市政が伏魔殿(ふくまでん)になりつつある

 新病院整備については市長が熟考中で何がどうなっているのか、今後どうなるのか分からないことはもちろん、その他様々のことが分からなくなっていっています。市政が分からないことの雑貨店、少し洒落て言えば伏魔殿(ふくまでん)になりつつある。

 例えば、駅前Aブロック等での商業開発や財政難を理由とする行財政改革などの動向が分からない。

 今朝の新聞折込にあった市広報紙にもその辺りの情報は何もありませんでした。そこで久しぶりに、市のホームページで2月18日の市長記者会見の記録を見ました。

病院ではいつもの意味不明な応答 70億円の債務負担行為? 信頼性が失われていく

 まず目についたのが、病院についての記者とのやり取り。いつもの意味不明な応答です。

 また、以前紹介した、「建設場所を含め『熟考の上、判断したい』と結論を先送りする考えを示した。」(中日新聞2022年1月15日)という市長発言とも整合しない。

記者 Bブロックで進めていかないという結論になった場合は、ではどのようにするのかを併せて表明されるのですか。例えば、新しい選定場所を示すなど。

市長 そのようになると思います。ただ、新しい場所を決めてその場所にするために熟考している訳ではありません。Bブロックも含めた中で熟考しています。

 

 病院に関しては、この他にも本当かなと疑問に思う応答があります。

記者 熟考するまでは予算計上を予定していたのですか。

市長 予定していましたが、現在、熟考していますので当初予算には計上しておりません。

記者 予定していた予算はどのようなものですか。

部長 Bブロックに整備するための土質調査、設計と施工者を選定するための支援業務、建築工事費の約70億円の債務負担行為を当初予算に計上する予定でした。

 

 なぜか、最後の回答が市長でなく部長になっています。いずれにしても正直な回答ではない。昨年12月に議員に配布された、担当部署の要求を集約した新年度予算書案には、土質調査費用しか計上されていなかった。

 そもそも昨年の予算資料作成段階では、Bブロック病院の基本構想もできていなかった。予算案のための病院の建設費用を積算するためには、設計段階の情報が必要。したがって、新年度当初予算案にBブロック病院の設計施工の約70億円の債務負担行為を盛り込むことは到底無理。そのうえ、4年度間にわたる債務負担行為の設定にも無理がある。

 このようなことを重ねていくと、どんどんと信頼性が失われていきます。

 その他、市長は市立野洲病院東館の耐震診断予算のことも触れていますが、説明になっていないので紹介は省きます。

急に出てきた駅前市有地の売却論も分からない

 予定より病院問題が長く成りました。後は簡略にします。

 分からないことのもうひとつは、昨年の9月と12月議会で補正予算をあれほど急いでいた駅前Aブロック等での商業開発が止まったままなのに、市長にまったく慌てる様子のないこと。駅前Aブロック等での商業開発はBブロック病院が前提になっていたので、そのめどが明らかにならない限り動かせない。これまでの市長発言からは、Bブロック病院は進める意向はないようなので、そうなれば駅前商業開発も目途がなくなる。なぜ焦らないのか?

 このことと関連して、もうひとつ分からないことが、Aブロック等の駅前市有地の売却論。昨年秋の市議選前まではこのような意見はまったく影も形もなかったのに、選挙直前から急に稲垣議員がチラシを入れ出し、改選後は、一層輪をかけて強硬な奥山議員と服部議員がそれに加わって三重唱。これも本当に分からない。

行財政改革推進プラン 異例な物分かりの良さが分かりにくい

 最後に、行財政改革。まだ行財政改革推進プランもできていないのに、先に利用料や手数料の値上げの条例案が議会提案されていることの不思議さはすでに書きました。本来なら、プランに基づく条例の改正案であるべきもの。これでは、設計図なしに家を建て始めて、後でそれに合わせて設計図をつくるのと同じ。

 このプランに関しては、同じ記者会見でプラン(案)に対するパブリックコメントの結果が資料として示されています。25の意見が出されています。このなかには、市立保育園の民間委託や使用料・手数料の値上げに積極的に賛成する意見などが目立ち、この種のパブリックコメントでは異例な物分かりの良さ。その結果、市も「組織として業務の肥大化や施設における機能の重複による過大な支出が行われてきたということは事実です。」など、気分よく回答ができている。これであれば、後追いプランでも円滑に進むことになりそうです。

 市民生活にとって厳しいプランにこれほど好意的な意見が多いということも、これまでの経験からすると分かりにくいことです。