熟考中の市長は夏炉冬扇だが 動じないところには、それを支える何かがあるはず

 先週4日金曜の市議会本会議での田中陽介議員の議案質疑。そのやり取りの概要は紹介しましたが、それを見ていて改めて思ったことは、市長が良く持ちこたえているなという驚き。

 選挙公約であるばかりでなく、就任後も強く公言してきた、新病院の早期整備。その見通しを自ら消してしまい、今後のことを熟考するとして口を閉ざしたまま2か月。そのうえ、来年度の政策の大要を述べる施政方針でも堂々と熟考の継続を宣言。そして、議員の質問に対しても50年先を見越し熟考中との見得(え)を切る答弁。まさに、歌舞伎での「大見得(おおみえ)切り」のよう。

 普通であれば、方向を示せず、無策の市長というものは、立場がない。例えれば、夏炉冬扇です。いるよりは、いない方がましな存在になりかねない。ところが、悪びれるどころか、動じない。そこには何か、それを支えるものがあるはずです。

部長と市長の答弁が正反対 根も葉もない市長の強がり発言?

 このことに関連してもうひとつの驚きと疑問は、病院整備担当部長と市長の答弁が正反対であったこと。本会議の答弁で市長の答弁が正反対であること自体も異常なことであり、驚きですが、それ以上に驚いたことは、ここでも市長の見得切り。

 部長は、駅前に病院を整備しないことになれば、これまで協力を得た医療関係者の理解がまったく得られないという主旨の答弁を行った。しごく常識的で、明快な回答です。ところが、市長はこの答弁を否定して、先日紹介したとおり、熟考後の政治的判断の結果を説明すれば医療関係者の理解や協力は得られるものであると、根拠を示さず、強気に答弁。これを聞いたときには、この発言は、病院現地半額建替え案やBブロック病院案と同様に根も葉もない強がりだと受取りました。ただし、なにか少し引っかかりがありました。

野村理事発言 角野理事の存在と発言 稲垣議員の地域医療連携推進法人への言及

 ところが、今日思い当たることがありました。

 ひとつは、2月19日の守山野洲医師会と市議会との懇談会で病院の立地に関し、郊外の体育館駐車場にこだわった野村理事の発言。そして、その発言を紹介した時にも触れた、滋賀県の医療行政の責任者である角野理事の存在。角野理事は、病院の評価委員会で最初は現地半額建替えを、そして現地断念後は、郊外を強く主張していた。加えて、角野理事は野洲市の病院の医師確保に県が支援する旨をこれまでに公言し、市長をバックアップ(支援)してきた。

 もうひとつは、これまた以前に異様だとして紹介した稲垣議員の発言。2月7日の病院整備の特別委員会でだったと思いますが、病院の場所は郊外の体育館駐車場を主張したうえで、病床数を165床に減らすことに反対し、199床を維持することを求めた。また、運営形態に関して、これまで想定されていなかった指定管理者制度による運営を市長が想定しているかのような発言を行った。この発言に対して、市長と事務局のいずれからも何の回答もなかった。ということは、否定しなかったということでもある。ただし、指定管理者制度はAブロック病院の基本構想(平成26年3月)段階で検討の上採用されないことになっている。そして、Bブロック病院の基本構想もこれを引き継いでいることになっています。

 そして、この同じときだったと思われますが、稲垣議員が地域医療連携推進法人のことにこれまた突然言及しました。これまで話題になったことがない地域医療連携推進法人の話が突然出てきて驚きましたが、気になりながらも、そのままになっていました。

 なお、この制度についてはとりあえず厚生労働省の説明をそのまま紹介します。「地域医療連携推進法人とは、地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、病院等に係る業務の連携を推進するための方針(医療連携推進方針)を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人を都道府県知事が認定(医療連携推進認定)する制度です。」となっています。説明資料も添付しておきます。

 今日、これらのことが、栢木市長の医療関係者の理解や協力は得られるという強気な発言と結びつきました。したがって、市長の発言は根拠のない単なる強がりではないようです。市長からすれば、連携とシフト(布陣)が敷かれつつあるという思いがあるのかもしれない。もちろん、背後で進められている、これらの動きが市民と野洲市にとって好ましいものであるかどうかは別の問題。いや、もし市民が期待するものであれば、熟考の背後ではなく、表で進められるはずだとも思われます。