田中議員の質問と市長等のやり取りで全体像が見えた

 市議会本会議での質疑・質問が今日4日から始まりました。この1年間余りの間、議会審議は結果的に市長のすり抜け抜け答弁の繰り返し。もう我慢の限界に来て、期待出来ませんでしたが、とりあえず最初のところをネット中継で傍聴しました。

 田中陽介議員の議案に対する質疑から始まりました。結論から先に書くと、図らずも、田中議員の質問と市長等のやり取りで、これから続く3日間ほどの本会議、さらには25日の閉会日までの全体像が見えてくるように思えました。

市長答弁は「状況変化による政治的判断」

 ザクっとやり取りの主旨を紹介します。

 田中議員は昨年12月議会で2か年度にわたる債務負担行為として可決された駅前Aブロック等での商業開発予算1,500万円が不執行になること。それと、早期整備が必要な新病院整備の事算が新年度予算に盛り込まれていないことなどについて市長と担当部長に質問。

 いずれも真っ当で適切な質問。本来であれば、議会で今日質問される以前に、1月17日の臨時全員協議会以降に重大な問題として取り上げられ、何らかの方向が明らかにされるべきことです。

 これらの質問に対する市長の答えは、これまでどおりのもの。要するに、年初市議会会派からBブロック病院を断念する要望書が出されそれを「重く受け止めた。」このまま進めて言っても議会が通らないので、熟考を「決断」した。これは、「状況変化による政治的判断」であるという回答。

 市長は政治職ではあるが、結果を出すことが仕事である行政の長。まして政治は結果が勝負。熟考を「決断」したことが、「政治的判断」であるとは、洒落にもならない。

Bブロック以外では早期の病院整備からは程遠く、実現性にも疑問 関係者の理解得られない

 部長たち、とりわけ病院整備担当の馬野政策監の回答は、市長のと比べて、格段に誠実で具体的でした。

 まず、赤坂政策調整部長は、今年1月11日の部長会議で市長が表明した時に、そのことによって起こる問題や懸念を各部長は市長に伝えた。したがって、市長が熟考中であるため、Bブロック病院が前提となっているAブロック等での商業開発は進められないというのが田中議員の質問に対する答弁。

 また、馬野政策監の答弁は次の通り。今回のBブロック病院はもとより、Aブロック病院計画の段階から10年間長きにわたって多くの協力を得てきた。具体的には、病院長はじめ病院スタッフ、また、医師会や滋賀医大、県立総合病院並びに県担当者などの協力のもとで進めてきた。

 市長は政治的判断で熟考しているが、駅前以外の新たな土地での計画となると、「根本から検討する必要があ」る。実質的には困難であるが、仮に可能であるとしても前の計画であるAブロックまた「今年度のBブロックの計画以上の優位性があるのか」、また「最小の経費で最大の効果を上げなければならないという地方自治法の規定に合致しているかなど、数えきれないほど多くのハードルがある。」したがって、「Bブロック以外の他の個所を選択することになれば、早期の病院整備からは程遠く、かつ実現性にも疑問がある。」さらに、これまで協力を得た関係者の理解がまったく得られない。以上のとおり、政策監の答弁は明確であり、切実感が感じられる。

 しかし、政策監が述べたこのような問題に関しても、市長は政治的判断の結果を説明すれば関係者の理解や協力は得られるものであると、根拠を示さず、強気の答弁を繰り返しました。

 このような市長の市政に対して、田中議員は、このままでは病院整備ができない。病院を潰していくつもりかと詰め寄りましたが、市長は病院は整備すると根拠なく強弁。あげくには、病院を建てるだけなら、どこでも良いと、本音まで出ました。さすが、これについては後で誰かに指摘されたのか、訂正答弁をした。

 いずれにしても、答弁の言葉が空回りする、粗い議会審議が一段と進行している。

市民(公共)サービスに受益者負担を優先することは間違い

 この他、田中議員は手数料条例等を改正に関する条例案についても質問。この条例案については以前紹介しました。行財政改革プランに基づいて、市民サービスにかかる使用料や手数料を多岐にわたって大幅に値上げするもの。

 質問に対する市長の答弁は、本来はもっと早くに実施すべきであったものを今行うだけである。受益者負担の原則に基づき、利用者から適切な負担を求める。

 市民(公共)サービスは本来、どの市民もが人生の段階に応じて、生活と成長のために利用するサービス。したがって、受益者負担の原則に基づき負担を求めるものではない。そのための財源として税があります。ただし、サービスや資源の浪費を制御するために、一定の負担を求めることはある。受益者負担を優先することは間違い。

 典型的な無料サービスは図書館や消防・救急車。その他、義務教育や幼児教育も無償。また、一般道路の通行料も無料。家庭ごみの可燃ごみ等は一部受益者負担を取り入れることによる排出抑制を目的に有料化が一般的になりましたが、過去には無料だった。現在も、ビン、缶、古紙、古布、電池等は、回収処理に相当の経費がかかっているが、無料のまま。

 また、消防・救急車に例をとれば、この業務は草津、守山、栗東、野洲の4市の広域行政で行っているが、野洲市の負担額は、年間5億円を超えている。市民1人当たり、1万円を超える負担。これを容認しながら、交付税で裏打ちのある病院事業への法定繰入に市長や奥山議員が難色を示していることは理解できない。

 田中議員と市長とのやり取りの最後では、市長が道路整備にも基金を貯めてから行うべきだという場違いな例を出した。そのため、議員が公共事業における起債による、現役から将来世代にわたる均等負担のことを問いかけると、市長は文脈が理解できず、珍妙な終了になりました。この辺りにも地肌が現れています。

 なお、岩井議員も同様に使用料・手数料の値上げについて質問。当然答えも同じ。市長は過去が低かったと答弁し、赤坂部長に至っては、本来もっと上げないといけないが、5割の値上げで抑えたと恩着せがましい答弁でした。

服部議員の質問通告「市立野洲病院長の発言について」非常識であり、非生産的

 市議会のホームページには各議員の一般質問の一覧表が掲示されています。通告された標題から新病院の整備に関するものとはっきりわかる質問を予定しているのは、小菅、田中、橋、岩井の4議員です。

 この質問通告一覧表で目を引くことが2つ。

 まずは、2月7日の病院整備の特別委員会で昨年秋の市議選で、1,752票の圧倒的多数の市民の民意を得たと自慢していた稲垣議員が一切質問しないこと。この議員は今定例会の開会日2月25日にも、2月19日の守山野洲医師会と市議会との懇談会も欠席。不幸にも健康を損ねているなら、公人として必要最小限の情報は公開すべき。

 もうひとつは、服部議員の通告項目。「市立野洲病院長の発言について」。対象が、2月7日の病院整備の特別委員会でのか、それとも2月19日の守山野洲医師会と市議会との懇談会での病院長の発言かは不明。

 いずれにしても、議員自身の態度と発言を棚に上げ、また、市長会派の副代表でありながら市長の熟考中を容認しつつ、本会議でこのような質問をすることは、非常識であり、卑怯。加えて、市政上は非生産的。