「これ以上やっても水掛け論になるので意味がない」

 今日2月7日午後の病院整備の特別委員会。15分間の休憩を挟んで3時間半余り。ネット中継で傍聴するとともに、傍聴者から状況を聞きました。稲垣議員が最後の方に「これ以上やってももう水掛け論になるので意味がない」述べたとおり、疲れたという以上に、苦痛でした。この長丁場を歓迎し、楽しんだのは、「熟考」中で、この委員会を参考にしようとした、栢木市長ぐらいではなかったのかと思いました。

 結果は、昨日予想したとおり、建設的なものではなかった。これは、個々の委員の責任というより、市長と津村委員長の責任が大きい。とはいっても、これが野洲市政の現状。

 今日の委員会の性格を端的に表すものとして、もうひとつ津村委員長の最後のまとめから引用しておきます。

 「これらの意見を一つの意見に集約することは困難であり、また委員会として多数決の裁決を行ったり評決することにはなじまない事案であると判断しております。」

市長は先月の全員協議会の時から何も進展していない

 そこでその市政の現状の紹介も兼ねて、今日の概要を紹介します。

 会議は、次のような市長の挨拶で始まりました。長くなりますが、若干言葉を加除しますが、できるだけ正確に紹介します。市長においては、先月の全員協議会の時から何も進展していないことが明らか。

 栢木市長の言葉は次のとおりです。

 これまで進めております駅前 B ブロックでの市民市民病院整備にかかる基本構想基本計画案についてこの後執行部より説明をさせていただいた上で、皆様から病院整備の考え方についていただく。

 病院整備については先日の臨時全員協議会で報告したとおり、これまでの市議会における審議等において駅前Bブロックでの整備に反対の意見が多いことから、こうして時間をいただいているところである。

 今回の特別委員会で病院整備を進める上で皆様から忌憚のないご意見をいただいた上で、今後の病院整備について適切に判断して参る。

踏み絵のごとく津村委員長が各委員にてBブロック病院への賛否を執拗に確認

 その後、津村委員長が、議事の進め方を説明。それは、市担当者からBブロック病院の基本計画案等の説明を受けた後、それについての質疑。その後、各委員からBブロック病院に対する賛否の表明。もし、賛成でない場合は代替案の提示。そして、最後に委員間で討論をするというもの。

 これを聞いただけでも、異例な進行であることが分かります。市長が提案もしない。というより、市長がBブロック病院を保留すると公言したのに、単なる事務的な説明を聞いて議論するというもの。これまた、蝉の抜け殻を調べるようなもの。

 それに加えて、またのちに触れますが、津村委員長が各委員に対してBブロック病院に対する賛否を踏み絵のごとく執拗に確認したことは異常にみえました。それでありながら、津村委員長自身は、表明しなかった。賛否確認の必要がどこにあったのか分かりませんが、仮にそれをやるからには、裁決の場ではないので、委員長自身も考え方を明らかにする必要がある。このことがあってか、公明党の木下議員と立憲民主党の山本議員は、理由も明らかにされないで欠席したのではないかと思った傍聴者もいたようです。なお、この2議員は、これまで津村委員長とともに、病院と駅前に関する態度表明を一切行っていません。ただし、栢木市長の議案には賛成してきた。

 

基本計画案は報道どおり 病院は7階建で165床 駐車場約40台 開院5年目で黒字

 続いて、市担当者がBブロック病院の基本計画案等について資料を基に説明。内容は、すでに新聞報道されていて、昨日も紹介したとおりです。今日の資料はすでに市ホームページに公表されています。

 A-2案を基本にして、Bブロックの敷地全体に耐震構造で7階建ての病院を建てる。病床は165床で、駐車場が約40台。駐車場が1階の半分以上を占めている。エスカレーターはあるようですが、外来や検査が2階と3階に分かれている。事務部門も同じ階ではあるが2か所に別れている。いずれにしても窮屈感は否めず、使い勝手が悪いだけでなく、病院に必要な安らぎ感がない。駐車場問題は解決されていない。

 開院は、これまでの説明どおり令和7年度。収支計画では開院5年目で黒字となる。とはいっても、今月下旬開会の市議会に提案される新年度の当初予算案には事業費が盛り込まれていないので、そのとおり行かないことはすでに明らか。

 今日示された資料から見ると、成果品は昨年夏、鳴り物入りで行われたプロポーザルの仕様書と比べて簡便。これに1千万円強もかかるのかと思われる。ましてや、市長はそれを活用しないで、没にしようとしている。

 

奥山、服部両議員は財政難理由にBブロック病院どころか、病院は不要の観点から質問

 基本計画案等説明の委員から質問がありました。

 最初に、益川議員が市長に対して、Bブロックでの病院整備事業を進めて行くというという前提でこの委員会での議論を求めているのか確認の質問。これに対して、市長は、それ以外の所とか、それ以外の考えも含めて、フラットに意見を聞かせてほしいと回答。冒頭のあいさつの内容の繰り返し。 

 その後も、説明のあった基本計画案については具体的な質問はなし。奥山議員は以前から繰り返している、現市立病院の人件費比率が高いことなど関係のないことを質問していました。奥山議員と服部議員は、要するに財政が厳しいことを理由に、Bブロック病院どころか、病院は不要という観点からの質問。

 その他、東郷議員が、市長は昨年5月に熟考した上でBブロックを判断したと公言している。それが現在のようになったことについて副市長に見解を質問しました。副市長の答えは、市長に熟考を終えて、早く結論を出してもらいたいといった、他人事のような返答。副市長本人はBブロックで良いと思っているのかどうか明らかにしませんでしたが、当初は、現地半額建替えは可能と公言していました。

福山病院長からいわば最後通牒が

 質問への回答のなかで注目を引いたのは、福山病院長の説明。次のような趣旨でした。現病院の想像を絶する老朽化の状況を述べた後で、次のように語った。これは、まさに、いわば最後通牒とおもわれる。

 市立病院開院以来、職員とともに、市民に医療を提供するために改善に取り組んできた。守山市には、県立総合病院を別にすればすでに公立病院がなくなっており、野洲市立病院が守山野洲医師会エリアで唯一の公立病院となった。これを潰すとかどっかへもって行ってしまうと、もう二度と地域に病院は戻らない。

 また、問題はそれにとどまらず、健康医療行政も含めて大きな影響を受ける。医師会の協力なしではワクチン接種や学校の検診もできなくなる。

 市長は昨年医師会の正式な意思決定機関である理事会において、市長が自らBブロック病院の整備決定を公言した。それがこのような状況になり、医師会の要望を無視するとなると、大きな問題が生じる。

稲垣議員が市長を変えろ? 雰囲気は委員長の最後のように悠長なもの

 長くなったのでこの辺りで終わります。最後に、津村委員長のまとめの言葉を紹介して、若干のコメントを加えます。

津村委員長の発言の要旨は次のとおり。

 建設場所に対する意見を整理すると、まず執行部案であるBブロックにおける市民病院整備についての反対の理由は駐車場や交通渋滞など。

 代替案としては、Aブロックでの整備と郊外での整備。

 Bブロックで整備すべきとする意見とBブロックでの整備やむなしとする意見もあった。

 以上のまとめでは、代替案の紹介で村田議員と服部議員の現地改修案がなぜか抜けています。それと、Bブロックで整備すべきとする意見とは誰の意見なのか?聞き洩らしたのかもしれませんが、そのような発言はなかったはず。もしかしたら、これが津村委員長の意見なのかと思いました。

 全体を通して印象的な発言は、稲垣議員が内閣を変えよと何度か発言したこと。その意味は、病院事業の担当職員を総入れ替えしろという意味であるようでしたが、傍聴者によっては、内閣総入れ替えということで、市長を変えろという意味に受取ったようでした。

 いずれにしても、ここにはなんらかの危機感が表れているように見える。しかし、残念で、大いに心配なことは、大方のと言うより、市長と市長会派の雰囲気は、津村委員長の最後の次の言葉のように悠長なものではないかと思えました。

 「本委員会と致しましては最終的な判断は委員お一人おひとりの判断に委ねられる所となりますので定例会も控えておりますことからご理解の上慎重なご判断をいただきますようお願いいたします。」