以上の情報がないので何とも答えられませんでした。そこで、とりあえず、1年前にも同じような出来事があったことを伝えました。

 昨年3月19日、市議会4会派10⼈の議員が連名で栢木進市長に対して市民病院はじめ市政の進め方に関して要請書を提出しています。そのときの報道では、市長の回答の内容によっては新年度初予算案に反対することも視野に入れているとされていました。

 ところが、これら議員は、なぜか市長の回答を待たずに、その前に予算常任委員会で「要請書の回答が見通せないので、議員の思いの真剣さを示すために否決した」。(毎日新聞)

 このことについては、当時詳しく紹介したので簡略にしますが、その後もドタバタ対応。定例会最終日3月24日の本会議では、予算案否決も辞さないで臨んでいたはずの議員の大半が賛成に回り、予算案は可決された。その代わりに、これら議員は決議案を提案して可決した。その内容は、市長は新病院の候補地のなかに駅前市有地を入れないと明言しているが、自分たちとしては入ると思って進めていくといった、叶わない恋文のようなもの。そのことを報じる「議会だより」を添付します。

本気なら次の選択肢は予算案の否決か辞職勧告決議

 このように辿ってくると、既視感があります。1年前と何も変わっていない。そもそも議会の総意を表す本会議での決議でも拘束力はない。ましてや要望や要請は単なるお願い。

 今回の10⼈の議員が、市長が要望どおりにしなかった場合にどのような対応を考えているかわかりません。

 ここから以下は、推測というより現況を踏まえた客観的な選択肢になります。まず、本当に10⼈の議員が一体であり、病院事業の展望がなくなることに心底から危機感を持っているなら、次の選択肢の一つは、過半数でもって昨年と同様に新年度予算案の否決に打って出る。今回は病院整備予算が計上されていないので、昨年の9月や12月議会での駅前商業開発予算と違って、削る修正案というわけにはいかない。したがって、昨日書いたように、病院整備予算が計上されていない無責任な予算は断固認められないという主張をもとに予算案の否決。

 あるいは、予算案否決の影響と反響が大きいことが心配なら、上記の主張に加え新病院計画を消してしまった責任等を含めた趣旨で、市長に対する辞職勧告決議。過半数の可決では法的拘束力はない。しかし、7人会派の要望書だけでBブロック病院関連法案が可決されないことを恐れて議案提案を見送る小心な市長に対しては大きな効果が見込める。

Bブロック病院掲げて選挙で「民意」に訴えた市長も議員もいない! 「その都度最善」?

 ところで、今朝問い合わせてきた市民の疑問は、なぜBブロックなのかというもの。私にもわかりません。あえて推測すれば、市長がBブロック方針を公言し事業を進めてきたからということぐらい。

 しかし、市長の思いはすでに冷めているし、戻らない。というより、元々本気ではなかった。このことは、9日の益川議員の質問で、Bブロック方針を公言した直後に、市長が秘密で地域医療連携推進法人に加入していた事実からも分かる。さらには、昨年の新年度予算案編成段階から病院整備予算の計上が見送られており、Bブロック病院の保留は創政会の要望が理由ではないことが明らかである。また、Bブロック病院基本計画等の委託料の契約残額を市長が用途外に利用しようとしたが担当部長が拒否した事実も答弁で明らかになった。当初から市長の本気度は怪しい。

 このように見てくると議員たちがBブロックに拘っていることの理由が分かりません。要望書では「市長と議会が小異を捨て、結束して事業を進めるべきだ」(中日新聞2022年3月11日)と求めたと報道されている。「小異」とは何なのか?

 ところで、Bブロックに無理をして窮屈な病院を建てる場合、議員たちはAブロックを何に使うつもりか?医師会の提案のように病院の駐車場にか?それとも、「公募条件で住居施設の整備を除外することは現時点で考えておりませんので、民間事業者がマンションを付加的なものとして提案される可能性はゼロではないと思います。」と市長への手紙の回答にあるように、売却を前提とする市長の意向を容認するのか?

 いずれにしても、これまでBブロック病院を掲げて選挙で「民意」に訴えた市長も議員もいない。これでは、市長お得意の「その都度最善」に習ったようなもの。